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投資特殊技術進歩は日本の景気変動を説明する重要な要因なのか

2010年3月
廣瀬康生*1
黒住卓司*2

全文掲載は、英語のみとなっております。

要旨

日本では、消費者物価指数などの消費財価格に対する設備投資デフレーターの相対価格に趨勢的な低下傾向がみられる。これは、投資財と消費財の生産技術水準の違い、すなわち、投資特殊技術進歩の存在を示唆するものである。日本の景気変動に関する近年の研究では、この投資特殊技術進歩の重要性が指摘されている。

本稿では、投資特殊技術進歩を考慮した動学的確率的一般均衡モデルを構築し、日本のデータを用いてベイズ推計を行い、投資特殊技術進歩の重要性を検証した。

本稿の推計結果から得られた主な結論は以下の3点である。

  1. (1)先行研究の結果と異なり、投資特殊技術進歩は、全セクターに共通の技術進歩である中立技術進歩に比べて、日本の景気変動を説明する上で重要な要因ではない。
  2. (2)設備投資の変動を説明する上で最も重要な要因は、設備投資調整費用ショックであり、投資特殊技術進歩の寄与は限定的である。この設備投資調整費用ショックは、設備投資の変動要因のうち、資本の限界収益率や投資財価格の変化以外の要因を表しており、企業の資金調達コストなどの金融環境の変化を映じたものであると考えられる。(例えば、好況期には良好な資金調達環境から設備投資支出が増加する一方、不況期には厳しい資金調達環境のもとで設備投資支出が減少する。)
  3. (3)(2)の設備投資調整費用ショックの解釈の妥当性を検証するため、推計された同ショックの系列と短観の資金繰り判断DIの動きを比べてみると、高い相関関係が確認された。

以上の本稿の結果から、1990年代前半における設備投資の大幅な低下は、資産価格バブル崩壊後の企業金融環境のタイト化が主因であると考えられる。

  1. *1日本銀行企画局 E-mail : yasuo.hirose@boj.or.jp
  2. *2日本銀行企画局 E-mail : takushi.kurozumi@boj.or.jp

日本銀行から

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