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金融経済月報(基本的見解1)(2005年 4月)2

  1. 本「基本的見解」は、4月5日、6日開催の政策委員会・金融政策決定会合で決定されたものである。
  2. 本稿は、4月5日、6日に開催された政策委員会・金融政策決定会合の時点で利用可能であった情報をもとに記述されている。

2005年 4月 6日
日本銀行

 わが国の景気は、IT関連分野における調整の動きを伴いつつも、基調としては回復を続けている。

 輸出は持ち直しつつあるが、IT関連分野の在庫調整が続いていることなどから、生産は横ばい圏内の動きとなっており、企業の業況感にはやや慎重さがうかがわれる。一方、設備投資をみると、企業収益が改善基調を維持するもとで、製造業を中心に増加傾向にある。また、雇用面での改善傾向が続き、雇用者所得も下げ止まりが明確になる中で、個人消費は底堅く推移している。この間、住宅投資は横ばい圏内で推移しており、公共投資は基調としては減少傾向にある。

 先行きについても、景気は回復を続けていくとみられる。

 すなわち、海外経済の拡大が続き、内需も増加を続けるもとで、IT関連分野の調整の影響が弱まるにつれて、輸出や生産は増加していくとみられる。企業の過剰設備・過剰債務などの構造的な調整圧力も和らいできている。また、企業の人件費抑制姿勢は引き続き根強いとみられるが、企業収益が増加し雇用過剰感も払拭されていくもとで、雇用者所得は緩やかに増加していく可能性が高い。この間、公共投資は、基調としては減少傾向をたどると見込まれる。

 なお、IT関連需要や原油価格の動向と、その内外経済への影響については、引き続き留意する必要がある。

 物価の現状をみると、国内企業物価は、昨年末にかけて原油価格がいったん反落したことなどから、足もと弱含んでいる。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、電気・電話料金引き下げの影響もあって、小幅のマイナスとなっている。

 物価の先行きについて、国内企業物価は、内外商品市況の上昇を受けて、強含んでいく可能性が高い。一方、消費者物価の前年比は、需給環境が改善方向にあるとは言え、当面なお緩和した状況が続くもとで、電気・電話料金引き下げの影響が続くこともあって、小幅のマイナスで推移すると予想される。

 金融面をみると、企業金融を巡る環境は、総じて緩和の方向にある。CP・社債の発行環境は良好な状況にあるほか、民間銀行の貸出姿勢は緩和してきている。企業からみた金融機関の貸出態度も引き続き改善している。こうしたもとで、民間の資金需要は回復方向の動きに一服感がみられているものの、民間銀行貸出は減少幅が緩やかに縮小している。CP・社債の発行残高は引き続き前年を上回って推移している。マネタリーベースの伸び率は前年比2%となっており、マネーサプライは前年比2%程度の伸びが続いている。なお、銀行券発行残高の伸び率は前年比3%台となっている。金融市場の動きをみると、日本銀行による潤沢な資金供給のもとで、短期金融市場ではきわめて緩和的な状況が続いている。為替・資本市場では、前月と比べ、長期金利は低下し、円の対ドル相場は下落している。この間、株価は前月と概ね同じ水準となっている。

以上