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地域金融機関の不動産業向け貸出の現状

2024年3月29日
日本銀行金融機構局

要旨

本稿では、取引先の地域金融機関を対象に実施したアンケート調査等に基づき、近年の不動産業向け貸出のリスクプロファイルの変化を整理するとともに、リスク管理への取り組み状況や課題について紹介する。

地域金融機関の不動産業向け貸出は、増加を続けている。感染症拡大前までは居住用賃貸業向け貸出が伸びを牽引していたが、足もとでは、地域銀行を中心に、不動産ファンド向けやコーポレート向けに多い非居住用向け貸出が伸びを牽引しており、ポートフォリオ構成に変化がみられている。各地域金融機関においては、こうした変化を踏まえ、貸出のリスク特性に応じたリスク管理の高度化を図る必要がある。まず、非居住用向け貸出では、対象物件のキャッシュフローが市況変動の影響を受けやすい点を念頭に置きつつ、ストレステストの実施や中間管理の高度化を進めていくことが求められる。また、居住用賃貸業向け貸出では、多くの地域銀行および信用金庫においてリスク管理の充実が図られてきているが、賃貸物件の収益性低下が続くもとで、賃料下落などのストレスに対する耐性を継続的に確認していくことや、長期固定貸出に伴う金利リスクの蓄積を踏まえたリスク管理が求められる。

日本銀行から

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照会先

金融機構局金融第2課

E-mail : post.fsbe65@boj.or.jp