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【総合職】庄野 静

【総合職】庄野 静

企画局 企画調整課 企画役補佐 (現 ニューヨーク事務所)

2011年4月  企画局入行 2012年1月  名古屋支店 2014年1月  業務局 2015年9月  英国ロンドンスクールオブエコノミクス大学院留学 2016年9月  金融市場局 2018年7月  財務省出向 2020年7月  企画局

気候変動対応オペ

入行10年目から在籍した企画局企画調整課で、気候変動対応オペの制度策定に携わる幸運な機会を得ました。

この制度構築を通じて実感したのは、日本銀行には、未知の領域においても、自らができることを模索し、創意工夫して実現するという胆力とチーム力が存在するということです。

各国の中央銀行が、自らの使命に沿って、気候変動への対応を検討する中、日本銀行も、気候変動は「物価の安定」という使命に関わる課題であるとの認識のもとで、金融機関の行う気候変動関連の投融資に対して資金供給を行う仕組みの導入を決定しました。

とはいえ、中央銀行として、市場中立性への配慮から、ミクロの資源配分に極力立ち入らないなかで、個別の投融資が気候変動対応に資することをどのように確保するかが論点になりました。その解決策として浮上したのが、当該投融資については金融機関の自己申告に委ねる一方で、その判断基準を、対外的に開示していただくことで規律付けを図るというものでした。

このアイディアを具現化するため、まず、金融機関の方々のお話も含め、国際原則、官庁の取り組みなど、世の中で実施されている気候変動関連の投融資の情報を一つ一つ収集し、インプットする作業を積み上げました。そのうえで、日本銀行として行い得る/行うべき資金供給のあり方や、金融機関による対外的な開示内容について、課内、局内、および関係局との間で何度も議論を重ねました。こうして最終的に決定・公表したのが、「チーム気候変動」の結晶である、気候変動対応オペの「基本要領」と「運営に関する細目」です。

日本銀行においては、これまでも、他の中央銀行が行ったことのない各種制度を導入してきた経緯があります。時代の変化を捉えて、その時々における課題に対し、日本銀行としてどのように応えるか、チームメンバーそれぞれの経験やノウハウを持ち寄って、頭を悩ませ、制度を構築していく過程は、刺激的で意義深い体験です。気候変動対応オペの運営を通じて、少しでも日本全体の気候変動対応が進むことを願っています。

後輩が「チーム気候変動」の記念バッジを作成してくれました。

出向での経験

成長させていただいたと思う別の経験は、入行8年目からの財務省出向です。理財局国債業務課において、日本国債の入札事務と国債市場の情報収集・分析を担当しました。本邦における国債の発行は元々百数十兆円と大きな規模ですが、特に出向2年目はコロナ禍における経済対策に伴う補正予算が組まれたことから、国債の市中発行額は二百兆円を超えることとなり、それまで以上に円滑な資金調達が求められる、緊張感のある時期を過ごしました。

円滑な資金調達を行うには、入札担当係内での業務遂行、入札の実務を所管する日銀との連携、プライマリー・ディーラーや投資家の方々とのコミュニケーションがいずれも重要になります。市場の関心が目まぐるしく移り変わる中で、国債入札の実務を担う立場から今何に留意するべきなのか、情報収集をしながら考える日々でした。

財務省という別の組織に身を置いたことで、さらに色々な考え方に触れることができ、また、それまで内側からしか見てこなかった日本銀行を客観視する機会を得ました。何より、私一人では到底こなせない業務を一緒に支えて下さった係長や係員の方々、上司、貴重なご意見をもたらしてくださった市場関係者の方々とのかかわりによって、私の視野は大きく広がったと思います。

ここにしか無い業務

私が経験した業務以外にも、日本銀行には、他の組織には無い業務が多くあります。日本銀行特有の業務を、色々なバックグラウンドや専門性を持つ方とこなしていくことで得られる気づきは奥深いものです。議論をし、時には雑談をし、刺激を受けることで、人間的にも成長できます。今後も、環境に柔軟に対応しながら、自分なりの成長ができたらと思っています。

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