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【講演】 金融市場に関する理論と中央銀行 日本金融学会2017年度春季大会における特別講演

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日本銀行総裁 黒田 東彦
2017年5月27日

1.はじめに

日本銀行の黒田です。日本金融学会という栄えある場でお話しする機会を賜り、誠に光栄に存じます。

本日のテーマは金融市場です。金融市場と聞いてすぐ思い浮かぶのは、日々、新聞やニュースで報道される株価や為替相場であり、企業や個人投資家にとっても馴染みのあるものです。しかし、その取引の具体的な仕組みや価格形成の在り方、さらに金利や債券、デリバティブ取引等に話が及ぶと、途端に技術的な色彩が濃くなり、専門性が強まる分野とも言えます。

振り返ってみますと、私自身、これまでも様々な立場で金融市場と関わってまいりました。かつて財務省においては、日本の為替政策の当局者として、外国為替市場と日々接してきました。また、アジア開発銀行(ADB)では、開発金融に必要な資金を債券の発行によりグローバルな金融市場から調達していました。そして、現在、日本銀行では、「物価の安定」を使命として金融政策を運営する立場から、金融市場と深く関わっています。具体的には、年8回の金融政策決定会合において、経済・物価の状況や金融情勢を踏まえ、「物価の安定」を達成するために金融市場調節方針を決定します。その方針に基づいて、日本銀行は、日々、金融市場において国債などの金融資産の買入れといった市場オペレーションを行っています。そのほかにも、市場インフラの整備や市場関連データの作成、決済インフラの提供も含め、金融市場と多面的な関わりを有しています。

これらの機会を通じていつも感じていることは、金融市場は理論と現実が交錯する場である、ということです。例えば、株価や為替相場の決まり方は、豊富なデータが継続的に生産される金融市場の特性を映じ、理論的分析に比較的馴染みやすいテーマです。現に、本日お集まりの皆様をはじめ、学界関係者の方々が金融市場に関する理論を発展させ、金融市場の理解をリードしてきました。他方で、金融市場には、資金の調達者、運用者、そして政策当局者等の様々な主体が広く関わり、各々の現実の行動を通じて、市場価格が毎日成立しています。その際、金融市場がまさに理論通りに動くこともありますが、逆に、金融市場の展開が理論の予想するところとは異なるケースも少なくありません。そうした理論と現実の乖離を埋め合わせていくことは、新たな理論の構築のきっかけとなり、それを基に市場参加者の行動が改めて合理的に説明されるということもあります。

このように、金融市場は理論と実務が互いに刺激し合いながら、発展を続けています。本日は、この点を念頭に置きながら、金融市場に関する理論についてお話しするとともに、中央銀行の観点からみた金融市場の実際に触れることで、理論と実践の橋渡しを試みたいと思います。

2.金融市場に関する伝統的な理論

先ず、金融市場に関する伝統的な理論を確認することから話を始めたいと思います。金融市場においては、様々な資産や商品が、多様な参加者によって取引され、その結果として価格が決定されています。金融市場における価値の評価や価格付けに関しては、二つの基本的な考え方が広く共有されています。

本源的な価値

一つは、市場で形成される価格は、取引される資産や商品の本源的な経済価値に基づいており、したがって、それは理論的に説明可能であるというものです。資産価格については、その対象となる金融資産が将来生み出すキャッシュフローを現在の価値で評価したものが基本になると考えられ、例えば、株式市場では、「株価は企業の将来収益の現在価値で定まる」との考え方が代表的です。このほか、債券市場で形成される長期金利については、「将来の短期金利予想値の平均」を基本的な考え方としつつ、これにタームプレミアムを加えて長期金利を説明する理論が形成されています。また、為替市場に関しては、「長期的な為替レートの変動については内外の物価上昇率格差が反映される」、言い換えればいわゆる購買力平価が基準値を形成すると考えられています。

もっとも、実際の金融市場では、ほかにも様々な要因の影響を受けるため、今申し上げたような理論に基づいて短期的な市場の動きを完全に説明できるものではありませんし、一定期間をとってみても理論の当てはまりや説明力には少なからず差があります。それでも、本源的な経済価値に基づく理論は市場価格の評価や分析の基礎ないし出発点として、大きな意義が認められているように思います。さらに、理論的な価格と市場価格との乖離が長期にわたって継続する場合、その背景に関する分析は、理論と実務のそれぞれにおいて、重要な意味があると考えられます。

効率的な市場

もう一つの理解は、商品間や市場間の関係に着目して、公正で透明性の高い金融市場において形成される価格に、裁定機会は残らないというものです。明らかな裁定機会が放置されていれば、その収益機会を誰かが利用することによって価格は是正されるはずです。利益を追求する民間経済主体の存在を前提とすれば、このことに違和感は少ないように思われます。

もちろん、前提として、投資家の行動が合理的であることや、価格に影響するような情報は瞬く間に拡散し、市場において情報の偏在が存在しないといった強い条件が仮定されており、現実に当てはまらないケースを挙げることは難しいことではありません。しかし、この理論の意義は、むしろ、金融市場の機能に関する基本的な視座を提供する点にあるのではないかと思います。仮に裁定機会が放置されているように見えるとすれば、それはなぜなのか、適応や調整に時間を要しているだけで自律的な調整が想定されるのか、それとも、何らかの対応を講じることで人為的に是正がはかられるべきなのか、といった議論においては、暗黙のうちにこの理論が前提とされているように思われます。

3.現実の市場との相互フィードバック

このように、金融市場に関する伝統的な理論が持つ意義は、学界のみならず、多くの市場参加者の間で大方受け入れられているように思われますが、現実の金融市場では、先程来申し上げているとおり、こうした理論に基づく説明が難しい事象も少なくありません。この難しさの背景となる要因については様々なものが考えられますが、以下では三つの点について説明したいと思います。

市場に関するデータ利用の難しさ

伝統的な理論がそのまま通用し難い要因の一つは、実用面でのハードルです。資産価格の関連では、予想物価上昇率や長期金利に含まれるタームプレミアムのように、概念としては明確であっても、直接には観察不可能であったり、そのモデル化や定式化にコンセンサスが形成されていないため推計結果は相当な幅をもってみる必要があったりするなど、実務上の利用に制約がある場合は少なくありません。

加えて、データのアベイラビリティが実務上の高いハードルとなる場合もあります。先程申し上げた観察不可能なデータのほかにも、収集が行われていないもの、私的情報と位置付けられて一般的な利用が想定されていないもの、有用性に気付かれることなく埋もれてしまっているものなどがあります。

この点に関連して、近年、自然言語処理や画像認識、機械学習といった情報処理技術の進化とコンピュータの性能向上を背景に、従来は想定されていなかった種類の情報や莫大なデータを、投資判断や市場分析に活用する動きが広がっていることは注目されます1。プライバシーや情報セキュリティの確保といった取り組みを伴いつつ、利用可能な情報が拡大して、市場の効率性が高まる方向へ作用することが期待されます。

  1. 「AIと金融のフロンティア」(日本銀行決済機構局・金融市場局合同コンファレンス「AIと金融サービス・金融市場」における挨拶、2017年4月)。

市場における特異な動き

次に、金融市場では、裁定機会の残らない効率的な市場や合理的な投資家を前提とする限り容易には説明し難いアノマリーと呼ばれる事象が観察されることが従来からよく知られています。このなかには、曜日や月などに応じた市場の動きに規則性を見出すカレンダー効果や、時価総額の大小により期待リターンが異なる傾向を示す小型株効果といった、市場の動きに関するものがあります。そのほか、「投資家の将来予想は過去の経験値から過度の影響を受けてバイアスがかかりやすい」とか、「投資家のリスク選好はその時点までの損益発生状況によって大きく変わり得る」など、投資家心理としてはある程度理解しやすいものもあります。これらのアノマリーについて、単なる不合理な事象として片付けるのではなく、心理学などを用いた学際的なアプローチにより、行動経済学といった形で新たな理論の構築が進んでいる分野もあります。

市場構造の変化

さらに、市場における日々の値動きとは別に、取引のインフラストラクチャーを含む構造的な変化をどのように把握し、分析に取り入れていくかという点は、長年の課題です。この点、実務家の観点からは明らかな構造変化であっても、事実の正確な認識に当たり高い専門性を要することもあり、なかなか体系的な理論のサポートが得られ難い分野があるように思います。

例えば、市場取引の場として、立会や電話などの人を介した取引は大きく減少し、電子的プラットフォームを通じた取引が主流となるなかで、取引執行に要する時間は飛躍的に短期化しています。そのもとで、取引の手法として、アルゴリズムに基づく取引執行が広がっているほか、高頻度取引のウエイトが高まっている市場もみられています。その一方で、市場参加者として、伝統的な金融仲介機関や投資信託に加えて、ソブリン・ウエルス・ファンドや年金基金といった機関投資家のプレゼンスが増すことにより、投資のスタイルが多様化したり、リターンを求める時間軸が長くなる方向へ変わってきている可能性もあります。

こうした構造変化が市場における価格形成に何がしかの影響を与えていることは間違いないように思われますが、定性的な説明は可能であるとしても、影響の程度を定量的に把握することは容易ではありません。さらに、そうした影響が存在することを認めたとしても、その持続性の評価も含めて、どの程度の意味を見出すかについては、見方が分かれる場合も少なくありません。それでも、市場の値動きが従来とは異なるパターンをたどるなど、説明し難い事象を扱う際には、こうした市場構造の変化という視点が分析上の重要な手掛かりとなることが少なくないように思われます。また、政策当局者の観点からは、平時の市場分析に留まらず、危機時の状況判断や対応策の検討などにおいて、市場構造の変化に関する理解を深めておくことは極めて重要と考えられます。

4.最近の特徴的な出来事

以上、金融市場に関する理論と現実の分断の要因について三点申し述べました。そこで次に、こうした両者の間のギャップに関連する二つの具体的な事例を挙げてみたいと思います。

フラッシュ・イベント

一つは、近年、主要な市場で発生した短時間での価格の急変動、いわゆるフラッシュ・イベントです。広く知られているだけでも、2010年5月の米国の株式市場2のほか、2014年10月の米国債市場3、2016年10月の英国ポンドの為替市場4での出来事が挙げられます。これらのケースでは、ごく短時間の間に、価格または利回りが急低下した後、比較的早期に急回復したという特徴があります。いずれも、流動性が相対的に高いとみられている主要市場で発生したこともあり、大きな話題となりました。実際に何が起きたのかについて、全容がすべて解明されているわけではありませんが、それぞれの関連当局等の分析では、原因は一つに求められるのではなく、複合的な要因によって発生したとの見方が示されています。具体的には、マーケットメイクを行う伝統的な金融仲介者のプレゼンス低下や、アルゴリズム取引や高頻度取引といった機械取引の拡大が、市場の急変動に拍車をかけた可能性などが指摘されているところです。

幸い、これらのフラッシュ・イベントがグローバルな金融市場全般に波及し、企業や国の資金調達や投資家の資金運用に混乱をもたらす事態は避けられました。しかし、仮に同様の事象が主要市場で頻繁に発生すれば、金融システムや実体経済活動に悪影響を与える可能性が全くないとは言い切れません。フラッシュ・イベントの発生メカニズムは、従来の理論のみでは容易に説明できず、市場構造の詳細や市場参加者の行動パターンといった幅広い視点に基づいた分析の蓄積と、理論的な研究が待たれるところです。

  1. 2U.S. Commodity Futures Trading Commission and U.S. Securities and Exchange Commission (2010), "Findings regarding the Market Events of May 6, 2010."
  2. 3 U.S. Department of the Treasury, Board of Governors of the Federal Reserve System, Federal Reserve Bank of New York, U.S. Securities and Exchange Commission, and U.S. Commodity Futures Trading Commission (2015), "The U.S. Treasury Market on October 15, 2014. "
  3. 4Bank for International Settlements (2017), "The sterling 'flash event' of 7 October 2016."

金融規制の影響

もう一つの事例は、金融危機後のグローバルな金融規制の見直しの影響です。金融規制の強化それ自体は、金融危機の原因となった金融機関や投資家の過度のリスクテイク行動や金融不均衡を抑制するものであり、必要な対応です。しかし、規制の内容や見直しの進め方によっては、金融機関のマーケットメイクや各種の裁定活動に、事前の想定を上回る影響を与える可能性があります。

最近では、米国におけるマネー・マーケット・ファンドの健全性強化を目的とした規制改革の導入をきっかけに、投資先を国債などのソブリン債務に限定したファンドへ資金が大規模にシフトしました。その結果、従来マネー・マーケット・ファンドが担っていた海外の金融機関に対するドルの供給が制約され、ドル調達コストに影響を与えたと指摘されています。理論的には、規制改革の前後で資金の総量が変わるわけではないため、裁定が働いて別のチャネルを通じたドル供給が可能になれば、海外の金融機関のドル調達コストは従前の水準に程なく戻るはずとの議論は可能です。確かに、そうした新たなドルの供給者が登場している例が聞かれ始めていますが、ドルの供給・調達の双方の市場参加者が新しい環境に適応して行動するようになるまでには、相応の時間を要するように窺われます。

同様に、米国の短期金融市場では、レバレッジ比率規制等に起因するバランスシート制約が強まるもとで、米国の銀行が金利裁定行動を消極化させた点が報告されています。そうしたもとで、短期金融市場の構造に関する米国固有の事情もありますが、導入当初は金利のフロア機能を果たすと想定されていたFRBの準備預金への付利金利は、現状、事実上の上限金利へと性質を変えています。FRBはそうした付利金利の現実の役割を踏まえて、リバースレポという新たな資金吸収手段を提供することにより市場金利のフロアを形成する形で、金融政策の正常化プロセスを進めています。ここに、金融システムに多額の流動性が存在する環境のもとで金利の引き上げを行うための新たな実務が生まれています。規制や制度的な要因が市場の金利形成メカニズム、さらには中央銀行の市場オペレーションの在り方に大きな影響を与えた一例と言えましょう。

5.中央銀行と市場の関わり

(1)市場機能の維持・向上

以上申し述べたような、金融市場に関する理論と現実との相互フィードバックは、中央銀行にとって重要な意味を持っています。

先ず実務に近い点から申し上げると、金融政策は、中央銀行が金融市場においてオペレーションを行うことによってその価格に働き掛け、これが裁定を通じて市場全体に波及していくことを通じてその効果を発揮します。したがって、市場機能の維持と向上は、中央銀行にとって大変重要なテーマです。

この点に関連して申し上げると、日本銀行は、昨年9月以来、短期政策金利を-0.1%としたうえで、10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう国債買入れを行う、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)を行っています。この枠組みのもとでは、金融市場調節方針において操作目標として示す長短金利の水準を、イールドカーブ全体と整合的に結び付ける接点が市場メカニズムと言えます。また、市場の状況に応じて日本銀行が保有する国債を一時的に貸出す国債補完供給も、国債市場におけるこうした市場メカニズムをサポートする観点から行っているものです。

このほかにも、日本銀行は従来から、金融市場を安全で機能性の高いものにする観点から、短期金融市場や外国為替市場等の市場慣行の整備や、国債の決済期間の短縮化、市場レベルでの業務継続体制の整備などを積極的に支援してきました。また、市場取引レートの収集と公表によって有用なデータのアベイラビリティを高めるなど、広い意味での市場の基盤整備にも取り組んでいます。本日は詳しく述べませんが、頑健で使い勝手のよい決済システムの提供と安定的な運行の確保も、こうした観点から位置付けることが可能です。日本銀行としては、市場機能の維持・向上に向けたこれらの地道な取り組みを今後も続けていきたいと考えています。

(2)非伝統的金融政策と金融市場

これまで伝統的には、中央銀行の行う金融政策は、短期国債の売買などを通じて短期金利に働き掛け、これが長期金利や他の金融資産の価格に影響を及ぼすことを主たるメカニズムとしてきました。もっとも、グローバルな金融危機後、各国の中央銀行は、名目短期金利のいわゆる「ゼロ金利制約」に直面するもとで、経済の大幅な落ち込みに対応するため、長期国債やCP、社債などのリスク性資産の買入れなどを行い、長期金利や各種のリスク・プレミアムに直接的に働きかける政策を実施してきました。いわゆる「非伝統的金融政策」と呼ばれるものです。この結果、中央銀行の市場におけるプレゼンスは格段に大きくなり、金融市場との関わりも従来とは変わってきています。

こうした「非伝統的金融政策」は、金融市場の安定を確保し、経済活動をサポートするうえで大きな効果を発揮したことは間違いありません。ただし、それと同時に、様々な経済主体の行動や予想を織り込んで形成される「市場価格」の分析において、「中央銀行による政策の効果」との間の相互作用という新たな課題をもたらしており、今後、研究を深めていく必要があります。また、金融市場の動向は消費者や企業経営者のマインド、ひいては支出活動に影響を与え、結果的に経済の振幅を大きくしてしまう可能性があるだけに、マクロ政策当局者として、金融市場と実体経済の相互作用の状況を適切に把握することは極めて重要です。

(3)マーケット・インテリジェンス

このように、金融市場が発する情報を素材としつつ、中央銀行は政策立案や自らの市場オペレーションの前提となる分析を行うわけですが、複雑な市場の動きの要因や背景を理解することは、決して簡単ではありません。その際には、金融資産の本源的価値や市場の効率性に関する伝統的な理論はもとより、「非伝統的金融政策」のもとでの市場価格の形成といった新たな研究成果から得られる知見も活用しつつ、また、実際に取引を行っている市場参加者の見方も踏まえるなど、多角的な分析が肝要です。また、投資家の特性や取引手法に加えて、制度や規制といった市場構造等に関する理解を常日頃から深め、その潜在的な影響に関する問題意識を磨いておくことも必要と考えられます。

このような市場動向に関する情報収集と分析を、「マーケット・インテリジェンス」と呼びますが、このプロセスにおいては、金融市場の多様な参加者との意見交換は不可欠です。できるだけ多くの市場参加者の理解や見解を共有することによって金融市場の本質に迫れる部分が確かにあるように思われます。日本銀行の役職員が様々なレベルで幅広く市場参加者と接点を有したり、短期金融市場や債券市場の参加者を対象とするサーベイ調査を実施していることも、こうした取り組みの一環と位置付けることができます。

6.結びにかえて

以上申し述べてきたとおり、金融市場とは、中央銀行にとって、金融政策を遂行する金融市場調節の場であるだけでなく、有益な情報が得られる場でもあります。また、中央銀行は金融政策の円滑な波及の条件として、市場の健全な機能の発揮に大きな関心を有しています。

そうしたもとで、日本銀行は中央銀行として、金融市場に関する理論の発展から大きな恩恵を受けるとともに、政策運営や金融市場調節、分析等の実務を通じて得られた知見を活用しつつ、自らも理論の研究にも力を注いでいます。このようなユニークな立場から、今後も、理論と実践の橋渡しの役割を果たしていけることができればと考えています。

本日、このような場において、学界を代表する方々と金融市場の実務家による議論が行われることは大変意義のあることだと思います。本日の会合が皆様にとって有益な機会になるとともに、金融市場に関する研究の進展が、金融市場に関する理解を深め、経済社会のさらなる発展に寄与するものとなるよう、心より祈念しております。

ご清聴ありがとうございました。