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購買力平価を利用したわが国のインフレ予想の計測の有用性について

2013年9月20日
鎌田康一郎*1
中島上智*2

要旨

本稿の目的は、購買力平価に基づいたインフレ予測の計測手法を紹介し、その性質について、理論と実証の両面から検討を加えることにある。購買力平価が成立するもとでは、自国の予想インフレ率は、外国の予想インフレ率に名目為替レートの予想減価率を加えたものに等しい。本稿では、この関係を用いて、5か国(米、英、豪、加、スウェーデン)のBEIと為替の直先スプレッドから、日本のインフレ予測を計測した。その結果、購買力平価に基づく予想インフレ率は、5か国平均を長い目でみた場合、日本のBEIと似た動きをしていることがわかった。ただし、ベースとなる国によってばらつきが大きいこと、短期的な変動をみると足元で日本のBEIとの乖離が目立ってきていることなど、計測手法の有用性を評価する上で解明すべき論点は多数残されていると考えられる。

キーワード
予想インフレ率、購買力平価、ブレーク・イーブン・インフレ率、為替の直先スプレッド、物価連動国債

本稿の作成に当たり、藪友良氏、一橋大学におけるセミナーの参加者、ならびに日本銀行のスタッフから有益なコメントを頂いた。記して感謝の意を表したい。ただし、あり得べき誤りは筆者ら個人に属する。本稿の内容と意見は筆者ら個人に属するものであり、日本銀行の公式見解を示すものではない。

  1. *1日本銀行企画局 E-mail : kouichirou.kamada@boj.or.jp
  2. *2日本銀行企画局 E-mail : jouchi.nakajima@boj.or.jp

日本銀行から

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