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金融経済月報(基本的見解1)(2008年3月)2

  1. 本「基本的見解」は、3月6日、7日開催の政策委員会・金融政策決定会合で決定されたものである。
  2. 本稿は、3月6日、7日に開催された政策委員会・金融政策決定会合の時点で利用可能であった情報をもとに記述されている。

2008年3月7日
日本銀行

 わが国の景気は、住宅投資の落ち込みやエネルギー・原材料価格高の影響などから減速しているが、基調としては緩やかに拡大している。

 輸出は増加を続けている。企業収益が伸び悩みつつも高水準で推移する中、設備投資も引き続き増加基調にある。また、雇用者所得が緩やかな増加を続けるもとで、個人消費は底堅く推移している。一方、公共投資は低調に推移している。住宅投資は、回復に向けた動きがみられるが、なお低水準となっている。以上のような内外需要のもと、生産は、やや強めに推移した昨年後半の反動もあって、このところ横ばい圏内の動きとなっている。

 景気の先行きについては、当面減速するものの、その後緩やかな拡大を続けるとみられる。

 すなわち、輸出は、海外経済が減速しつつも拡大するもとで、増加を続けていくとみられる。また、設備投資や個人消費も、総じて高水準の企業収益や雇用者所得の緩やかな増加を背景に、増加基調をたどる可能性が高い。住宅投資は、当面低調に推移するものの、次第に回復へ向かうと予想される。こうした内外需要の動向を反映して、生産は、当面横ばい圏内で推移するが、その後増加していくとみられる。この間、公共投資は、減少傾向で推移すると考えられる。なお、海外経済や国際金融資本市場を巡る不確実性、エネルギー・原材料価格高の影響などに、引き続き注意する必要がある。

 物価の現状をみると、国内企業物価は、国際商品市況高などを背景に、3か月前比でみて上昇している。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、石油製品や食料品の価格上昇などを背景に、昨年末頃からプラス幅が拡大している。

 物価の先行きについて、国内企業物価は、当面、国際商品市況高などを背景に、上昇を続ける可能性が高い。消費者物価の前年比は、当面は、石油製品や食料品の価格上昇などから、また、より長い目でみると、マクロ的な需給ギャップが需要超過方向で推移していく中、プラス基調を続けていくと予想される。

 金融面をみると、企業金融を巡る環境は、緩和的な状態にある。民間の資金需要は横ばい圏内で推移している。CP・社債の発行環境をみると、下位格付先では発行スプレッドがやや拡大しているが、全体としてみれば、良好な状況にある。民間銀行は緩和的な貸出姿勢を続けている。こうしたもとで、民間銀行貸出は緩やかに増加しており、CP・社債の発行残高は前年を上回って推移している。企業の資金調達コストは横ばい圏内で推移している。この間、マネーサプライは前年比2%程度の伸びとなっている。金融市場の動きをみると、短期金融市場では、オーバーナイト物金利は0.5%前後で推移し、ターム物金利は、前月と概ね同じ水準となっている。為替・資本市場では、前月と比べ、円の対ドル相場は上昇しているが、長期金利は低下し、株価は下落している。

以上