統計

ホーム > 統計 > 統計の概要および公表予定 > 統計に関する解説 > 「外国為替およびデリバティブに関する中央銀行サーベイ」の解説

「外国為替およびデリバティブに関する中央銀行サーベイ」の解説

2020年9月
日本銀行金融市場局

作成部署、作成周期、公表時期等

作成部署
金融市場局総務課市場統計グループ・為替課
作成周期
3年に1度
公表時期
最近では2019年に公表
公表方法
インターネット・ホームページ

1.「外国為替およびデリバティブに関する中央銀行サーベイ」(外為・デリバティブ・サーベイ)とは?

(1)概要

外為・デリバティブ・サーベイは、外国為替取引およびデリバティブ取引に関する調査です。この調査は、3年に1度、国際決済銀行(BIS)および各国・地域の中央銀行が、多くの金融機関の協力を得て取りまとめており、包括的で国際的に整合性のある統計となっています。
この調査の前身である外国為替取引に関する世界的な調査は、1986年から行われていました。1995年からはデリバティブ取引が調査項目に加えられ、現在に至っています。

(2)目的

本統計の目的は、外国為替市場およびデリバティブ市場の実態を明らかにすることによってその透明性を高め、中央銀行や金融監督当局、市場参加者による金融取引の動向の調査に貢献し、金融機関のリスク管理や金融市場の安定性向上に資することです。この目的は、より少数の金融機関を対象として半年に1度行われているデリバティブ市場に関する調査(「デリバティブ取引に関する定例市場報告」)と共有されています。外為・デリバティブ・サーベイとデリバティブ取引に関する定例市場報告は、この目的を達成するうえで相互に補完的な関係にあります。

2.作成方法

(1)調査対象先

調査対象先は、世界各国・地域の銀行や証券会社です。直近行われた2019年の調査では、世界53か国・地域における1,200強の金融機関が参加しました。日本からは、銀行および証券会社(ともに外資系金融機関を含む)の合計46社が参加しました。

(2)調査方法

この調査は、金融機関の自主的な参加に基づいて行われています。参加を承諾した金融機関に対して、予め世界共通のフォーマットに則った調査票を送り、調査期間の終了後に回収します。

3.主な調査内容

(1)調査項目

外国為替取引およびOTCデリバティブ取引に関する調査の対象となる項目は、大きく分けると、1)所在地ベースの取引高と、2)連結ベースの残高、で構成されています。
所在地ベースの取引高とは、調査対象金融機関が、ある取引地(国または地域)において、一定期間中に新たに契約した取引の金額(フロー)を指します。この取引高は、想定元本額についてのみ調査します。
連結ベースの残高とは、ある時点において各金融機関が抱えているデリバティブ取引の総額(ストック)です。これには複数の取引地(国・地域)に所在する子会社や関係会社との取引を含みます。残高は、想定元本額のほか、正の市場価値および負の市場価値についても調査します。

取引高、残高とも、以下のような細分類が調査されます。

  1. 1)リスク・ファクター別内訳(外国為替、金利、株式、コモディティ<貴金属、原油など>、クレジット・デリバティブなど)
  2. 2)商品別内訳(フォワード、スワップ、オプションなど)
  3. 3)通貨・金利別内訳(日本円、米ドル、ユーロ、英ポンドなど)
  4. 4)取引相手先別内訳(報告対象金融機関<この調査に参加している金融機関で、主に銀行や証券会社>、報告対象外金融機関<この調査に参加していない金融機関で、保険会社や投資信託、年金基金など>、非金融機関顧客<主に事業会社や政府部門>)
  5. 5)残存期間別内訳(取引高<1週間以内、1週間超1か月以内、1か月超3か月以内、3か月超6か月以内、6か月超>、残高<1年以内、1年超5年以内、5年超>)

なお、調査の詳細については、以下を参照して下さい。

(2)用語解説

関連用語についてはデリバティブ取引に関する定例市場報告の解説を参照して下さい。

4.その他

(1)デリバティブ取引に関する定例市場報告との相違点

冒頭でも述べたように、この外為・デリバティブ・サーベイとデリバティブ取引に関する定例市場報告とは、相互に補完的な統計として作成されています。両統計とも、BISおよび各国・地域の中央銀行が金融機関の協力を得て作成している国際的なデリバティブ市場に関する統計です。しかし、外為・デリバティブ・サーベイが3年に1度の頻度で包括的に行われるのに対し、デリバティブ取引に関する定例市場報告はより速報を重視し、主要市場参加者に的を絞った形で行われます。このような両調査をあわせみることによって、グローバルな金融市場の動向をより的確に把握していくことが可能であると考えられています。

表 デリバティブ取引に関する定例市場報告との相違点
  外為・デリバティブ・サーベイ デリバティブ取引に関する定例市場報告
調査対象 世界各国・地域(53か国・地域)の金融機関
1,200先強(2019年実績)
主要先進国(12か国)の主要金融機関約70先(2019年6月実績)
調査項目 取引高および残高 残高のみ
調査頻度 3年に1度 半期

(2)想定元本、正の市場価値と信用リスク・エクスポージャー

デリバティブの想定元本は、バランス・シートに計上されている金融機関の資産残高と比較すると、非常に大きな金額となっています。しかし、想定元本は、デリバティブ取引で実際に受渡しするキャッシュ・フローを計算するために利用される仮想の金額です。従って、デリバティブ取引によって生じる信用リスクを直接表すものではありません。

一方、正の市場価値は、ある取引当事者が、

  1. 1)あるデリバティブ取引を行うことによって、将来に亘って受け取るキャッシュ・フロー額から、
  2. 2)将来に亘って支払うキャッシュ・フロー額を差引いたうえで、
  3. 3)その差額を現在価値に割引いた金額、

を指します。正の市場価値を持つ取引当事者にとっては、取引相手がデフォルト(債務不履行)した場合に、正の市場価値に相当する金額を受け取れなくなる可能性があります。その意味では、デリバティブ取引によって金融機関が抱える信用リスクを把握する場合、想定元本額よりも正の市場価値額の方が、よりふさわしいと言えるでしょう。ただし、あるデリバティブ取引によって生じる正の市場価値の金額は、リスク・ファクターの変化に応じて、時々刻々と変わります。

さらに、実際にデリバティブ取引に従事している金融機関が抱える信用リスクは、様々なデリバティブ取引から生じる正の市場価値を合計した金額よりもさらに小さいと考えられています。それは、金融機関が信用リスクを削減するための施策を行っているからです。こうした施策としては、担保付き取引やネッティング契約などが挙げられます。これらの施策の詳細については、例えば、BIS支払・決済システム委員会(現決済・市場インフラ委員会)と証券監督者国際機構専門委員会による2012年4月の報告書「金融市場インフラのための原則」などをご覧ください。