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国際商品市況変動の要因分解と市場間連動の背景

2011年5月
木村武*1
川本卓司*2
森下謙太郎*3
東将人*4

要旨

国際商品市況は、2009年以降、株価との連動性を高めつつ、上昇基調を続けている。その主たる原因を探るために、市況変動についてVARモデルによる要因分解(historical decomposition)を行った。その結果、世界経済の回復に伴うコモディティに対する実需の増加と、世界的に緩和した金融環境の2つが、市況上昇を牽引していることが定量的に確認された。この点は、2008年夏にかけての市況急騰が、証券化商品市場や株式市場など他の金融資産市場からの大幅な資金流入(flight to simplicity)によってもたらされたこととは大きく異なる。また、リーマンショック以降、コモディティと株式の市場間連動(cross-market linkage)が高まっていることに関しては、金融危機に伴う世界経済の大きな振幅が商品市況と株価の共変動を高めた側面のほかに、コモディティの価格が消費財としてよりも投資対象資産として変動する傾向を強めている側面——いわゆる、コモディティの金融商品化——も影響していることが定量的に確認された。

  1. *1日本銀行国際局 E-mail : takeshi.kimura@boj.or.jp
  2. *2日本銀行金融市場局 E-mail : takuji.kawamoto@boj.or.jp
  3. *3日本銀行金融市場局 E-mail : kentarou.morishita@boj.or.jp
  4. *4日本銀行国際局 E-mail : masato.higashi@boj.or.jp

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