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全国11支店金融経済概況 (2001年10月)

2001年10月22日
日本銀行

目次

北海道地区金融経済概況

2001年10月22日
日本銀行札幌支店

北海道地区の景気をみると、全体としては厳しさが一段と増している。最終需要面では、個人消費は一部に明るい動きがみられるものの、総じてみれば力強さに欠ける展開が続いているほか、住宅・公共投資も低調に推移している。また、民間設備投資は、前年をかなり下回る計画となっている。こうしたなかで、企業の生産は減少傾向にあり、雇用環境の改善の動きも頭打ちとなっている。

最終需要面の動きをみると、個人消費は、一部では婦人向け衣料品等が堅調な売行きを持続しているが、スーパー等では低迷を続けているため、大型小売店の売上げは引続き前年を下回って推移している。また、耐久消費財についても、乗用車販売が新型車投入効果等から底固い動きを続けているが、家電販売がパソコン、冷蔵庫等を中心に減少しているなど、総じてみれば力強さに欠ける状況が続いている。この間、観光面では、入込み客数は前年を上回っているものの、伸び率は鈍化している。

設備投資については、一部には食料品での能力増強や卸・小売の販売力強化等の動きがみられるものの、大型案件の一巡に加え、収益の悪化等を背景に投資スタンスを慎重化する先が増加していることから、全体では前年をかなり下回る計画。

公共投資は、地方分を中心に前年を若干下回って推移している。

住宅投資は、貸家は堅調ながら、持家が引続き前年を下回るなど、全体としては低調に推移している。

企業の生産は、建設関連資材(セメント、コンクリート二次製品)では官公需や民間設備投資等の減少から低操業にあるほか、紙・パでも情報通信関連機器向け出荷の減少等から低調な生産を続けている。また、電子部品(情報通信機器向け等)、鉄鋼、自動車部品では、国内外の受注低調等から、総じて生産水準を引下げているなど、全体では減少傾向にある。

企業収益については、製造業を中心とした売上げの減少等から、2桁の減益見通しにある。

雇用情勢については、有効求人倍率が低下しつつあるほか、新規求人数も建設業や製造業での減少から伸び悩んでいるなど、改善の動きが頭打ちとなっている。

企業金融は、金融機関における優良企業向けを中心とした前向きな貸出姿勢を背景に、緩和傾向を辿っている。この間、企業倒産については、件数は減少しているが、負債金額は大型倒産の発生から、増加している。

金融面をみると、預金については、個人預金は流動性を中心に堅調に推移しているものの、法人預金での預貸相殺の動きが根強いこと等から、全体では低目の伸びが続いている。一方、貸出については、企業の資金需要が低迷しているほか、住宅ローンの一服等もあって、前年を下回っている。

以上

東北地区金融経済概況

2001年10月22日
日本銀行仙台支店

東北地区の経済は、輸内需の減少等を背景とした生産・雇用面での大幅な悪化の影響が、ここにきて所得面にも明確に現われ始めるなど、全国に比べても後退色が強まっている。

すなわち、鉱工業生産は、輸内需の減少等から水準を一段と低下させており、企業の収益や景況感も製造業を中心に、全国を上回るペースで悪化している。この結果、設備投資も先行き不透明感から減少傾向を強めている。

さらに、こうした生産水準の低下や海外への生産シフトの進展に伴い、雇用環境が急速に悪化しつつあり、家計所得も、ここにきて前年比減少幅が拡大している。こうした下で、個人消費は、全体として横這いの動きながら、一部に弱い指標がみられ始めている。また、公共・住宅投資は、引き続き低調に推移している。

最終需要をやや詳しくみると、個人消費のうち、乗用車販売は、月によって振れはあるが新車投入効果から足元までは底固く推移している。もっとも、大型小売店売上高は、高級ブランド品が好調なものの、主力衣料品が不冴えなほか、身回品・雑貨等の販売単価の下落もあって、前年を下回って推移している。また、家電販売高は、携帯電話やデジタル製品が引き続き好調な一方、パソコンが減少に転じているほか、白物家電も前年比減少幅が拡大しており、全体でも、ここにきて減少している。この間、旅行取扱高も、米国同時多発テロの影響から、海外や国内遠隔地の旅行を手控える動きがみられており、減少している。

公共投資をみると、請負金額は、各月振れを伴いつつも年度初来累計では前年度を下回っている。先行きについても、東北新幹線延伸等の大型プロジェクトはあるが、投資的経費を削減している地方公共団体が多いこともあって、基調としては低調に推移するとみられる。

また、住宅投資も、地域によって動きは異なるものの、全体としては弱い動きが続いている。

2001年度の設備投資額(東北地区短観、ソフトウェアを含む全産業)は、IT関連業種で増産投資を中止する動きが多くみられたほか、小売でも今後の新規出店を抑制する動きがみられたことなどから、前回調査時点(2001/6月)に比べ更に下方修正され、前年度を3割弱下回る計画となっている。

主要製造業の生産動向をみると、電気機械では、パソコンが新機種投入から減産を緩和する動きもみられるが、同周辺機器、ネットワーク機器が国内需要の減少から生産水準を引き下げているほか、複写機、半導体等電子部品も輸出の減少や海外生産シフトから減産を一段と強化している。

輸送用機械では、輸出の減少に加え、国内の乗用車販売の先行き鈍化を見込み、生産水準を引き下げる動きもみられる。

その他消費関連業種では、食料品が末端需要の低迷等から弱めの生産を続けているほか、段ボール原紙が製商品の荷動き鈍化に伴う需要減少から、また、印刷用紙も情報通信関連向け需要の減少から、それぞれ減産を強化している。

設備投資関連業種では、環境対策関連機器等ここへきて生産を拡大しているものもあるが、工作機械、半導体製造装置ともに、国内外からの受注減少から、生産水準を大幅に引き下げている。

建設関連業種(セメント・同二次製品、鉄鋼二次製品、木材・木製品)では、公共・住宅投資の減少から操業度を一段と引き下げている。

2001年度の売上高・経常利益(東北地区短観、全産業)は、小売が消費低迷や販売単価の下落が進む中で、既往の出店効果や人件費等経費削減から、また、通信も利用者の増加などから、それぞれ増収・増益を見込んでいる。もっとも、製造業では、前回調査(2001/6月)以降、海外需要の更なる減少に加え、国内需要の鈍化もあって、電気機械を中心に幅広い業種で売上・利益を大幅に下方修正する動きが目立ったほか、建設関連業種も公共・住宅投資の減少から減収・減益基調を続ける見通しにあり、全体としては、売上が減収に転じるほか、利益も減益幅が大幅に拡大すると予想されている。

雇用・所得環境をみると、有効求人倍率は、電気機械を中心とした生産活動の低下に伴う求人数の減少や海外への生産シフトに伴う誘致企業の工場閉鎖等から、更に悪化している。また、常用雇用者数も、製造業の減少等から引き続き前年を下回って推移している。

こうした状況の下で、1人当たり名目賃金は、所定外労働時間の減少などから、ここにきて前年を下回って推移しているほか、雇用者所得(常用雇用者数×1人当たり名目賃金)も、前年比減少幅が拡大している。

企業倒産件数をみると、建設、卸・小売の中小・零細企業を中心に、引き続き高水準で推移している。

金融面をみると、預金は、個人が堅調に推移している一方、法人が低調な動きとなっていることなどから、全体として弱い動きが続いている。また、貸出も、個人・地公体向けが増加しているものの、法人向けは前年比減少幅が拡大しており、全体として低調な動きが続いている。

以上

北陸地区金融経済概況

2001年10月22日
日本銀行金沢支店

北陸の景気は、輸出の減少に加え、内需も低調に推移する中、広範な業種で生産水準の引き下げが目立っており、こうした動きが雇用へも一段と波及するなど、厳しさを増している。

需要項目別の動き

輸出については、携帯電話向け電子部品の一部に下げ止まり感が窺われるものの、米国における同時多発テロ後、海外景気の先行きに不透明感が強まる中で、一般機械の多くが減少しているほか、合繊織物も低調に推移するなど、全体としては減少を続けている。

設備投資は、光ファイバー関連事業への参入といった新分野への進出に伴う投資や次世代製品を視野に入れた研究開発投資になお底固さが窺われるが、増産投資を先送りする企業が増えるなど、全体としては増勢が頭打ちとなっている。

個人消費は、総じてみれば横這い圏内で推移しているものの、観光入り込み客数が軟調に推移するなど、弱めの指標が増えている。

公共投資は、北陸3県の13年度予算が9月補正も含め前年を下回っている中、公共工事の請負額が前年割れに転じるなど、減少基調にある。

住宅投資は、貸家が堅調なものの、持家の落ち込みを主因に減少している。

生産・雇用面の動き

生産については、化学が医薬品のOEM生産を中心に堅調なものの、繊維、一般機械、アルミ建材、鉄鋼・非鉄、紙・パルプ等、多くの業種で生産水準を引き下げている。もっとも、電気機械では、携帯電話向け部品の一部で下げ止まり感が窺われることから、減産ペースが幾分緩やかになりつつある。

雇用面をみると、雇用者所得は、所定内給与が横這い圏内で推移しているものの、所定外給与が減少していることから、低調に推移している。また、有効求人倍率(含むパート)は、求職者数の増加に加え、求人数が一段と減少していることから、低下を続けている。

金融面の動き

(1)預金

個人預金は、定期性預金が低金利等を背景に低い伸びとなっているものの、流動性預金が郵貯の流入等もあって引き続き堅調なことから、全体でも増加している。

一方、法人預金は、定期性預金が財務リストラの影響やNCD(譲渡性預金)への預け替えに伴い減少していることから、全体としても低調に推移している。

(2)貸出

個人向け貸出は、民間金融機関の住宅ローンについては、借換え案件に加え新築案件に対する積極的な取り組みもあって、一段と増加している。

一方、法人向け貸出についてみると、運転資金貸出は、生産の減少や企業における有利子負債の圧縮姿勢の継続から、引き続き低迷している。また、設備資金貸出は、一部で大口の設備資金の実行がみられたものの、設備投資全体の増勢頭打ちから、低調裡に推移している。

この間、貸出約定平均金利(ストック)は、比較的高めの既往貸出が約定返済されていることや、低利融資の新規実行もあって、一段と低下している。

以上

神奈川県内金融経済概況

2001年10月22日
日本銀行横浜支店

神奈川県経済をみると、情報通信関連の需要減退を背景に、生産減少の影響が雇用・所得面にも拡がっているなど、調整は厳しさを増している。

足許、企業の景況感について、9月に実施した「企業短期経済観測調査(神奈川県分)」(以下「9月短観」と略称)をみると、業況判断D.I.は、情報通信関連業界における需要減退を主因に、製造業で前回調査に比べ大幅に悪化したことから、全産業でも3期連続の悪化となった。

最終需要面をやや詳しくみると、個人消費は、総じてみればなお横這い圏内で推移しているが、弱めの動きが拡がっている。すなわち、乗用車新車登録台数は、小型車等は堅調に推移しているものの、先行き販売面での陰りを指摘する声が増えている。家電量販店売上高は、パソコン販売の減少を主因に前年を下回っているほか、百貨店売上高も、気温の低下により一部季節商品に動きがみられるものの、総じてみれば低調に推移している。また、米国における同時多発テロ事件の影響を受け、航空便を利用した旅行を避ける動きがみられている。

県内企業の設備投資計画を9月短観でみると、2001年度は、大企業製造業を中心に技術革新に対応した研究・新製品開発投資が計画されていることもあって、2年連続して前年を上回る計画となっている。もっとも、情報通信関連業種を中心とした足許の急激な業績悪化を背景に、投資内容を見直す動きもみられていることから、前回調査比減額修正となっている。

住宅投資は、引き続き前年を上回っているものの、これまで牽引役であった分譲マンションの期末完成在庫が増加しているなど、販売面にやや陰りがみられている。

公共投資は、小規模工事の発注が散見されるものの、全体としては引き続き減少基調が続いている。

輸出について9月短観でみると、2001年度は、米国経済の回復の遅れや情報通信関連の調整局面が長期化している影響から、減少が続いている。

こうした需要動向の下、県内企業の生産は、輸出の減速から足許生産水準が低下している。すなわち、電気機械や工作機械では、携帯電話、PC等の情報通信関連企業からの受注の減少に伴い、減産幅を拡大する先が増加しているほか、鉄鋼等の素材業種でも、国内外向け出荷の減少から生産調整を続けている。また、輸送用機械でも、県外工場からの生産移管により高操業を続けている先がみられるものの、北米市場における自動車販売の減速を映じ、生産調整の動きが顕現化している。こうした動きを受けて、工業生産指数も前月を下回っている。

雇用面をみると、足許有効求人倍率はほぼ横這い圏内で推移しているものの、新規求人倍率は1倍近傍まで低下している。特に製造業においては、生産調整の影響から、新規求人数および所定外労働時間は前年を下回っているなど、雇用の悪化が目立っている。

企業収益を9月短観でみると、2001年度は製造業で海外経済の減速を主因に大幅な減益計画を策定していることから、全体では3年振りの減益計画となっており、前回調査時点でみられていた年度内の回復期待感は大きく後退している。また、売上高経常利益率は、一般機械、電気機械の大幅な悪化を主因に、3年振りに低下する見通しとなっている。

また、企業倒産は、売上低迷を背景に、件数、負債総額とも引き続き高水準で推移している。

県内金融機関の貸出動向をみると、個人向けが住宅ローンを主体に前年を上回っているものの、一般事業法人向けが資金需要の低迷を反映して減少することから、前年割れで推移している。一方、預金動向は、法人預金が低調に推移しているものの、個人預金が流動性を中心に順調な吸収を続けていることから、堅調に推移している。

以上

東海地区金融経済概況

2001年10月22日
日本銀行名古屋支店

東海地区4県(愛知、静岡、岐阜、三重)の景気は、調整の厳しさを増している。

最終需要の動向をみると、輸出、住宅投資が減少を続けているほか、公共投資も弱含んでいる。また、個人消費も弱含みに転じつつある。この間、設備投資は、総じてみれば底固さは失われていないが、先行き減少する可能性が高まっている。

こうした最終需要の動向を背景に、生産は減少を続けており、労働需給も緩和傾向を強めている。この間、物価は弱含んでいる。

先行きについては、企業収益や家計の所得環境の悪化傾向が、設備投資や個人消費に与える影響を注意深く見極めていく必要がある。また、米国同時多発テロを巡る一連の動きが、今後、管内の経済活動にどのような影響をもたらすかについても、警戒的にみていく必要がある。

金融面をみると、資金需要の低迷を受けて、貸出平残は前年割れで推移している。

個人消費・・・非耐久消費財支出では、百貨店売上高は底固い動きが続いている一方、スーパー売上高は依然低調に推移している。また、耐久消費財支出では、これまで堅調であった乗用車販売に陰りがみられ始めているほか、家電量販店の売上げもパソコン販売の不振を主因に前年割れが続いている。この間、サービス支出では、旅行関連が、米国同時多発テロ等に伴う海外旅行の落込みを主因に、先行き減少は免れないものと見込まれる。

設備投資・・・IT関連業種や中小製造業で、収益の悪化等から投資を減額する動きが引き続きみられるほか、非製造業では、小売での大型店出店案件の一巡等を背景に総じて低調であるなど、設備投資には次第に抑制色が強まってきている。しかしながら、これまでのところ当地主力の輸送用機械で、モデルチェンジへの対応や合理化・省力化を中心とする投資案件が相応に積み上がっていることから、全体としてみれば底固さは失われていない。

先行きについては、先行指標である工作機械の国内受注額がこのところ大幅な前年割れを続けているなど、設備投資の減少を示唆する動きが明確化してきている。

住宅投資・・・新設住宅着工をみると、分譲が増加した一方で、持家、貸家は低調に推移しており、全体では減少している。

公共投資・・・公共工事の新規発注は、地方公共団体の歳出抑制スタンスを反映して減少傾向にあり、公共事業関連の工事量は弱含んでいる。

輸出・・・主力の米国向けは、自動車・同部品が持ち直しているものの、工作機械や情報関連財は減少している。また、アジア向けも、鉄鋼、化学製品が現地における在庫調整の長期化から減少を続けており、自動車・同部品、工作機械、電気機器なども減少している。この間、欧州向けも、事務機器等一部の品目は堅調ながら、自動車、電気機器などが、現地生産の拡大などを受けて、減少傾向を辿っている。

生産・・・加工業種では、事務機器が新製品の販売好調から底固い生産を続けているほか、二輪車がアジア向けの堅調等からなお高操業を維持している。しかし、主力の自動車では、国内販売の弱含みを背景に、ここへきて生産水準を幾分引き下げている。また、フォークリフトが米国での需要減少から、工作機械がユーザー企業の収益悪化を反映した輸内需の減少から、それぞれ生産水準を引き下げている。さらに、電子部品組立機、ICパッケージでは、情報関連財向けの需要不振を背景に、低水準の生産を続けている。この間、ビデオカメラが国内外の需要下振れから減産に取り組んでおり、電動工具も低調な生産を続けている。

素材業種では、棒鋼が輸出向けの上積みで横這いを維持しているものの、特殊鋼がパソコン関連機器向けの低迷や自動車向けの弱含みから操業度を引き下げつつある。また、化学製品や普通鋼・鋼板類、洋食器は内外における需要の減少から、住宅向け窯業製品は国内最終需要の減少から、それぞれ生産を抑制している。この間、紙・パルプ、繊維製品も国内最終需要の低迷などから減産を継続している。

雇用・・・生産の減少を反映して、所定外労働時間が大幅に減少しており、有効求人倍率も低下している。また、常用労働者数は減少傾向にある。

以上

京都管内(京都府、滋賀県)金融経済概況

2001年10月22日
日本銀行京都支店

管内景気は、輸出の落ち込みが続く中で、生産が引続き減少しているほか、製造業における生産減少の家計部門への影響が強まるなど、調整の度合いが一段と深まっている。

すなわち、最終需要をみると、輸出はIT関連需要の低迷等を背景に大幅に減少している。企業収益や業況感の悪化が続く中で、設備投資も減少している。公共投資は、基調として弱含んで推移している。この間、住宅着工は一進一退の状況となっており、個人消費は、全体として横這い圏内の動きが続いている。

こうした最終需要のもと、製造業における生産減少の影響から労働需給が一段と緩和しているほか、所定外給与も減少が続いている。

最終需要の動きをやや詳しくみると、輸出については、移動体通信機器やパソコンを中心としたIT(情報技術)関連需要の低迷を背景に減少が続いている。なお、先行きの輸出環境に関しては、米国における同時多発テロ事件の影響から、不透明感が一段と強まっている。

個人消費については、高級身の回り品や秋物衣料の売れ行きは底固く推移している。乗用車販売(新車登録台数<除く軽自動車>)は、夏場まで小型車やRV車を中心に前年を上回って推移していたものの、ここへきて弱含んでいる。家電販売は、主力のパソコン販売が低調を続けているため、全体として不冴えな商況となっている。

この間、京都観光をみると、修学旅行客によるホテル予約が増加しているなど、引続き入込客数は増加基調を辿っている。

設備投資については、IT関連を中心に調整局面の長期化予測が強まる中、当初計画を見直す動きが相次いでおり、全体として減少している。

住宅投資については、大型分譲マンションの着工がみられるものの、一進一退の状況となっている。

公共投資については、一部大型工事の発注がみられるものの、基調としては引続き弱含んで推移している。

生産面をみると、世界的なIT関連需要の低迷等に伴い新規受注が落ち込む中で、在庫過剰感が強いこともあって全体として一段と減少している。業種別には、電子部品は欧米のクリスマス商戦向け受注が盛上がりを欠くなど、引続き新規受注が低調であり、在庫圧縮のため大幅な減産を続けている。半導体・液晶製造装置等も内外メーカーの設備投資抑制の動きを背景に新規受注が減少しているため、減産体制を一段と強めている。IT関連以外でも、一般・精密機械等はなお前年を上回る生産を続けているものの、その水準は低下している。金属、化学等の生産も弱含んでいる。この間、地場産業の和装関連では、総じて需要が不振な中、大幅な減産が続いている。

企業収益をみると、製造業では、IT関連需要の低迷長期化等を背景に大幅に下振れており、業績修正を行う動きが相次いでいる。また、非製造業でも、リストラによるコスト削減効果への期待等からなお前年度を上回る増益計画となっているものの、個人消費の減退懸念等から下方修正を行う動きもみられている。

雇用・所得面をみると、製造業における生産抑制の影響から新規求人が落ち込むなど、労働需給が一段と緩和しているほか、所定外給与も減少が続いている。

企業倒産は、件数は前年を下回っているものの、負債金額は大型倒産の発生から前年を上回っている。

金融面をみると、民間金融機関貸出については、増加運転資金、設備資金需要ともに盛上がりに欠けており、低調に推移している。

預金については、法人預金は、手元流動性の取崩しや金融機関サイドの大口市場性預金の取入れ抑制等から伸び悩んでいる。一方、個人預金は、流動性預金を主体に堅調に推移している。

以上

大阪管内(大阪府、奈良県、和歌山県)金融経済概況

2001年10月22日
日本銀行大阪支店

管内の景気をみると、輸出・生産の減少が続いているほか、その影響が企業の設備投資や雇用・所得にも拡がっており、調整は厳しさを増している。また管内企業では、米国における同時多発テロ事件やその後の展開を眺め、先行きの景気について一段と厳しくみる向きが増えている。

最終需要面の動きをみると、輸出は、米国向け・東南アジア向けの情報関連財やその他の生産財、資本財を中心に減少が続いている。

設備投資は、競争力強化に向けて積極的な投資姿勢を維持する先もみられるが、情報関連に加え、それ以外の分野でも投資削減の動きが拡がりつつあり、全体として減少している。

個人消費は、百貨店売上高や乗用車販売が底堅く推移しているものの、家電販売が減少を続けているほか、スーパーの売上も依然低調に推移しており、引き続き一進一退の状況にある。

住宅投資は、持家を中心に減少している。

公共投資は、減少している。

生産は、こうした最終需要動向に加え、素材を中心に引き続き在庫過剰感が強いこともあって、大幅な減少が続いている。

企業収益(経常利益)は、輸出・生産等の減少に伴い製造業を中心に悪化している。9月短観結果(近畿地区)を全産業ベースでみると、13年度は、前回調査から-11.9%下方修正され、前年比-13.6%の減益となる見通しとなっている。

雇用・所得環境をみると、常用労働者数が引き続き前年を下回り、失業率が高水準を続けているほか、賃金も減少傾向が明確化しつつあり、厳しさが一段と増してきている。

物価は、弱含みとなっている。

企業倒産件数は、高水準で推移している。

企業金融についてみると、売上の不振によりキャッシュ・フローが悪化する中で、業績低調な中小企業を中心に厳しさが増してきているが、全体としては引き続き緩和基調にある。

金融面をみると、企業部門において、借入金を圧縮する動きが続いているほか、資金需要がこのところ減少傾向を強めており、貸出はさらに低調な地合となっている。金融機関では、個々の案件の信用リスクの見極めやリスクに見合った金利の適用に一段と意を用いつつ、収益力の増強に向けて、中小企業向けや個人向けを中心に優良貸出を確保するための積極的な取組みを続けている。

預金については、総じてみれば、個人預金を中心に底堅く推移している。

以上

兵庫県内金融経済概況

2001年10月22日
日本銀行神戸支店

管内景気は全体として厳しさを増しており、企業の景況感も一段と悪化している。需要面の動きをみると、個人消費は一部に明るい動きもみられるが、総じてみれば一進一退で推移しているほか、住宅投資、公共投資は引続き減少している。また、設備投資は、全体とすれば高水準ながら、企業収益の悪化傾向等を背景にここへきて抑制的な動きが拡がりつつある。

こうした最終需要の動向に加え、在庫過剰感の強まりから、生産は一段と減少しており、労働需給は緩和傾向を強めている。

個人消費をみると、百貨店売上高は、身回品が好調を持続しているものの、主力の衣料品を中心に全体としては低調に推移しているほか、スーパーの売上高も依然として前年割れが続いている。また、家電販売は、パソコン・同関連機器の不振を主因として、このところ低調に推移している。一方、乗用車販売は、モデルチェンジ車や新型車を中心に堅調を持続している。

設備投資は、全体としては高水準の計画ながら下方修正の動きが目立っている。短観(9月調査)によると、管内企業の設備投資計画は高水準となっているが、製造業を中心に前回調査時点での計画を下方修正する動きが目立った。規模別にみると、大企業は前年を上回っているものの、中堅・中小企業では、総じて慎重な計画にとどまっている。

住宅投資は、持家を中心に前年を下回っている。

公共投資は、大型案件がみられた前年をかなり下回っている。

生産は、在庫過剰感の強まりから一段と減少している。

造船では、高水準の受注残を抱え、高操業を続けている。鉄鋼では、粗鋼生産はなお高水準となっているものの、市況立直しに向けて、一部品目で生産調整の動きがみられ始めている。鋼板類では、造船向けの厚板で高水準の生産が続いている一方、薄板の一部で生産が抑制気味となっている。条鋼類では、市況立直しに向けた減産が続いているほか、特殊鋼も、在庫過剰感の強まりから、生産水準を引き下げている。

一般機械では、射出成形機、化工機がIT関連需要の低迷から稼働率を低下させているほか、建設機械も、国内需要の低迷から生産水準が低下している。

電子部品では、水晶振動子、半導体が、携帯電話・パソコン向けの需要不振から操業度を引き下げており、コンデンサーも、家電や設備投資関連での受注減少を受けて生産水準が低下している。

地場産業では、ケミカルシューズや播州織で秋冬物が低調に推移しているほか、豊岡鞄において輸入品との競合から生産が減少しているなど、総じて厳しい状況が続いている。

雇用面は、新規求人数が伸び悩み傾向にあるほか、常用雇用者数、所定外労働時間が前年を下回るなど、厳しい情勢にある。

物価は、引続き下落している。

企業倒産は、大口倒産が発生した前年に比べれば負債額は減少しているが、建設業を中心に小口倒産の増加が目立っている。

金融面をみると、貸出は、一般企業の資金需要が依然乏しいことなどから、全体としては低調な動きが続いている。

貸出約定平均金利は、引続き低下傾向にある。

預金は、法人預金と公金預金が低調な一方、個人預金が堅調に推移していることから、全体ではほぼ前年並みの水準にある。

以上

中国地区金融経済概況

2001年10月22日
日本銀行広島支店

概況

中国地区の景気は、輸出の減少等を背景とした生産の減少から、企業収益が減益見通しに転じ、企業マインドが一段と悪化するなど、後退している。

(前回<3か月前>との比較)

  • 概ね変化がみられない項目
    1. 個人消費は、基調としては横這いで推移している。
    2. 設備投資は、一部の大型投資を除けば、慎重な投資スタンスにある。
    3. 住宅投資は、減少している。
    4. 公共投資は、減少している。
    5. 輸出は、減少している。
    6. 生産は、減少している。
    7. 雇用・所得環境は、厳しい状況にある。
  • 悪化がみられる項目
    1. 企業マインドは、一段と悪化している。
    2. 企業収益は、減益見通しに転じている。

1.実体経済

(1)最終需要の動向

個人消費は、基調としては横這いで推移している。

百貨店やスーパーは衣料品や食料品等の低迷から、前年割れが続いている。こうした中で、携帯電話の通信・通話料が堅調を持続しているものの、パソコン販売が前年を下回って推移しているなど、基調としては横這いで推移している。

設備投資は、一部の大型投資を除けば、慎重な投資スタンスにある。

13年度の設備投資計画をみると、前年度比+2.5%と増加しているが、一部の大型投資を除くと前年割れとなっており、慎重な投資スタンスにある。

住宅投資は、減少している。

新設住宅着工戸数をみると、持家や分譲が減少していることから、前年割れを続けている。

公共投資は、減少している。

公共工事請負額をみると、4か月連続で前年を下回るなど、地方公共団体の投資的経費圧縮等を主因に、減少している。

輸出は、減少している。  輸出(通関輸出金額を輸出物価指数で調整したもの)をみると、米国向けは自動車輸出が増加しているものの、ウェイトの高いアジア向けが引続き減少していることから、総じてみれば減少している。

(2)生産の動向

生産は、減少している。

業種別にみると、造船が高い操業を続けているほか、自動車も操業度を引き上げている。もっとも、繊維が低調に推移しているほか、電気機械、一般機械、鉄鋼は生産水準が低下している。

(3)雇用・所得環境の動向

雇用・所得環境は、厳しい状況にある。

常用雇用者数の前年割れが続いている中で、有効求人倍率の低下傾向が続いており、雇用・所得環境は厳しい状況にある。

(4)企業の動向

企業マインドは、一段と悪化している。

9月短観(中国地区)からみると、足許の景況感は一段と悪化したほか、先行きも悪化を見込んでいる(業況判断D.I.〈「良い」−「悪い」〉13年6月△36%→9月△42%→12月予測△45%)。

企業収益は、減益見通しに転じている。

9月短観から13年度計画をみると、6月時点と比べ一割方下方修正されたため、前年度比△2.6%の減益計画に転じている。なお、振れの大きい自動車関連を除くと、同△14.2%の減益計画となっている。

2.金融動向

(1)貸出の動向

貸出は、低迷を続けている。

内訳をみると、個人向けは、借り換え案件を中心とする住宅ローンの推進などから底堅く推移している。一方、法人向けは、運転・設備資金ともに資金需要が乏しいことから低調に推移している。

(2)預金の動向

預金は、横這いで推移している。

内訳をみると、法人預金は、定期性預金の減少から低調に推移している。一方、個人預金は流動性預金を中心に堅調に推移している。

以上

四国地区金融経済概況

2001年10月22日
日本銀行高松支店
日本銀行松山支店
日本銀行高知支店

概況

四国地区の景気は、輸出や生産の減少が続くなかで一段と厳しさを増している。

すなわち、公共投資は底固い動きとなっているものの、輸出や住宅投資の減少が続いているほか、設備投資も減少傾向を強めている。さらに、個人消費が依然として回復感に乏しい状況にある。こうした需要動向を受けて、生産が落ち込んできており、雇用や所得環境も次第に悪化傾向を強めつつある。この間、企業マインドは一段と悪化している。

需要動向

最終需要についてみると、公共投資は高速道路等の大型工事もあって、底固く推移している。もっとも、輸出が欧米向け、アジア向けともに減少しているほか、住宅投資も低調な状況が続いている。さらに、設備投資は紙・パルプや造船の一部に合理化や能力増強に向けた投資がみられるものの、計画の繰り延べや減額の動きが拡がってきているなど、全体としては減少傾向を強めている。

この間、個人消費は自動車販売が新型車投入効果から前年を上回る売り上げをみせているものの、パソコンや大型家電製品の売り上げが不振のほか、百貨店等の売り上げも秋物衣料の出足が鈍いなど依然として前年割れの状況が続いている。さらに、これまで比較的堅調であった旅行も、米国同時多発テロの影響から、海外旅行を中心にキャンセルが相次いでいる。

生産

企業の生産活動をみると、造船(外航船)では、高操業を続けている。また、鉄骨加工(橋梁関係)でも、公共投資関連の手持ち受注残の消化に向けて、高目の生産水準を維持している。

もっとも、電子部品(半導体、リードフレーム材)、紙・パルプ(特殊工業紙、印刷用紙)、化学(プリント基板用硬化剤、半導体封止材料等)では、海外景気の減速を背景としたIT関連需要の減少から、生産調整を続けている。また、鉄鋼や一般機械(建設用機械、産業・運搬機械等)でも、内外の需要低迷を背景に減産を継続している。さらに、繊維(縫製品、タオル)でも、需要の長期低迷に加え輸入安値品の流入に伴い、多くの先で低操業を余儀なくされているほか、木材・木製品(収納関連製品)や窯業・土石(研磨材、住宅エクステリア製品)でも稼働率を引き下げている。

雇用

雇用情勢をみると、製造業や建設業を中心に人員調整の動きが続いており、有効求人倍率は小幅ながら低下している。

金融

金融面をみると、預金は個人預金を中心に安定した伸びを維持している。一方、貸出は企業の資金需要が落ち込んでいることから、依然として低調な状況が続いている。

以上

九州地区金融経済概況

2001年10月22日
日本銀行福岡支店

九州経済は、全体として調整色をさらに強めている。

すなわち、設備投資が減少しているほか、輸出も減少を続けている。また、住宅投資は低調に推移しており、公共投資も減少している。個人消費は全体としてはほぼ横ばいで推移している。こうした中で、生産は大幅な減少を続けており、雇用面も全体として厳しい状況にある。この間、企業の業況感も製造業を中心に悪化しているうえ、米国同時多発テロ事件や狂牛病発生の影響により、景気の先行きに対する不透明感が高まっている。

最終需要をみると、設備投資は、電気機械、金属製品等の製造業を中心に、IT関連需要の落込みや今期収益の悪化を背景として、投資削減の動きが広がってきているほか、輸送用機械や小売等における前年度の大規模投資の反動減もあって、全体としてみれば減少している。

輸出は、電気機械や一般機械などで、アジア、北米向けを中心に減少を続けている。

住宅投資は、持家着工やマンション着工が減少を続けており、全体として低調に推移している。

公共投資は、新規工事発注が低調に推移していることから、減少している。

個人消費は、家電販売がパソコンの売上げ減少等から低調に推移しているほか、スーパーの売上高も減少している。一方、乗用車販売は引続き底固く推移しており、また、百貨店売上高も地域によって差があるが、総じてみれば店舗調整後で増加している。この間、個人向け海外パック旅行は、米国同時多発テロ事件の発生に伴い予約のキャンセルがかなり出ている。

生産面をみると、自動車が新車投入等から高操業を継続しているが、IC等電気機械では需要減退などから生産調整をさらに強化しているほか、窯業・土石、鉄鋼、化学など多くの業種で減産を継続しており、全国と比べても大幅な減少が続いている。

雇用面をみると、電気機械を中心とした生産活動の低下等から有効求人数が減少しているほか、企業の早期退職優遇制度の導入やリストラ等を背景に有効求職者数も徐々に増加しているため、有効求人倍率が弱含みで推移している。また、4-6月の完全失業率は5.9%と統計開始(1983年1-3月期)以来最悪の水準となるなど、全体として厳しい状況にある。

企業倒産をみると、9月の倒産件数が11か月振りに前年を上回ったほか、負債金額も、これまで、ほぼ前年並みの動きにあったが、足元、大型倒産の影響等から前年水準を上回っている。

金融面をみると、銀行預金(譲渡性預金を含む)は、前年を上回って推移しており、基調としては個人流動性預金を中心に引続き堅調である。一方、銀行貸出は、資金需要の低迷基調が続いていることから、前年水準を下回って推移している。

以上