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オフィス不動産価格とファンダメンタルズ

ミクロ・パネル・データによる計量分析

2008年8月
中村康治*1
才田友美*2

要旨

 本稿では、首都圏オフィス不動産のミクロ・パネル・データを使い、パネル共和分の分析手法を用いて、首都圏オフィス不動産の価格変動について、割引現在価値との関係を中心に定量的な分析を行っている。分析の結果、第一に、首都圏オフィス不動産価格とその割引現在価値の間には、共和分関係がみいだされた。これは、オフィス不動産価格が、賃料や金利といったファンダメンタルズに基づいて形成されていたことを示唆する。しかしながら、バブル期における賃料の動きをみると、マクロの所得の動きと比べた場合、明らかに維持不可能な上昇率となっていたことが分かる。したがって、オフィス不動産価格の動きを判断する上では、その理論値である割引現在価値に着目するだけでなく、割引現在価値の重要な構成要素の一つである賃料の動きについて、その維持可能性を注意深く吟味する必要がある。第二に、割引現在価値と不動産価格の間の共和分関係をもとに、割引現在価値の変化、人口動態の変化、金融機関貸出の変化を考慮した誤差修正型モデルを推計した結果、短期的な不動産価格の変動をうまくトレースするモデルであることが分かった。

キーワード:
オフィス不動産、加重平均公示地価、割引現在価値、パネル共和分分析、誤差修正モデル

JEL Classification
C32, E39

分析にあたっては、三菱UFJ信託銀行・川本健治氏よりデータ提供を受けた。また、山岡理恵氏、荒井千恵氏(日本銀行調査統計局)の多大な協力を得た。本稿の作成過程においては、関根敏隆氏、藤木裕氏、鎌田康一郎氏、肥後雅博氏、大谷聡氏、一上響氏、福永一郎氏、北村冨行氏をはじめとする日本銀行スタッフより数多くの有益な示唆を受けた。記して感謝したい。もちろん、有り得べき誤りは全て筆者達に帰するものである。また、本稿に記された意見・見解は筆者個人のものであり、日本銀行及び企画局・調査統計局の公式見解を示すものではない。

  1. *1日本銀行企画局 E-mail: kouji.nakamura@boj.or.jp
  2. *2日本銀行調査統計局 E-mail: yumi.saita@boj.or.jp

日本銀行から

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