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情報技術は非正規労働者の技能低下を招くのか?:日本の電機産業の経験

2010年3月
中馬宏之 *1
川口大司 *2

全文掲載は、英語のみとなっております。

概要

この論文では生産情報システムの生産現場への導入が非正規労働者の活用にどのような影響を与え、そして生産性にどのような影響を与えたのかを電機産業の生産現場の監督者へのアンケート調査を用いて調べた。分析結果は生産情報システムの導入が非正規労働者の仕事の幅を広げたことを示し、結果として生産性向上に結びついたことを示す。ただし、生産情報システムの導入が生産性向上に結び付くかどうかは正規労働者と非正規労働者の間ならびに正規労働者と開発・生産技術者の間の十分な情報共有がなされているかどうかに依存することが明らかになった。この結果は単に生産情報システムを導入することが自動的に生産性向上をもたらすわけではないことを示している。生産性向上が得られるかどうかは非正規労働者をも含む労働者間のコミュニケーション構造を規定する組織設計に依存するのである。

この論文は2009年11月26日・27日に日本銀行で日本銀行・東京大学共催のコンファレンスにおいて発表されたものの改定稿である。太田聡一氏並びにコンファレンス参加者のコメントに心より感謝する。分析結果は中馬・川口(2007)に依拠している。ここで示されている見解は筆者の個人的な見解である。

  1. *1一橋大学 E-mail : chuma@iir.hit-u.ac.jp
  2. *2一橋大学 E-mail : kawaguch@econ.hit-u.ac.jp

日本銀行から

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