2025年度の金融市場調節
2026年6月4日
日本銀行金融市場局
要旨
日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現の観点から、2025年度を通じて、短期金利の操作を主たる政策手段として、金融政策を運営した。具体的には、金融市場調節方針として、2025年12月の金融政策決定会合までは、政策金利である無担保コールレート(オーバーナイト物<以下、「O/N物」>)を0.5%程度で推移するよう促すこととした。その後、12月の金融政策決定会合では、同レートを0.75%程度で推移するよう促すことを決定した。この間、2025年6月の金融政策決定会合において、長期国債買入れの減額計画の中間評価を行い、月間の買入れ予定額を、2026年1から3月までは、原則として毎四半期4,000億円程度ずつ、2026年4から6月以降は、原則として毎四半期2,000億円程度ずつ減額し、2027年1から3月に2兆円程度とすることを決定した。
こうした金融市場調節方針等のもとでの短期金融市場や国債市場の動向および各種オペレーションの運営のポイントを整理すると、以下の通りである。
短期金融市場
短期金融市場では、無担保コールレート(O/N物)は、地銀等の補完当座預金制度の対象先が補完当座預金制度の適用金利(付利金利)との裁定目的で積極的に資金調達を行う構図が続くもと、付利金利を若干下回る水準で極めて安定的に推移した。GCレポレートは、付利金利近傍で概ね安定的に推移した。特に、2025年度後半は、(1)債券需給の緩和や、(2)海外投資家による為替スワップ取引(ドル投円転)見合いでの資金運用需要の幾分の後退を受けて、付利金利を小幅に下回る水準から付利金利近傍に徐々に水準を切り上げ、月末等でのレートの振れも限定的となった。
国債市場と長期国債の買入れ
長期金利は、米国の通商政策を巡る不確実性や本邦財政・金融政策を巡る思惑等に振らされつつ、(1)日本銀行の政策金利が0.75%程度まで引き上がったことや、(2)わが国の堅調な経済・物価指標等を受けて、市場参加者の間で先々の政策金利に対する見方が引き上がったことに加え、(3)年度末にかけては、中東情勢が緊迫化するもと、原油価格の上昇を受けたインフレへの警戒感もあって、2025年度を通じてはっきりと上昇し、2026年3月下旬には、1999年2月以来となる2.3%台後半を記録した。
この間、長期国債の買入れについては、2024年7月および2025年6月の金融政策決定会合で決定した長期国債買入れの減額計画に沿って、毎四半期4,000億円程度ずつ月間の買入れ額を減額した。その結果、2026年1から3月の国債買入れ額は8.7兆円(月間2.9兆円)と、量的・質的金融緩和を開始した2013年4から6月以降で最も低い水準となった。残存期間別・種類別の減額については、一定の予見可能性を確保する観点から、各残存期間の毎月の発行額に対する日本銀行の買入れ比率が高い年限から優先的に減額するという考えを基本に据え、そのうえで、各ゾーンの国債市場の動向やその背後にある需給環境等も踏まえ、毎四半期、減額幅を決定した。
国債補完供給
国債補完供給については、日本銀行が保有するすべての利付国債・国庫短期証券の銘柄を対象としてオファーする措置等を継続し、毎営業日、オファーを実施した。また、日本銀行の保有比率が高い既発債については、国債買入れ減額の効果が及びにくいことから、需給逼迫感の改善を企図した例外的な対応として、国債市場の流動性改善に資する場合における国債補完供給の減額措置(日本銀行が貸し出した国債をオペレーション対象先<以下、「オペ先」>が買い取る措置)について、要件緩和の対象となる国債の銘柄等の拡充も行った。こうしたもと、(1)国債買入れの減額の進捗や国債補完供給にかかる減額措置等に伴う国債の市中保有額の増加や、(2)レポ市場における安定的なレート形成等を背景に、国債補完供給の落札額および利用銘柄数は、低水準で推移した。
その他のオペレーション等
資金供給オペのうち、貸出増加支援資金供給は、新規貸付けの終了を背景に、残高が大きく減少した。一方、気候変動対応オペは、対象投融資残高の増加が続くもとで、引き続き積極的な利用がみられ、残高の増加が続いた。このほか、ETFおよびJ-REITについて、2025年9月の金融政策決定会合で決定した指針に沿って、2026年1月以降、市場への売却を実施した。
オペレーションの実施回数
以上のような金融市場調節のもとで、日本銀行が2025年度に実施したオペレーションの回数は799回(前年度879回)と、量的・質的金融緩和が開始された2013年度以降では、最も少ない回数となった。
日本銀行から
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