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預金保険機構・金融機能早期健全化勘定への貸付けに係る当面の基本方針に関する件

1999年4月13日
(議決日 1999年3月3日)
日本銀行政策委員会

平成10年10月に制定、施行された金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律では、(1)預金保険機構が金融再生委員会の承認を受け、整理回収銀行に委託して金融機関に対し株式の引受け等による資本投入を行うことができること(以下、この仕組みによる資本投入を「公的資本投入」という。)、(2)当該株式の引受け等のために要する資金については、預金保険機構が整理回収銀行への貸付けを行うことができること、(3)預金保険機構が整理回収銀行への当該貸付けを行うために要する資金については、預金保険機構が日本銀行、金融機関その他の者からの資金の借入れや債券発行を行うことができ、また当該借入れ、債券に係る預金保険機構の債務につき政府が債務保証を行い得ること、(4)預金保険機構が当該借入れを行う場合には、日本銀行は、日本銀行法第43条第1項の規定(日本銀行法に規定された業務以外の業務を原則として行ってはならない旨の規定)に拘わらず、預金保険機構への貸付けを行い得ること、が定められている。

こうした法的枠組みの中で、平成11年1月以降、公的資本投入を受けるための申請を予定していた大手銀行15行について、金融再生委員会による予備審査が進められ、同年3月初には、総額7.5兆円弱に上る公的資本投入を同月中に実施することにつき、正式な申請が見込まれる情勢となった。

以上のような状況の下で、平成11年3月3日、金融再生委員会から本委員会に対し、同年3月中に実施が見込まれる大手銀行15行への公的資本投入に係る、預金保険機構・金融機能早期健全化勘定の資金調達について、金融再生委員会作成の資金調達案(当初の日本銀行からの借入れ予定金額を全体の半分を下回る規模とし、その後これを漸次減額のうえ、平成15年3月末以降は日本銀行からの借入れをゼロとするもの。)に協力して欲しい旨の要請があった。

上記の金融再生委員会の要請を受け、本委員会は、平成11年3月3日、大手銀行15行への公的資本投入に係る、預金保険機構・金融機能早期健全化勘定への日本銀行貸付けの基本方針に関し、以下のとおり決定した。

預金保険機構に対する日本銀行貸付けは、本来、一時的なつなぎ資金であり、最大限の民間調達努力が尽くされた上での補完的資金供与である。他方、今回の公的資金による資本増強は、わが国金融システムに対する信認回復のため極めて重要な意義を有する。以上の点を勘案し、下記事項を条件に、日本銀行として、金融再生委員会の要請に応じ、基準貸付利率のうち「国債、特に指定する債券または商業手形に準ずる手形を担保とする貸付利率」による貸付け(期間、6か月程度)を実施する方針である旨、回答を行うこと。

  1. 政府保証が付されること。
  2. 日本銀行としては、金融再生委員会から示された資金調達案における日本銀行からの借入れ予定金額を日本銀行貸付けの上限金額とし、日本銀行貸付けを平成15年3月末までの間に極力速やかに返済するよう、求めること。
  3. 万一、日本銀行貸付けが上記2.の上限金額を著しく上回る場合には、日本銀行として、適用金利の見直しを検討すること。