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コール市場のマイクロストラクチャー:

日銀ネットの決済データにみる日中資金フローの連鎖パターン

2008年9月
今久保 圭*1
副島 豊*2

要旨

 即時グロス決済(RTGS)システムの下では、資金繰りを容易にするために支払を先送りするインセンティブが働き、この結果、システム全体の決済進捗が遅延し易いという問題が生じる。これを回避するため、日中与信制度や市場慣行などが整備されているが、複数の決済システムが並存することもあって、朝方など日中の特定時点に決済が集中し、これが日中のレート変動の一因となっている。本稿では、コール市場の日中資金フロー ── 日中に資金決済が進捗していく様子、特に、「受取に応じた支払」という決済の連鎖現象 ── を理解するため、ネットワーク分析とシミュレーション分析を行った。その結果、(1)決済ネットワークの形状は時間帯によって変化しており、決済の連鎖性はネットワークが密な時間に高まり易いこと、(2)こうした日中の決済進捗パターンを日米英のRTGSシステムで比較したところ、各国制度やその背景にある決済・資金調達に関する考え方の相違を反映して三者三様であること、(3)決済遅延の連鎖を生じさせるようなストレス環境の下では、決済ネットワークのハブを構成する参加者は決済遅延の広がりを吸収する機能を有していること、などが確認された。

キーワード:
RTGS、決済の連鎖性、日銀ネット

本稿は、Payment and Settlement Simulation Seminar(フィンランド銀行主催、2006年)およびEconomics of Payments Workshop(イングランド銀行主催、2007年)での報告内容を整理し直したものである。本稿の作成に際しては、セミナーおよびワークショップの参加者、日本銀行のスタッフから数多くの有益な示唆を受けた。記して感謝の意を表したい。ただし、あり得べき誤りは筆者らに属する。本稿で述べられている意見・見解は、筆者ら個人のものであり、日本銀行、金融市場局および金融研究所の公式見解を示すものではない。

  1. *1日本銀行金融市場局 (e-mail: kei.imakubo@boj.or.jp)
  2. *2日本銀行金融研究所 (e-mail: yutaka.soejima@boj.or.jp)

日本銀行から

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