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【総合職】黒岡 映美

【総合職】黒岡 映美

ニューヨーク事務所 (現 業務局 総務課 国庫業務企画グループ 企画役)

2011年4月  国際局入行 2012年1月  高知支店 2013年4月  金融機構局 2016年9月  米国スタンフォード大学大学院留学 2018年6月  企画局 2020年7月  ニューヨーク事務所

金融規制に関する国際交渉の最前線

入行後、国際局と支店を経て配属された金融機構局では、国際的に活動する金融機関向けの金融規制(バーゼル規制)を担当しました。国際交渉の最前線に立つ上司へのサポートを通じて、国際的な利害調整や合意形成に必要なスキルを学んだほか、私自身もスイス・バーゼルの国際決済銀行に出張して、各国の中央銀行や金融当局とともに規制の見直しに向けた分析作業に取り組みました。

2007年以降の世界金融危機から教訓を得たバーゼル規制の改革は、入行前から日本銀行で経験したいと考えていた業務の1つでした。海外で発生した金融危機が、先輩や自分達の就職活動にもたらした影響を目の当たりにし、金融システムの重要性を実感したことで、国際的なルールの策定に興味を持ちました。

当時は、世界の金融規制の立案に携われる充実感と同時に、金融機関業務や国際交渉に関する専門性の不足を感じる場面もありました。そうした経験を踏まえ、その後に異動した金融機関のモニタリング部署で銀行の経営戦略やリスク管理に関する理解を深めたほか、スタンフォード大学に留学し、国際政治経済に関する幅広い知識の習得や英語での討論・交渉スキルの向上に努めました。

金融政策による緊急危機対応

留学後は、企画局で、日本銀行のバランスシートのモニタリングを担当しました。特に印象深かったのは、日本で開催した海外中央銀行との対面会合です。互いに経験や知恵をシェアすることで、金融政策運営やリスク管理に関する多くの示唆が得られたほか、いずれの先も共通の課題を抱えていることが分かり、中央銀行間の議論の重要性を実感しました。

次に、金融政策手段の企画・立案を担当しました。平時は金融政策手段が大きく変更されたり、新たな手段が導入されることは多くなく、私自身も制度や担保要件の改正に対応しつつ、将来の環境変化にも機動的に対応できるよう、中長期的観点に基づく政策調査に取り組んでいました。

そうした状況が大きく変わったのが、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行です。企業金融や金融市場の安定維持が必要となり、急遽「新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペレーション」の導入に取り組みました。新たな措置の検討から実施まで、急ピッチでの対応となりましたが、社会が求める施策の実現を通じて、中央銀行で働く醍醐味を感じることができました。

パンデミック禍のニューヨークで

その後、ニューヨーク事務所に赴任しました。当地におけるパンデミックのピークは過ぎていたとはいえ、健康と安全を最優先し、在宅勤務が基本となりました。

在宅勤務では、業務のデジタル化が必要です。米国では新たな技術の活用が広がっており、過去の発想にとらわれることなく事務見直しに取り組んだ結果、効率性と情報セキュリティ等の安全性の両立を図ることができました。

リサーチ面では、金融市場のモニタリングを担当しています。ニューヨークは世界の金融市場の中心で、大手金融機関やヘッジファンド等の経験豊富な市場参加者との議論では、日々の値動きに止まらない深い洞察が得られます。さらに、ニューヨーク連銀とは、同じ中央銀行の立場で、市場における金融政策の織り込みや市場の安定性に関する意見交換も行っています。

パンデミック禍の金融市場では、私が過去に担当していた国際的な金融規制や中央銀行の政策対応の影響も大きく、現在の業務でも当時の経験が役立っています。今後も幅広い分野の経験を重ねて視野を広げつつ、中央銀行員として本質を捉えた分析や判断を行うことができるよう努めたいと思います。

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