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【総合職】平木 一浩

【総合職】平木 一浩

金融研究所 経済ファイナンス研究課 ファイナンス研究グループ 企画役 (現 金融研究所 経済ファイナンス研究課 経済研究グループ 企画役)

2011年4月  金融市場局入行 2012年1月  横浜支店 2013年4月  調査統計局 2015年9月  英国ロンドン大学クイーンメアリー校大学院留学 2019年7月  企画局 2021年6月  金融研究所

多様なリサーチ業務にかかわる中で成長を実感

私が就職活動をしていた2010年頃は、金融危機、およびその後の欧州債務問題を受けて、金融市場の構造や、中央銀行に求められる役割が大きく変化していた時期でした。経済学修士課程で数理ファイナンスを学んでいた私は、金融市場に直接関与できる手段を持つ公的機関の中で、自らの専門性を活かして社会に貢献したいと考え、日本銀行に入行しました。

入行後に配属された金融市場局のリサーチチームでは、入行直前に発生した東日本大震災が金融市場における予想形成に与えた影響の分析などを行いました。学生時代に習得した知識を活用して、大震災直後の緊張感の高い金融市場動向の理解に貢献できたことは、大きなやりがいとなりました。一方で、日々の市況変動を踏まえたオペレーション、為替介入など、金融市場局での迅速な対応を目にして、日本銀行が直面するリサーチ課題に応えるためには、実務知識や経験の蓄積が必要だと痛感しました。

その後、横浜支店で主に製造業の産業調査に従事したあと、調査統計局に配属となり、日本の実体経済に関するリサーチに携わりました。このころは、人口動態などの構造変化やアベノミクスの開始などを背景に、日本の実体経済が大きく変化していました。この時期に、ミクロ調査からマクロ経済理論に基づいた分析まで、実体経済に関する様々なリサーチを行った経験は、今でも大変役立っています。

PhD留学を通して磨いたリサーチ力で政策運営に貢献

2015年からは、行内の公募・選考を経て、ロンドン大学のファイナンスPhDコースに4年間留学しました。1年目のコース履修で金融経済学やマクロ経済学の基礎を身に付けたのち、株式リスクプレミアムをメインテーマとして、理論・実証の両面から研究に没頭しました。留学により、コアとなる専門分野を確立できただけでなく、指導教員との共同研究や学会参加などを通じて学術的知見も広がり、リサーチャーとして大きなステップアップにつながりました。

帰国後は、企画局で金融政策に関するリサーチを担当しました。その中でも忘れられない仕事が、2021年3月に公表した「より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検」の中で行った、ETF買入れの効果に関する分析です。PhD留学を通して鍛えた資産価格理論に関する専門知識、そして企画局での業務を通じて得られた実務知識を組み合わせて、日本銀行の政策効果についての重要な情報発信にリサーチ面から貢献できたことは、中銀エコノミストとしての成長とやりがいを強く感じた経験でした。

現在は、金融研究所・ファイナンス研究グループで、気候変動問題が金融市場に与える影響などについて、機械学習やビッグデータ分析手法を活用しつつ分析しています。金融研究所は、最新の研究動向や分析手法に関する基礎研究を通じて専門性を高めつつ、気候変動問題などの重要な研究テーマにじっくりとチャレンジできる場であり、充実した毎日を送っています。

中銀エコノミストとしての決意

日本銀行でのリサーチの強みは、実務上の問題意識に裏打ちされた総合力だと考えています。これは、日本銀行が様々な政策課題に直面するなか、広い視野と問題意識を持つことが重要であることの裏返しでもあります。私自身、ファイナンス分野を中心にリサーチ経験を積んできましたが、実体経済についての分析経験や、金融市場や金融政策運営に関する実務知識などを併せ持つことが、政策運営に資するリサーチを行う上で極めて重要だと実感しています。今後も、専門性と視野の広さを大事にしつつ、中銀エコノミストとして成長し、その時々の政策課題にリサーチを通して貢献していきたいと考えています。

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