このページの本文へ移動

金融経済月報(基本的見解1)(2006年5月)2

  1. 本「基本的見解」は、5月18日、19日開催の政策委員会・金融政策決定会合で決定されたものである。
  2. 本稿は、5月18日、19日に開催された政策委員会・金融政策決定会合の時点で利用可能であった情報をもとに記述されている。

2006年5月19日
日本銀行

 わが国の景気は、着実に回復を続けている。

 輸出や生産は増加を続けている。企業収益が高水準で推移するもとで、設備投資は引き続き増加している。雇用者所得も、雇用と賃金の改善を反映して、緩やかな増加を続けており、そのもとで個人消費も増加基調にある。住宅投資も、強含みの動きとなっている。この間、公共投資は減少傾向にある。

 先行きについては、景気は緩やかに拡大していくとみられる。

 すなわち、マクロ的な需給ギャップは、長く続いた供給超過状態が解消し、現在はゼロ近傍にあるとみられる。そのうえで、今後も、輸出は、海外経済の拡大を背景に、増加を続けていくとみられる。また、国内民間需要も、高水準の企業収益や雇用者所得の緩やかな増加を背景に、引き続き増加していく可能性が高い。こうした内外需要の増加を反映して、生産も増加基調をたどるとみられる。この間、公共投資は、減少基調を続けると考えられる。

 物価の現状をみると、国内企業物価は、国際商品市況高などを背景に、上昇を続けている。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、プラス基調で推移している。

 物価の先行きについて、国内企業物価は、当面は国際商品市況高の影響などから、上昇を続けるとみられる。消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップが、今後は緩やかに需要超過方向に向かっていくとみられる中、プラス基調を続けていくと予想される。

 金融面をみると、企業金融を巡る環境は、緩和的な状態にある。CP・社債の発行環境は良好な状況にあるほか、民間銀行は緩和的な貸出姿勢を続けている。また、民間の資金需要は下げ止まっている。こうしたもとで、民間銀行貸出は増加幅が拡大しており、CP・社債の発行残高も前年を上回る水準で推移している。企業の資金調達コストはやや上昇している。この間、マネーサプライは前年比1%台の伸びで推移している。金融市場の動きをみると、短期金融市場では、オーバーナイト物金利は日本銀行の金融市場調節方針のもとで概ねゼロ%で推移している。ターム物金利は、前月と比べ上昇している。為替・資本市場では、前月と比べ、円の対ドル相場は上昇しており、株価は下落している。この間、長期金利は前月と概ね同じ水準となっている。

以上