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伝統的・非伝統的金融政策ショックの識別—潜在閾値モデルを用いた実証分析—

2013年4月19日
木村武*1
中島上智*2

要旨

本稿は、構造VARモデルにおいて、伝統的政策と非伝統的政策のレジーム変化を考慮した、金融政策ショックの新たな識別方法を提案する。具体的には、パラメータが時期によってゼロにスイッチする潜在閾値モデルを可変VARモデルに導入し、リカーシブ識別制約が政策レジームに依存して変化する構造を表現するとともに、ゼロ金利制約に直面した場合の過剰識別についても検証可能な枠組みを構築する。このモデルを(2012年までの)日本経済に応用した結果、非伝統的金融政策は長期金利の低下を促し、インフレ率やGDPギャップに対してプラスの影響を与えるように作用するが、その効果にはかなりの不確実性を伴うことが確認された。

キーワード
可変VAR、金融政策、識別、ゼロ金利制約、潜在閾値モデル

本稿の作成に当たり、青木浩介、Michael Funke、Mike Westの各氏、ならびに日本銀行のスタッフから有益なコメントを頂いた。記して感謝の意を表したい。ただし、あり得べき誤りは筆者ら個人に属する。本稿の内容と意見は筆者ら個人に属するものであり、日本銀行の公式見解を示すものではない。

  1. *1日本銀行企画局 E-mail : takeshi.kimura@boj.or.jp
  2. *2日本銀行企画局 E-mail : jouchi.nakajima@boj.or.jp

日本銀行から

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