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【挨拶】令和5年「証券投資の日」における挨拶

日本銀行総裁 植田 和男
2023年9月20日

日本銀行の植田です。10月4日の「証券投資の日」に向けて、メッセージを送らせていただきます。

私たちは今、「人生100年時代」とも言われる長寿社会を生きています。そうした中、長い人生を自分らしく生きるための選択肢は、近年増えています。例えば、職業やキャリアという面でみても、学校卒業後に一つの会社で定年まで勤め上げるという働き方だけではなく、転職、副業、起業、フリーランスといった様々な選択ができるようになりました。リモートワークの普及により、移住をする人も増えています。このように、ライフスタイルや価値観が多様になり、それらが尊重される中にあっても、すべての人に共通して、これまでと変わらないものがあります。それは、お金の大切さです。私たち一人ひとりが、長い人生を自分らしく、豊かに暮らしていくために大切なものはたくさんありますが、お金の面で、備えができていることも、とても重要です。なぜならば、お金は、私たちの日々の生活、あるいは長い人生のあらゆる場面において、必要不可欠なものだからです。

そして、そのためには、金融やお金に関する正しい知識や適切な判断力、いわゆる「金融リテラシー」を身に付ける必要があります。

「金融リテラシー」には、お金の収支管理を適切に行う「家計管理」、ライフプラン実現のためにお金に関する長期的な計画を立てる「生活設計」、金融商品の特性やリスク、長期・積立・分散投資の効果などを理解し、将来必要なお金を確保する「資産形成」に加え、消費生活の基礎や金融トラブルの未然防止など、幅広いテーマがあります。いずれも私たちの日常の生活と深い関わりがある、とても大切な内容です。

この「金融リテラシー」を身に付けるための教材の一つに、eラーニング講座「マネビタ」があります。これは日本銀行が事務局を務める金融広報中央委員会のほか、日本証券業協会をはじめとする多くの金融関係団体、さらには金融庁や消費者庁などの金融経済教育の専門家が連携して制作した無料の動画コンテンツです。基本的な内容が分かりやすく、コンパクトにまとまっています。この9月からは、金融広報中央委員会のホームページ上でも、一般公開をしていますので、ぜひご覧になってください。

この「証券投資の日」を、皆さまが「金融リテラシー」を高めるきっかけとしていただけることを祈念して、私のメッセージとさせていただきます。