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金融経済月報(基本的見解1)(2006年7月)2

  1. 本「基本的見解」は、7月13日、14日開催の政策委員会・金融政策決定会合で決定されたものである。
  2. 本稿は、7月13日、14日に開催された政策委員会・金融政策決定会合の時点で利用可能であった情報をもとに記述されている。

2006年7月14日
日本銀行

 わが国の景気は、緩やかに拡大している。

 公共投資は減少傾向にあるが、輸出は増加を続けている。また、企業収益が高水準を続け、業況感も良好な水準で推移する中、設備投資は引き続き増加している。雇用者所得も緩やかな増加を続けており、そのもとで個人消費は増加基調にある。住宅投資も緩やかに増加している。このように、内外需要の増加が続く中で、生産も増加を続けている。この間、マクロ的な需給ギャップは、長く続いた供給超過状態が解消し、現在は需要超過状態に入ってきているとみられる。

 先行きについても、景気は緩やかな拡大を続けるとみられる。

 すなわち、輸出は、海外経済の拡大を背景に、増加を続けていくとみられる。また、国内民間需要も、高水準の企業収益や雇用者所得の緩やかな増加を背景に、引き続き増加していく可能性が高い。こうした内外需要の増加を反映して、生産も増加基調をたどるとみられる。この間、公共投資は、減少基調を続けると考えられる。

 物価の現状をみると、国内企業物価は、国際商品市況高などを背景に、上昇を続けている。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、プラス基調で推移している。

 物価の先行きについて、国内企業物価は、当面は国際商品市況高の影響などから、上昇を続けるとみられる。消費者物価の前年比も、マクロ的な需給ギャップが需要超過方向で推移していく中、プラス基調を続けていくと予想される。

 金融面をみると、企業金融を巡る環境は、緩和的な状態にある。CP・社債の発行環境は良好な状況にあるほか、民間銀行は緩和的な貸出姿勢を続けている。また、民間の資金需要は増加に転じている。こうしたもとで、民間銀行貸出は増加幅が拡大している。CP・社債の発行残高は前年並みの水準となっている。企業の資金調達コストはやや上昇している。この間、マネーサプライは前年比1%台の伸びで推移している。金融市場の動きをみると、短期金融市場では、オーバーナイト物金利は日本銀行の金融市場調節方針のもとで概ねゼロ%で推移している。ターム物金利は、前月と比べ上昇している。為替・資本市場では、長期金利および株価は前月と比べ上昇しているが、円の対ドル相場は前月と概ね同じ水準となっている。

 わが国の景気は、4月の「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)で示した「経済・物価情勢の見通し」に概ね沿って推移すると予想される。物価面では、国内企業物価は、原油価格をはじめとする国際商品市況高を背景に、2006年度は、「見通し」に比べて上振れるものと見込まれる。2007年度の上昇率は、「見通し」に概ね沿ったものとなると予想される。この間、消費者物価は、「見通し」に概ね沿って推移すると予想される。

以上