金融機関における生成AIの利用状況とリスク管理 ―2026年度アンケート調査結果から―
2026年8月6日
日本銀行金融機構局
本調査の概要
生成AIは急速に社会に浸透しており、わが国金融機関においても、汎用的な事務処理から、顧客情報を活用するコア業務へと利用が拡大している。今後も、生成AIの著しい技術進歩を取り込みながら、活用の拡大と高度化が進展していくと見込まれる。
生成AIの活用に当たっては、情報漏洩リスクや、出力と挙動の不確実性といった特有のリスクを理解したうえで、リスクベース・アプローチに基づいてリスク管理体制を整備していくことが求められる。
こうした問題意識のもと、日本銀行では、取引先金融機関のうち150先を対象に、生成AIの利用状況に関するアンケートを実施した(2024年度以降3回目の調査)。
本レポートでは、金融機関およびITベンダー等との意見交換の内容も踏まえ、金融業界における生成AIの利用の現状と課題、リスク管理上の論点等を整理した。
まとめ
今回のアンケート結果および意見交換では、以下の点が確認された。
- 9割強の金融機関が生成AIを利用・試行中。全業態で活用割合が増加しており、中でも、第二地銀でこの1年間の増加が目立つ結果となった。
- 利用用途については、汎用的な事務処理から、顧客情報を利用するコア業務へと活用の幅が拡大している。ただし、生成AIの出力を顧客に直接提示する先は、現時点では少数にとどまっている。
- 利用開始後の評価については、「業務に利用できるが、改善の余地がある」との回答が多い。背景には、金融機関自身の活用能力向上や、今後の生成AIの技術進歩への期待がある。
- リスク管理状況をみると、情報管理および実務ルールの整備は相応の先で行われている。もっとも、ガバナンス、サードパーティリスク管理、セーフティ・セキュリティ等については「改善の余地がある」または「検討中」という先が多く、今後の取り組みの強化・進捗が期待される。
- 生成AI活用における課題については、ガイドライン等の整備やITインフラの整備は改善が進んだとする先が多い一方で、事業推進、人材育成、ITインフラ・データの整備、サイバー攻撃対策等が今後の課題として意識されている。
今回の調査結果を踏まえると、わが国の金融機関は、今後も、コア業務への活用拡大など、技術進展の著しい生成AIの活用を積極化・高度化していくことが見込まれる。
そうしたもとでは、金融機関が直面する課題や管理が求められるリスクも複雑化・多様化すると考えられる。とりわけ、顧客に対する生成AIによる出力の直接提示や、自律的にタスクを処理するAIエージェント、および最先端の性能を有するフロンティアAIの導入にあたっては、リスク管理やガバナンス面での対応が重要となる。
今後、金融機関が安定的な業務運営と両立する形で、フロンティアAIを含む生成AIの活用を進めていくうえでは、経営層が新技術活用の便益とともにリスクを理解・把握したうえで適切に関与・主導し、適切なリスク管理に必要なリソースの確保や体制の整備等を着実に進めていくことが求められる。
日本銀行としては、今後も、考査・モニタリングやセミナー等を通じて、生成AIの活用状況を把握しつつ、金融機関との間でリスク管理やガバナンスのあり方についての対話を続けていく方針である。
日本銀行から
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照会先
金融機構局考査企画課
E-mail : csrbcm@boj.or.jp
