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プライバシーの経済学入門

2021年6月3日
(2021年7月9日修正)
宇野洋輔*1
園田章*2
別所昌樹*3

要旨

本稿では、「プライバシーの経済学」と呼ばれる分野のサーベイを行う。インターネット空間における個人情報の取扱いに対する関心がグローバルに高まるなか、プライバシーの経済学は、近年のプライバシー保護規制当局による規制強化の動きと軌を一にしつつ急速に発展している。プライバシーの経済学が教えるところでは、社会的に望ましいプライバシー保護水準をどう決めるか、個人情報データが有する「負の外部性」に起因するプライバシーの侵害にどう対処するか、といった問題を市場メカニズムによって解決することは難しい。こうした認識は、デジタル決済システムを利用する人々に安心感を与えつつデータの利活用をどう進めていくかを考える際に、重要な示唆を与えうるものである。

JEL 分類番号
D62、D82、D83、K20、M31、M37

本稿の作成にあたっては、渡辺安虎氏、神山一成氏、副島豊氏、奥野聡雄氏、山田健氏、鳩貝淳一郎氏、北條真史氏、宇根正志氏、菅和聖氏、白木紀行氏、高野裕幸氏から有益なコメントを頂いた。記して感謝したい。もちろん、あり得べき誤りは筆者らに属する。また、本稿に示される内容や意見は、筆者ら個人に属するものであり、日本銀行の公式見解を示すものではない。

  1. *1日本銀行決済機構局(現・金融機構局) E-mail : yousuke.uno@boj.or.jp
  2. *2日本銀行
  3. *3日本銀行決済機構局 E-mail : masaki.bessho@boj.or.jp

日本銀行から

日本銀行ワーキングペーパーシリーズは、日本銀行員および外部研究者の研究成果をとりまとめたもので、内外の研究機関、研究者等の有識者から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の中で示された内容や意見は、日本銀行の公式見解を示すものではありません。
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