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【特定職(専門分野特定タイプ)】井上 萌希
【特定職(専門分野特定タイプ)】
経済専門井上 萌希
国際決済銀行(BIS) 金融経済局 国際銀行金融統計 ヴィジティングスタティスティカルアナリスト
2012年4月 調査統計局入行 物価統計課 価格調査グループ
2014年4月 調査統計局物価統計課 物価統計改定グループ
2023年4月 国際決済銀行(BIS)出向
日本銀行での成長:統計の専門性とグローバルな視点の構築
2012年に日本銀行に入行、調査統計局・物価統計課に11年間在籍した後、2023年よりスイスの国際決済銀行(BIS)に出向し、48か国のBIS統計の取り纏めを行っています。
物価統計課では、企業間のモノやサービスの物価統計を毎月作成・公表しています。入行当初は価格調査グループで化学製品、電力ガスなどを担当しました。毎月、膨大な価格データを収集・精査する他、新しい調査先を開拓するなど、実際に企業訪問する機会も多くありました。企業ごとの価格戦略からデータ管理までを理解する必要があり、大学院で専攻したマーケティングでのフィールドワーク経験がこれらの業務に繋がったと感じます。また、物価統計改定グループでは、5年に一度実施される改定作業の中で、特にインターネット広告やポータルサイトなど、リアルタイムで変化を続けるサービス分野での統計改定に注力しました。プラットフォームの入れ替わりも激しく、ダイナミックプライシングが行われる新しい世界で、どのような価格調査が実現可能かつ適切なのかを探る、まさに統計を一から作り出すようなエキサイティングな仕事です。
上記の実務と並行し、サービス統計の整備を目的とする国際会議・フルバーグ会合の事務局メンバーを3年間務め、国際的にサービス統計の議論に関われたことも大きな転機でした。世界各国のサービス統計のスペシャリストとの意見交換を通し、日本銀行の統計精度や議論は世界水準に達していることを実感し、自分たちの業務に改めて自信を持つことができました。2019年には米国労働統計局での1ヶ月間の研修の機会をいただき、米国での物価統計作成方法を実務担当者から直接勉強できたことも大きな収穫でした。ここで得られた知見は物価統計課でさらにブラッシュアップされ、最終需要・中間需要物価指数(FD-ID指数)という新たな物価統計体系の導入に繋がりました。これは、世界の統計現場をみたことが直接的に日常の業務に活かされた経験といえます。
スイスでの挑戦:BISでの新たな経験と学び
現在はスイス・バーゼルの国際決済銀行(BIS)にて、国際的な資金の流れを捕捉するBIS統計のうち、主に、国際資金取引統計(LBS)の集計作業を担当しています。
物価統計とBIS統計では、調査対象も集計方法も異なりますが、データの収集・精査から公表にいたるプロセスや、時代のニーズに合わせた統計見直しの重要性は共通しており、物価統計課での11年の実務経験が基礎となっていることは間違いありません。物価統計課ではチームで仕事に取り組むことが多かったのですが、BISでは、より一人一人の職務が細分化され、48カ国の中央銀行から集まる膨大なデータの精査を基本的に私一人が担当しています。当初はこの効率的ともいえる体制や責任の重さに戸惑いましたが、今までの統計分野での経験と、豊富なBIS統計の実務経験を持つ同僚の支えにより、スムーズに仕事にキャッチアップできました。
私の所属するチームは、ヨーロッパ、北米、アジア各国からの15名ほどの同僚で構成されていますが、全員が20年以上の実務経験を持つ統計のスペシャリストです。統計に関する専門知識が豊富で、誇りをもって仕事をしている同僚に囲まれることで、長年のキャリアにわたって統計の専門知識を蓄積し、統計を発展させていく意義を日々感じます。
未来への展望:統計分野での継続的な挑戦
近年のデジタル化、気候変動に加え、コロナウイルスの蔓延、それ以降の世界情勢の不安定化など、目まぐるしく変化し続ける世界情勢を背景に、その経済状況をどのように捕捉していくのか、世界中が同じ課題に直面しています。
統計は過去・現在・未来、そして日本と世界をつなぐ仕事であり、先人の方が脈々と作り上げてきた統計の継続性は担保しながらも、常に開かれた眼で世界中の新たな動きを注視し、チャレンジし続けることが重要かと思います。日本銀行の経済統計のスペシャリストとして、その一端を担うことができるよう、日々の仕事に邁進していきたいと思います。
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