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「決済動向」の解説

2023年10月
日本銀行決済機構局

作成部署、作成周期、公表時期等

作成部署
決済機構局
作成周期
月次
公表時期
翌月最終営業日
公表方法
インターネット・ホームページ

1. 決済動向とは

決済動向は、わが国の主要な決済システムにおける決済件数・金額等の基本的な計数を取り纏めた統計で、1991年9月に公表を開始しました。

金融資本市場における取引をはじめとする経済活動は、「決済は予定どおり行われるものである」との信認のうえに成立っており、万一、決済システムがうまく機能しないために、金融機関や個人・企業が予定された資金や証券を受取ることができない場合には、経済活動に大きな影響を与えることとなります。その意味で、決済システムは一国の経済活動を支えるインフラの一つであり、その設計や運営においては、安全性および効率性を向上させていくことが課題となります。

決済システムにかかるこのような課題を関係者が十分に認識し、具体的な取組みを進めていくに当たっては、まずは現在生じている決済の動きを正確に把握することが出発点となります。そのためには、各決済システムにおける決済件数・金額等の基本的な計数についての統計を整備するとともに、その統計を通じて決済に関する理解を深めることが不可欠です。

決済動向は、以上のような考え方に基づき、日本銀行の当座預金を利用した金融機関等の資金決済の件数・金額や、日本銀行で行われる国債決済の件数・金額のほか、民間決済システムの取扱件数・金額等を掲載しています。

2. 集計方法

日本銀行が運営する決済システムに関する計数については、日本銀行が作成しています。それ以外の計数については、それぞれの決済システム運営主体が作成しています。

また、資金決済の件数・金額は、いわゆる片道ベース(振替であれば、入金または引落のいずれか)により集計しています。片道ベースの基本的な考え方は、別紙 [PDF 57KB]をご参照ください。

3. 掲載内容

以下では、現行の決済動向で掲載している各計数の内容について説明します。

(1)日本銀行における決済関連計数

イ.日銀当座預金決済

日本銀行の取引先である金融機関等の資金取引等に伴う日銀当座預金における資金決済の件数・金額を掲載しています。この計数は、(1)取引先間における当座預金振替等(コール取引等、国債DVP<国債資金同時受渡>、大口内為取引<1件1億円以上の大口の内国為替取引>および外為円取引にかかる資金の決済)、(2)民間の集中決済制度(手形交換、全銀システム<内国為替決済>)にかかる資金の決済、(3)その他(日本銀行と取引先の間のオペ<国債系オペを除く>、銀行券の受払等)を合わせたものです。

日中当座貸越残高は、日本銀行が提供する日中当座貸越の日中ピーク残高の月中平均値を掲載しています。具体的には、各営業日の日中10分毎に算出した当座貸越残高のうち最高額(日中ピーク残高)を特定し、それらの月中平均値を掲載しています。なお、本項目には、国債DVP同時担保受払機能を用いた当座貸越も含まれます。

ロ.日銀ネット利用先数

日本銀行金融ネットワークシステム(日銀ネット)の対象業務である当座預金取引、外国為替円決済制度関係事務、国債関係事務のいずれかの事務を、日銀ネットを利用してオンライン処理している先(利用先)の数(法人ベース)を掲載しています。また、各事務についての利用先数の内訳も掲載しています。

ハ.国債振決口座振替決済

国債振決口座振替決済は、日本銀行で行われる国債の決済に関する計数を掲載しています。具体的には、日本銀行が運営する国債振替決済制度の振替口座簿における口座振替(「振決口座振替」)の決済件数・金額を掲載しています。

国債DVP(時間帯毎決済進捗)は、日本銀行で行われる国債DVP決済について、時間帯毎(原則1時間毎。ただし、業務開始から9時まで、16時から18時まで、18時から業務終了までは一括しています)の決済進捗率(件数および金額ベース)を掲載しています。

(2)民間決済システム関連計数

イ.手形交換高

電子手形交換所で交換された手形・小切手等の枚数・金額のほか、その決済金額(各金融機関の決済尻<手形・小切手等の交換に伴う受取額と支払額の差引額>を授受するため、日銀当座預金を利用して受払される金額の合計)等を掲載しています。

ロ.全銀システム取扱高

全国銀行データ通信システム(全銀システム)で処理された内国為替取引(振込、送金、代金取立等)の取扱件数・金額等を掲載しています。

また、小口内為取引(1件1億円未満の小口の内国為替取引)の取扱件数・金額等およびその決済金額(各金融機関の決済尻<振込、送金、代金取立等に伴う受取額と支払額の差引額>を授受するため、日銀当座預金を利用して受払される金額の合計)ならびに大口内為取引の決済件数・金額等を掲載しています。

さらに、小口内為取引については、全銀システムが2018年10月9日以降、既存システム(「コアタイムシステム」、通常平日8時30分から15時30分に稼動)の稼動時間外に稼動する「モアタイムシステム」の稼動を開始し、24時間365日の取引に対応(24/7化)したことに伴い、「コアタイムシステム」取扱分と「モアタイムシステム」取扱分を分けて掲載しています。

ハ.外為円決済交換高

外国為替円決済制度で取扱われた支払指図(2002年9月以降、CLS決済にかかる支払指図を含みます)の交換件数・金額等を掲載しています。

ニ.民間証券・デリバティブ決済システム

「清算機関の日銀当座預金決済」では、(a)日本証券クリアリング機構の国債店頭取引、(b)日本証券クリアリング機構の取引所取引等、(c)ほふりクリアリング、(d)東京金融取引所に係る清算において、日銀当座預金を利用して受払を行った金額を掲載しています。

また、「証券集中保管機関の日銀当座預金DVP決済」では、証券保管振替機構で決済された短期社債、一般債、投資信託、株式等のうち、日銀当座預金を通じてDVP決済されたものの件数・金額を掲載しています。

(3)電子マネー

プリペイド方式のうちIC型の電子マネーについて、調査対象先8社から提供された決済件数、決済金額、発行枚数、端末台数、残高等の集計値を掲載しています。

(4)デビットカード

デビットカードについて、調査対象先4先から提供された決済件数、決済金額、発行枚数、発行金融機関数等の集計値を掲載しています。決済件数、金額については国内外の加盟店取引と海外ATMにおける利用を含み、国内ATMにおける利用は含みません。発行枚数については、一部、非流通枚数を含みます。また、発行金融機関数は各社のデビットカードを発行している金融機関の延べ数です。