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質問金融システムの安定を確保し、その強化を図るために、日本銀行はどのような役割を果たしていますか?

教えて!にちぎん

回答

日本銀行は、金融システムの安定(信用秩序の維持)を図るため、日本銀行券や日本銀行当座預金という安全で便利な決済手段を提供しています。また、金融システムの安定には、金融仲介機能や決済機能の担い手である金融機関が、これらの機能の遂行に伴うリスクを適切に管理し、安定的に経営を行うことが重要です。このため、日本銀行は、考査オフサイト・モニタリングを通じて、個別金融機関の経営実態の把握に努め、必要に応じ経営改善に向けた助言等を行っています。このほか、各種セミナーの開催や論文の公表などの諸活動を通じて、リスク管理・経営管理手法の改善等に向けた金融機関の取り組みを後押ししています。

金融システムの安定を図るためには、個別金融機関が抱えるリスクを把握し、経営の改善を促すといったミクロ・プルーデンスの視点だけでなく、金融システムを全体として捉えてリスクの所在を分析・評価し、それに基づいて対応を図っていくマクロ・プルーデンスの視点も重要です。日本銀行は、こうした視点も踏まえて金融システムの安定性を評価し、その結果を日本銀行の政策・業務に活用するとともに、金融システムレポートを通じて対外的に公表しています。

以上のようなミクロ、マクロ両面からのリスクの把握および分析・評価と、それに基づく施策の実施にもかかわらず、システミック・リスクが現実のものとなる可能性が高まった場合には、これを回避するため、日本銀行は、必要に応じ最後の貸し手機能を発揮して、一時的な資金不足に陥った金融機関に対し、必要な資金を供給することがあります。

金融市場のグローバル化が進むなかにあって、金融システムの安定確保を図るためには、国際的な取り組みの必要性が一段と高まっています。日本銀行は、海外の中央銀行や銀行監督当局との間で、金融システムの課題について認識の共有や意見交換を図りながら連携・協力するとともに、金融規制の見直し等を巡る国際的な議論にも参画しています。