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総裁記者会見要旨(9月16日)

G7終了後の谷垣大臣・福井総裁内外記者会見における総裁発言要旨

2006年9月17日
日本銀行

―於・シンガポール
2006年 9月16日(土)
午後6時55分から約30分(現地時間)

【冒頭発言】

 世界経済は、石油価格の高止まりや米国経済の減速といった問題を含みながらも、各国経済がそれぞれ相補いながら、全体として順調に推移していることが改めて確認されました。加えて、世界各国の政策運営当局者としては、現状に満足することなく、先行きの予見される様々なリスクを早めに十分理解しながら、今後ともよりバランスのとれた世界経済の運営ができるように、さらなる努力が必要だということを確認しあいました。これは最も重要なポイントであったと思っています。  幸い日本経済についても、ゼロ金利という異例の状況から脱却することができました。今後、世界経済全体の流れの中に日本経済をより有機的に組み込んでいき、相互の緊密な連関のもとに日本経済のさらなる安定的な成長を図っていくための枠組みを、金融政策の面から整えることができました。このことは、中央銀行だけでなく世界の政策当局者に広く理解が行き届いているということも確認できました。

(以下質疑)

【問】

 ゼロ金利政策の解除については、各国の政策当局者に理解が行き届いていることが確認されたという話がありましたが、具体的に各国からどのような反応があったのかお伺いします。

【答】

 会議の席や会場外での話し合いを通じて、先ほど申し上げたことを感じたということです。日本経済について、今後とも物価の安定を保ちながら緩やかで息の長い成長経路を確保していくという金融政策が目標としているところを、正しく理解されている。そのために、日本銀行は、ゼロ金利は脱却したが今後の金利引き上げのプロセスについて、決して焦ることなく、経済・物価の情勢に合わせて段階的にゆっくりと行っていくことも、十分理解されている。IMFのラト専務理事も来ておられましたが、何の違和感もなく私の話を聞いて頂けたのではないかと認識しています。

【問】

 G7終了前後の記者会見で、一部から日本の利上げペースが少し遅過ぎるのではないかとの声も出ているようです。本日の議論の中で全体として理解が得られているとのお話でしたが、一方で、少し遅過ぎるのではないかという話もあったのでしょうか。

【答】

 個別の国の金融政策について、そこまで細かく話す時間的余裕はなく議論したわけではありませんが、世界経済全体の中でどこかの国の政策に違和感があるとか、そのような感じのことが出る筋合いの議論の進め方ではあります。しかし、日本経済の運営の仕方、特に日本銀行の金融政策の運営の仕方について、早過ぎるとも遅過ぎるとも、そのように批判めいた意見は出ていませんでした。むしろ、全体としてゆっくり利上げをしていくことが、世界経済と日本経済の現状を相互に照らし合わせたときに、納得できるという感じの議論であったと思います。

【問】

 米国のポールソン財務長官が初めてG7に出席されたわけですが、何か印象があれば教えてください。

【答】

 私は、随分前からポールソン氏を個人的に存じ上げていますが、例えば経済をみる時も、どこかの国の経済を個別に切り出して考えるのでなく、世界中の国の経済を常につなげて相互の連関性を頭においている人です。マーケットについても、為替市場だ、債券市場だ、株式市場だ、あるいはデリバティブズ市場だと、別々にものを考えるのではなく、市場相互の連関を重要視する人です。さらに言えば、実体経済とマーケットを別のものとして考えず、相互のリアクションをいつも念頭においている人です。大変ダイナミックな人ですが、経済を見る目、物の考え方もダイナミックで、本日の議論にもそれは明確に出ていたと思います。

以上