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【特定職(専門分野特定タイプ)】喜舎場 唯

【特定職(専門分野特定タイプ)】
経済専門
喜舎場 唯

調査統計局 経済調査課 マクロモデルグループ 主査 (現 企画役補佐)

2013年4月  調査統計局入行 経済調査課 マクロモデルグループ

私は、学生時代に学んだ計量経済学や時系列分析の知識を活かした仕事がしたいとの思いから、日本銀行を志望しました。入行以来、大規模マクロ計量モデルの開発・運用に携わっています。このモデルでは、日本経済の姿を描写できるほか、国内外で起こりうる様々なショックが日本の景気・物価へ波及する度合いについて、定量的なシミュレーションを行えるため、金融政策運営において欠かせない分析ツールとなっています。

2016年に英国のEU離脱が決まった際、それが日本経済にどの程度影響を与えるかについて、モデルを用いたシミュレーションを行うことになりました。当時、頼りにしていた先輩が出張で不在にしていたため、その作業を自分で行う必要に迫られました。一口にシミュレーション作業といっても、その工程はいくつもあります。具体的には、日本経済に加わるショックのシナリオ設定のほか、計量ソフトを用いたプログラムのコーディング、モデル内でのショックの波及メカニズムを踏まえたシミュレーション結果の解釈、といった具合です。一人ですべての工程をこなしたことがなく、不安もありましたが、それまで先輩方からいただいた技術的なアドバイスや、過去の分析事例を参考に、後輩と協力して作業をやりきることができました。 この経験は、責任と自信を持って分析を進めていくきっかけとなりました。

伝統的なマクロ経済分析では用いられなかった、「オルタナティブデータ」を使い、経済・物価動向に関する分析ができないかと考えています。特に新型コロナウイルス感染症の拡大以降は、携帯電話の位置情報に基づく人出のデータ等がマクロ経済分析で活用されており、注目度が高まっています。

もっとも、オルタナティブデータの活用にあたっては、いくつかの壁があります。例えば、大量のデータを取り扱うには、プログラミングなど専門的なスキルが求められます。一から勉強しなくてはならないことが多いですが、新しいことを学べる楽しみもあります。また、分析結果をマクロ経済の文脈で適切に解釈することも必要となりますが、これまでの分析業務で培ってきた経験が役に立つのではないかと思います。まだ学び始めたばかりですが、金融政策運営に新たな示唆を与えられる可能性を秘めた新しい取り組みに、やりがいを感じています。

日々目まぐるしく変化する経済情勢や、それに伴う政策運営に対応した分析を提供するには、これまでの自分自身の経験を糧にしつつ、新しい知識や技術を取り入れ、視野を広げる姿勢を持ち続けることが重要だと考えています。また、それらが組み合わさることで、オリジナリティ溢れる分析が可能になると思います。まだまだ道半ばですが、この分野のプロフェッショナルとして、価値の高い独自の分析を提供できる人材になることを目指しています。

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