このページの本文へ移動

本日の措置について

2002年 2月28日
日本銀行

  1. 日本銀行による思い切った金融緩和策の結果、金融市場では、短期金利がほぼゼロ%に低下するなど、極めて緩和した状態が続いており、マネタリーベースも前年を3割近く上回る伸びとなっている。
  2. しかし、年度末を控え、金融資本市場などの展開如何では、流動性需要がさらに高まる可能性がある。金融市場の安定確保に万全を期すことは、デフレ・スパイラルに陥ることを未然に防ぎ、景気の持続的回復を目指す上で、極めて重要である。
  3. 日本銀行としては、こうした観点から、以下の措置を講じることとした。
    1. (1)年度末に向けた一層潤沢な資金供給
       当面、年度末に向けて金融市場の安定確保に万全を期すため、日本銀行当座預金残高目標(10~15兆円程度)にかかわらず、流動性需要の増大に応じ、一層潤沢な資金供給を行う(別添参照)。
    2. (2)長期国債買い入れの増額
      資金供給を円滑に行うため、長期国債の買い入れを、これまでの月8千億円(年9.6兆円)ペースから、月1兆円(年12兆円)ペースに増額する。
    3. (3)ロンバート型貸付制度における公定歩合の適用期間拡大
      3月1日から4月15日(3月積み期間終了日)までの間、すべての営業日を通じて公定歩合による利用を可能とする(従来は、積み期間中、5営業日)。
    4. (4)適格担保拡大の検討
      預金保険機構向けおよび地方交付税特別会計向け貸付債権の適格担保化について、譲渡制限の撤廃を含めて関係先との調整を行いつつ、実務的検討を早急に進める。
  4. 日本銀行の思い切った金融緩和が経済全体に浸透していくためには、迅速な不良債権処理を通じて金融システムの強化・安定を図るとともに、税制改革、公的金融の見直し、規制の緩和・撤廃等により経済・産業面の構造改革を進めることが前提となる。この点について、政府および金融機関をはじめとする民間各部門の一段と強力かつ果断な取組みを強く期待したい。
  5. 最近の物価の継続的な下落傾向は、輸入依存度の上昇等の供給構造の変化に加えて、経済全体の需給バランスの悪化を反映している。日本経済がデフレから脱却するためには、上記4.の措置を含む抜本的な対応により、民間経済活動の活性化を図り、わが国経済を持続的成長軌道に復帰させることが不可欠である。
  6. 日本銀行としては、今後とも、潤沢な資金供給を行うこと、および「最後の貸し手」としてシステミック・リスクの顕現化を回避することの両面において、中央銀行としてなし得る最大限の努力を続けていく方針である。

以上


(別添)

平成14年2月28日
日本銀行

当面の金融政策運営について

 日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(賛成多数)。

 日本銀行当座預金残高が10~15兆円程度となるよう金融市場調節を行う。

 なお、当面、年度末に向けて金融市場の安定確保に万全を期すため、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。

以上


(参考)

開催時間
2月28日(木)9:00~13:54
出席委員
議長 速水 優  (総裁)
藤原 作弥 (副総裁)
山口 泰  (副総裁)
三木 利夫 (審議委員)
中原 伸之 (審議委員)
植田 和男 (審議委員)
田谷 禎三 (審議委員)
須田 美矢子(審議委員)
中原 眞  (審議委員)

上記のほか、
谷口隆義 財務副大臣(9:00~13:22、13:32~13:54)
小林勇造 内閣府審議官(9:00~13:22、13:32~13:54)
が出席。

議事要旨の公表日時
2002年 4月16日(火)14:00

以上