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研究開発投資とイノベーション:特許データを用いたアプローチ

2020年7月3日
王悠介*1
高橋耕史*2

要旨

本稿では、近年の日本企業における研究開発投資や、イノベーションの動向を分析するため、特許データを用いてイノベーションの蓄積度合を捉える指標――引用ストック――を試算した。引用ストックの推移をみると、2000年代半ば以降低下しており、イノベーションの蓄積が低下傾向を辿っていた可能性が示唆された。また、引用ストックと生産性の関係を企業毎にみると、引用ストックの増加は生産性向上に有意に影響を与えている可能性が示されたほか、引用ストックは、研究開発投資額だけでは捉えられない研究開発の成否についての情報を持つことが示唆された。次に、研究開発投資とイノベーションの関係を確認すると、研究開発費の増加はイノベーションに寄与するものの、近年、その効率性は低下している可能性が示された。こうした研究開発における効率性の低下は、日本企業に限らず世界的に多岐に亘る分野で報告されており、企業や研究機関では研究者の数や研究費を増大させることでイノベーションのペースを維持しようと試みている。人口減少により研究者の増加が見込み難い日本では、研究者の多様性の向上などにより、研究の質を高める取り組みが重要である。

JEL 分類番号
O31、E23、D24

キーワード
特許データ、生産性、研究開発、イノベーション

本稿の作成に当たり、日本銀行の川本卓司氏、神山一成氏、桜健一氏、東京大学の青木浩介氏、一橋大学の陣内了氏から有益なコメントを頂いた。また、加来和佳子氏からは、計数作成においてご協力を頂いた。記して感謝の意を表したい。ただし、あり得べき誤りは筆者個人に属する。本稿で示されている見解は、日本銀行の公式見解を示すものではない。

  1. *1日本銀行調査統計局 E-mail : yuusuke.ou@boj.or.jp
  2. *2日本銀行調査統計局 E-mail : kouji.takahashi-2@boj.or.jp

日本銀行から

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