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【総合職】安藤 雅俊

【総合職】安藤 雅俊

経済協力開発機構 (OECD) 経済局 マクロ経済政策調査部 エコノミスト

2004年4月  業務局入行 2004年7月  名古屋支店 2006年7月  調査統計局 2008年7月  英国ロンドンスクールオブエコノミクス大学院留学 2009年7月  金融市場局 2012年8月  企画局 2013年6月  調査統計局 2015年6月  企画局 2016年6月  金融市場局 2018年6月  金融機構局 2021年6月  企画局 2024年9月  経済協力開発機構(OECD)出向

国際機関での経験

私は現在、経済協力開発機構(OECD)経済総局に出向し、マクロ経済の分析業務に携わっています。半期毎に公表されるEconomic Outlook(EO)の執筆は、経済総局に課された重要な任務の一つです。私が所属するマクロ経済政策調査課は、3つの章から構成されるEOのうち、世界経済の見通しやリスクの総合的な評価を行う第1章を担当しています。

世界経済は個別国の合計であり、両者の見通しは定量的・定性的に整合的でなければなりません。このため、マクロの担当者と各国担当デスクの横の連携は極めて重要です。定期的に意見交換を行いつつ、EO全体のメッセージが明確になるよう、慎重に分析・執筆を進めていきます。さらに、各国政府・中央銀行の代表やエコノミストが出席する国際会議での議論も踏まえ、記述をブラッシュアップしていきます。

EOの執筆は、局を挙げた一大プロジェクトであり、それだけに、公表に至った際にチーム全体で共有される達成感はとても大きなものがあります。また、私にとっては留学以来の海外生活で、且つ日本銀行とは異なる組織に身を置く初めての機会ということもあり、同僚との何気ないやり取りの中で気付かされることも多く、充実した日々を送っています。

経済・市場・金融・金融政策の各局を経験

OECD出向までのキャリアを振り返ると、金融政策と、その判断材料としての実体経済、金融市場、金融システム関連の各業務に、比較的バランス良く携わってこられたように思います。

調査統計局では、日本経済の情勢判断と短期経済予測の業務に携わりました。1度目は若手担当者として雇用や企業収益などを担当し、その中で、経済分析の基礎的手法や生産・支出・所得の循環の捉え方などを学びました。他のコンポーネントを担当する同僚からも多くの刺激を受け、「少なくとも自分の担当については他の誰よりも詳しくなければならない」という意識が強まりました。2度目は取り纏めとして、コンポーネント間の整合性を意識しつつ若手担当者の分析を指導し、日本経済全体の姿を描く作業を担当しました。立場や担当は変わっても真実を追い求める姿勢に変わりはありません。同僚と議論し、仮説と検証を繰り返した日々は、その後の銀行人生の糧になっています。

金融市場局では、為替や金利市場の分析を担当しました。当時は、ギリシャで顕在化した債務問題の余波が、次々と欧州各国に及んでいったタイミングでした。市場のスピード感を強烈に実感するとともに、日本銀行を含めた主要中央銀行による協調対応策が市場の緊張を和らげる現実を目の当たりにする中で、正確な処方箋を書くための市場分析の重要性を再認識させられました。管理職となった後、金融市場調節事務にも携わりました。調節事務は、各種の情報から市場の状況を見極めるところから始まります。そのうえで、金融市場調節方針を実現するべくオペの内容を検討し、実行します。オペに込めたメッセージが市場にうまく伝わり、市場が予想通りの反応を示すこともあれば、時に冷たい反応が返ってくることもあります。時々刻々と変化する金融市場と対峙する調節事務は、とてもライブ感があり、他所では得難い経験でした。

金融機構局では、大手金融機関の経営モニタリングを担当しました。貸出が金融政策の重要な波及経路であるところ、金融機関の行動原理への理解を深められたことは、とても良かったと感じています。また、LIBOR公表停止を見据え、金融機関のLIBORからの移行を促すべく、金融庁とともにLIBOR利用状況調査を一から企画し、その実施に漕ぎ着けた経験は、大きな成功体験となりました。

そして、企画局では、各局で得た知識・経験も活用し、金融政策決定会合、役員講演、国会の各種資料の作成などに携わりました。政策運営の企画・立案を担当する政策企画課の在籍期間中に、大規模緩和の終了など、政策運営上の大きな変化を迎えられたことは、貴重な財産です。

入行前の思い

私が学部生だった当時、日本経済は依然として1990年代後半に起きた金融危機の尾を引いていました。経済学者やエコノミストの間では、日本経済再生の方法について丁々発止の議論が行われ、日本銀行の金融政策が俎上に載せられることも多々ありました。これが、私が日本銀行に興味を持つきっかけになりました。

ただ、日本銀行の門をくぐった最大の理由は、その後の説明会や面接で出会った職員でした。鋭い洞察力と探究心、人間的な奥深さに、憧れのようなものを抱いたのをよく覚えています。入行して約20年が経った今、当時出会った職員に自分がどのくらい近付けているかは分かりませんが、今後も研鑽を続け、深みあるセントラルバンカーを目指していきたいと思います。

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