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金融経済月報(基本的見解1)(2007年1月)2

  1. 本「基本的見解」は、1月17日、18日開催の政策委員会・金融政策決定会合で決定されたものである。
  2. 本稿は、1月17日、18日に開催された政策委員会・金融政策決定会合の時点で利用可能であった情報をもとに記述されている。

2007年1月18日
日本銀行

 わが国の景気は、緩やかに拡大している。

 公共投資は減少傾向にあるが、輸出は増加を続けている。また、企業収益が高水準で推移する中、設備投資は引き続き増加している。雇用者所得も緩やかな増加を続けており、そのもとで個人消費は、やや伸び悩みつつも増加基調にある。住宅投資も、振れを伴いつつ緩やかに増加している。このように、内外需要の増加が続く中で、生産も増加を続けている。

 先行きについても、景気は緩やかな拡大を続けるとみられる。

 すなわち、輸出は、海外経済の拡大を背景に、増加を続けていくとみられる。また、国内民間需要も、高水準の企業収益や雇用者所得の緩やかな増加を背景に、引き続き増加していく可能性が高い。こうした内外需要の増加を反映して、生産も増加基調をたどるとみられる。この間、公共投資は、減少基調を続けると考えられる。

 物価の現状をみると、国内企業物価は、国際商品市況の反落が影響し、足もとでは3か月前比でみて弱含んでいる。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、プラス基調で推移している。

 物価の先行きについて、国内企業物価は、国際商品市況の反落の影響から、目先、弱含みないし横ばいで推移するとみられる。消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップが需要超過方向で推移していく中、プラス基調を続けていくと予想される。

 金融面をみると、企業金融を巡る環境は、緩和的な状態にある。CP・社債の発行環境は良好な状況にあるほか、民間銀行は緩和的な貸出姿勢を続けている。また、民間の資金需要は増加している。こうしたもとで、民間銀行貸出は増加している。CP・社債の発行残高は前年を幾分下回っている。企業の資金調達コストはやや上昇している。この間、マネーサプライの前年比は0%台となっている。金融市場の動きをみると、短期金融市場では、オーバーナイト物金利は0.25%前後で推移し、ターム物金利は、前月と概ね同じ水準となっている。為替・資本市場では、前月と比べ、株価は上昇しているが、円の対ドル相場は下落している。この間、長期金利は前月と概ね同じ水準となっている。

 わが国の景気は、昨年10月の「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)で示した「経済・物価情勢の見通し」に比べて、これまでのところ、天候要因等一時的な下押し要因もあって個人消費を中心に幾分下振れている(注)。先行きについては、生産・所得・支出の好循環のメカニズムが維持されるもとで、「見通し」に概ね沿って推移すると予想される。物価面では、国内企業物価は、原油価格反落の影響などを背景に、「見通し」に比べて幾分下振れるものと見込まれる。この間、消費者物価は、「見通し」に比べて、これまでのところ、原油価格反落の影響もあって幾分下振れているが、先行きは、「見通し」に概ね沿って推移すると予想される。

  • (注)成長率の下振れについては、2005年度計数が確報化により下方修正されたことに伴い、2006年度への発射台(年度中の各期の前期比伸び率がゼロであった場合の年度平均の前年比)が0.3%ポイント縮小したことも影響している。

以上