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コール市場の資金取引ネットワーク

2008年10月
今久保圭*1
副島豊*2

概要

 コール市場の資金・決済の流れは近年大きく変化してきた。本稿では、ソーシャルネットワーク分析手法を活用し、日銀ネットの決済データを用いてコール市場の取引構造の検証を試みた。その結果、コール資金の流れは、短資会社がハブとして仲介役を果たすスター型ネットワークから、他の様々な経路が存在する分散型ネットワークに変化していることが確認された。分散型ネットワークにおいては、一部の業態から構成される中核的ネットワーク(コア)が形成されていること、コアの構成員はネットワークの周辺に対するハブになっており、これにより資金取引ネットワークの殆どが平均2〜3ステップで繋がっていること、周辺には特定の集団でクラスター化した部分が存在するほか、コアに対するリンクが強い先、弱い先など、多様なネットワーク構造が存在することが観察された。こうしたネットワーク構造はシステミックリスクの観点から重要である。流動性ショックがコール市場全体に伝播していく、あるいは逆に吸収されていく過程は、ネットワークの構造に強く依存すると考えられる。

keywords
インターバンク市場、RTGS、ネットワーク、スモール・ワールド、コアと周辺、システミック・リスク

JEL Classification
E58, G14, G21, L14

本稿は、筆者らがそれぞれ決済機構局、金融機構局に所属していた際の研究内容(一部は日本銀行[2006b] Box6として公表)を加筆・修正し、論文として書き起こしたものである。データ取得ではシステム情報局や金融市場局の多大な協力を得たほか、三木徹氏にはデータ識別等に際して様々な助言を頂いた。また、2007年の日本ファイナンス学会では、討論者の加藤出氏(東短リサーチ)より有益なコメントを頂いた。ただし、本稿に記された意見・見解は筆者ら個人のものであり、日本銀行の公式見解を示すものではない。有り得べき誤りは全て筆者ら個人に属する。

  1. *1日本銀行金融市場局 E-mail: kei.imakubo@boj.or.jp
  2. *2日本銀行金融研究所 E-mail: yutaka.soejima@boj.or.jp

日本銀行から

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