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全国11支店金融経済概況 (2002年 7月)

2002年 7月22日
日本銀行

目次

北海道地区金融経済概況

2002年 7月22日
日本銀行札幌支店

北海道地区の景気をみると、全体としてはなお厳しい状況が続いているものの、一部では下押し圧力が弱まっており、企業マインドも持直している。最終需要面では、民間設備投資は前年を下回る計画となっている一方、個人消費は明暗双方向の動きが交錯するなかで、総じてみれば底固く推移している。また、公共投資は減少基調にあるなかで、このところそのテンポがやや緩やかになっているほか、住宅投資についても低調ながらも現状では下げ止まっている。この間、来道者数は個人旅行客を中心に堅調に推移している。こうしたなかで、企業の生産は持直しつつあるが、雇用環境は厳しい状況が続いている。

最終需要面の動きをみると、個人消費は、百貨店では一部でのリニューアルに伴う売場面積の縮小等から、売行きは鈍化したが、食料品や身の回り品等を中心に引続き堅調なほか、スーパーでは、来店客数の持直し等から食料品を中心に回復傾向にある。耐久消費財については、乗用車販売は新型車投入効果等から底固い動きを続けている一方、家電販売は低調に推移している。この間、来道者数をみると、団体客は前年を下回ったが、個人旅行客を中心に堅調に推移している。

公共投資は、国、地公体とも減少基調にあるなかで、前年度第二次補正予算の執行や新年度事業の発注の前傾化等を映じて、このところそのテンポがやや緩やかになっている。

住宅投資は、分譲マンションは大幅な減少を継続しているが、持家は減少幅が縮小し、貸家も大幅な増勢に転じたため、低調ながらも下げ止まっている。

設備投資については、一部には販売力強化を狙ったリニューアルや合理化投資等がみられるものの、需要低調等を眺めた慎重な投資スタンスを背景に、14年度も前年を下回る計画となっている。

企業の生産は、自動車部品、電子部品(情報通信機器向け等)、鉄鋼では輸出の増加等を背景に、引続き生産水準を引上げている。また、紙・パでは低水準ながらも生産水準を引上げているほか、建設関連資材(セメント、コンクリート二次製品、木材・木製品)でも補正予算関連や新年度事業の発注前傾化等により、一部で高操業を継続していることから、全体としては持直しつつある。

企業収益については、13年度は売上げの減少等から、製造業を中心にかなりの減益となった後、14年度は製造業、非製造業ともに小幅ながら売上げの増加やコスト削減効果等を背景に、増益を予想している。

雇用情勢については、新規求人は非正規社員を中心に減少幅がやや緩やかになっているが、新規求職者が企業の事業規模縮小等を背景に引続き増加していること等から、有効求人倍率はやや低下するなど、厳しい状況が続いている。

企業金融は、金融機関では企業の信用力を勘案しつつ、優良先を中心に前向きな貸出姿勢にあるなかで、企業側でも収益の改善を背景に総じて落ち着いた状況にある。この間、企業倒産については、件数は前年をやや下回っているほか、負債金額は大型倒産の発生をみた前年を大幅に下回っている。

金融面をみると、預金については、個人預金は流動性を中心に堅調に推移しているものの、一部での公共債などへのシフトの動きが続いているほか、法人預金における預貸相殺の動きも根強いこと等から、全体では低調に推移している。一方、貸出についても、企業需資の低迷持続に加え、住宅ローンの肩代わり一服等から、前年割れが続いている。

以上

東北地区金融経済概況

2002年 7月22日
日本銀行仙台支店

東北地区経済をみると、輸出の増加などから生産活動は持ち直してきており、つれて企業マインドも製造業を中心に改善してきているが、当地の雇用・所得環境の全般的な改善にはつながっておらず、全体としては、なお厳しい情勢を脱するには至っていない。

すなわち、生産面ではウエイトの高い電気機械が輸出の増加から操業度を引き上げていることなどから、全体としては持ち直してきている。これに伴い、雇用面でも所定外労働時間が増加するなど一部に改善の動きもみられているが、全体として企業の厳しい雇用スタンスに変わりはなく、雇用者所得は全国を上回る減少が続いている。また、公共・住宅投資は引き続き低調に推移しており、関連業界では人員削減を続けている。こうした下で、個人消費も一部ワールドカップ関連を除き、引き続き弱い動きとなっている。

最終需要をやや詳しくみると、個人消費では、大型小売店売上高は、一部高級ブランド品が堅調なほか、食料品も底固いものの、季節衣料品や家庭用品の不振により、引き続き前年を下回って推移している。また、家電販売高も、デジタルAV機器はFIFAワールドカップ効果から好調となったが、パソコン等情報通信機器が不冴えなほか、冷蔵庫等白物家電も低調な販売が続いている。さらに、乗用車販売も、地域によって動きは異なるものの、所得の減少長期化から、このところ普通車を中心に前年比減少幅が拡大している。この間、旅行取扱高は、国内・海外ともに、引き続き前年を下回って推移している。

公共投資をみると、請負金額は、各月振れを伴いつつも年度初来累計では前年度を下回っている。先行きについても、投資的経費を削減している地方公共団体が多いこともあって、基調としては低調に推移するとみられる。

また、住宅投資も、主力持家が低迷しているなど、低調な地合いが続いている。

設備投資(2002年度東北地区短観、ソフトウェアを含む全産業)は、抑制的な前年度をさらに1割強下回る計画となっている。

主要製造業の生産動向をみると、電気機械では、国内需要の低迷から減産を続けている品目もあるが、半導体等多くの電子部品では在庫調整の進展や海外需要の増加から操業度を急速に引き上げている。

輸送用機械では、ごく一部に輸出増加から生産水準を引き上げる動きもみられるが、全体としては、既存車種の国内向け販売低迷から、生産水準を引き下げている。

その他消費関連業種をみると、食料品・飲料は、品目による振れを伴いつつも全体として底固い動きをしている。紙・パは、多くの先では情報関連需要の減少や荷動きの低迷から低調な生産を続けているが、農産物梱包用段ボールの一部に生産水準を引き上げる動きがみられはじめている。

設備投資関連業種では、多くの品目が国内需要の低迷から減産を続けているものの、半導体製造装置等では海外ITメーカーにおける投資の前傾化などから生産水準を急速に引き上げている。

建設関連業種(セメント・同二次製品、鉄鋼二次製品、木材・木製品)では、輸出向けに減産を緩和する動きもみられるが、全体としては公共・住宅投資の低迷から大幅な減産を続けている。

売上高・経常利益(2002年度東北地区短観、全産業)は、売上高は横這い圏内の見通しながら、経常利益は大方の業種でリストラ効果から大幅な増益を見込んでいる。

雇用・所得環境をみると、生産の持ち直しに伴い、所定外労働時間等の一部指標には改善の動きもみられるが、常用雇用者数の前年比減少幅が総じて拡大しているほか、1人当たり名目賃金も企業における人件費削減姿勢が堅持される中で前年を下回って推移しており、この結果、雇用者所得も全国を上回る減少が続いている。

企業倒産をみると、建設、卸・小売の中小・零細企業を中心に、引き続き高水準で推移している。

金融面をみると、預金(譲渡性預金を含む)は、法人が引き続き低調なものの、個人は堅調に推移しており、全体として底固い動きが続いている。一方、貸出は、個人向けが増加している一方、法人向けは減少しており、全体として前年比減少幅がやや拡大している。

以上

北陸地区金融経済概況

2002年 7月22日
日本銀行金沢支店

北陸の景気は、設備投資をはじめとした内需の減少が続いているものの、輸出の増加を背景に生産が持ち直しており、全体としては底を打ちつつある。

需要項目別の動き

輸出については、繊維が減少しているものの、電気機械が増加しているほか、一般機械も持ち直していることから、全体としては増加している。

設備投資は、小売業における店舗投資に底固さがあるものの、生産が持ち直している製造業において、先行きの需要を慎重にみて、投資額を削減する先が多いこともあり、全体としては減少が続いている。

個人消費は、厳しい所得環境の中で、大型小売店販売等低調な指標がみられる一方、大河ドラマの放映等に伴う好影響などもあって、一部に底固い動きも窺われるなど、全体としては横這い圏内で推移している。

公共投資は、北陸3県の平成14年度6月補正後予算が前年を下回っていることなどから、減少傾向にある。

住宅投資は、持ち家の落ち込みを中心に減少傾向にある。

生産・雇用面の動き

生産については、繊維が減産を続けているものの、電気機械の生産が増加しているほか、その他多くの業種でも生産が上向きに転じていることなどから、全体としては持ち直している。

雇用面をみると、有効求人倍率(含むパート)は、生産の持ち直しに伴い、パートなどの求人数が増加しているため、低水準ながら上昇している。もっとも、雇用者所得については、所定外給与が持ち直しているものの、夏季賞与が前年を下回っていることから、低調に推移している。

金融面の動き

(1)預金

個人預金は、流動性預金が増加傾向にあるものの、定期性預金が国債等他の金融商品へのシフトもあって減少していることから、全体としては低調に推移している。

一方、法人預金は、流動性預金が増加傾向にあるものの、定期性預金が借入金返済のための取り崩しなどを背景に減少していることから、全体でも減少している。

(2)貸出

個人向け貸出のうち民間金融機関の住宅ローンについては、住宅投資全体が減少傾向にあるものの、金融機関の積極的な取り組みにより、住宅金融公庫からの借換え案件を中心に、堅調に推移している。

一方、法人向け貸出についてみると、運転資金貸出は、企業における有利子負債圧縮の影響から、引き続き低迷している。また、設備資金貸出は、企業における設備投資が低水準であることを背景に減少している。このため、法人向け全体でも減少傾向にある。

この間、貸出約定平均金利(ストック)は、比較的高利である既往貸出の約定返済の一巡に加え、低利貸出を手控える動きもあることから、低下テンポが緩やかになっている。

以上

神奈川県内金融経済概況

2002年 7月22日
日本銀行横浜支店

神奈川県経済は、引き続き厳しい状況にあるが、在庫調整の進捗等を背景に、一部業種では底入れ感もみられている。

足許、企業の景況感について、平成14年6月に実施した「企業短期経済観測調査(神奈川県分)」(以下「6月短観」と略称)をみると、業況判断D.I.は、製造業で情報通信関連財の受注増加などを背景に「悪い」超幅が縮小したことから、全産業では2期連続して改善した。先行きについても、製造業で判断を持ち直す動きが広がっていることから、全産業で改善する見通し。

最終需要面をやや詳しくみると、個人消費は、一部に持ち直しの動きがみられるものの、厳しい雇用・所得環境等を背景に全体としては弱めの動きとなっている。すなわち、乗用車販売は、一部小型車等の新車投入効果からやや持ち直しているものの、家電販売ではパソコン販売等の減少が続いている。また、百貨店売上高も、中年齢層を中心に依然として消費抑制スタンスを続けており、力強さを欠く展開となっている。

県内企業の設備投資計画を6月短観でみると、2002年度(全産業)は、生産合理化に向けた投資を計画している先が一部にみられることもあり、大きく減少した前年こそ上回るものの、全般的には、必要最小限度の投資に止めるなど、慎重な投資スタンスを継続する先が多い。

住宅投資は、雇用・所得環境の悪化等を背景に、住宅取得を手控える動きがみられていることから、減少傾向を辿っている。

公共投資は、足許補正予算の執行に伴う大型工事の発注がみられているものの、予算制約の下、総じてみれば減少傾向を辿っている。

輸出を6月短観でみると、2002年度は、情報通信関連財の在庫調整進捗による海外需要の持ち直しなどによって、2年振りに前年を上回る計画となっている。

こうした需要動向の下、県内企業の生産をみると、個人消費の低迷や設備投資抑制の動きを受けて総じてみれば低操業が続いているが、電気機械では、在庫調整の進捗を背景とした輸出環境の改善を受け、稼働率を引き上げる先がみられているほか、輸送用機械でも、一部新規車種の増産効果等もあり、引き続き前年を上回っている。

雇用面をみると、常用雇用者数の減少が続いているなど、企業は人員抑制姿勢を堅持しており、雇用環境は引き続き厳しい状況にある。もっとも、有効求人倍率は、低水準ながらこのところ下げ止まりつつあるほか、一部業種における生産の持ち直しを映じて、所定外労働時間も前年比マイナス幅が縮小しているなど、限界的な部分には下げ止まりの動きもみられ始めている。

企業収益を6月短観でみると、2002年度は、2001年度に実施したリストラ等合理化策の効果を期待し、全体では2年振りに前年を上回る計画となっている。また、売上高経常利益率(製造業)も、2001年度は上期に情報通信関連業種が赤字となったことから、98年度以来3年振りに前年を下回ったが、2002年度は大方の業種で2001年度に実施した合理化策等の奏効を主因に、前年を上回る計画となっている。

この間、企業倒産は、売上の低迷等を背景に、件数、負債総額ともに高水準で推移している。

県内金融機関の貸出動向をみると、個人向けが住宅ローンを主体に高目の伸びを維持しているものの、一般事業法人向けが資金需要の低迷から引き続き減少している。一方、預金は、法人預金が引き続き低調に推移しているものの、個人預金が流動性を中心に増加している。

以上

東海地区金融経済概況

2002年 7月22日
日本銀行名古屋支店

東海地区4県(愛知、静岡、岐阜、三重)の景気をみると、国内需要が弱めに推移するなど、なお厳しい状況にあるが、輸出と生産が増加を続け、企業収益も製造業を中心に改善に向かうなど、全体としては概ね下げ止まっている。

最終需要の動向をみると、輸出は増加している。一方、国内需要は、住宅投資、公共投資が減少しているものの、個人消費が下げ止まりつつあるほか、設備投資は、業種や企業規模間のばらつきを伴いながらも、総じて横這い圏内の動きとなっている。

生産は、輸出の増加や在庫調整の一巡を背景に増加している。こうした中、今年度の企業収益についても緩やかな増加が見込まれている。一方、雇用・所得環境は、生産の増加を反映した限界的な改善の動きはみられているものの、企業におけるコスト削減への取り組みが続く中で、全体としてはなお厳しい状況にある。この間、物価は引き続き弱含んでいる。

先行きについては、海外景気や為替相場の動向が、輸出、生産等の企業活動や企業収益にどのような影響をもたらすか、注意深く見極めていく必要がある。また、なお厳しい状況にある雇用・所得環境の今後の動向とその個人消費、住宅投資に及ぼす影響に関しては、引き続き警戒的にみていく必要がある。

金融面をみると、企業の借入需要が低迷していることを受けて、管内金融機関の貸出は前年割れで推移している。

個人消費・・・各種売上指標をみると、スーパーの売上高は依然低調に推移している一方、百貨店売上高は横這い圏内の動きとなっている。また、乗用車販売は新型車投入効果から持ち直しているほか、家電量販店の売上高も下げ止まっている。この間、旅行取扱高は、海外旅行の前年比マイナス幅が縮小していること等から、全体でも持ち直し傾向が続いている。

設備投資・・・製造業では、当地主力の輸送用機械が大企業の新製品対応や合理化・省力化案件を中心に投資額を上積みしているものの、一般機械、窯業といった他の業種は総じて抑制的である。また、製造業中小企業の設備投資計画は前年を大幅に下回っており、極めて慎重な投資スタンスにある。一方、非製造業では、運輸・倉庫で投資額を上方修正する動きがみられるものの、ウェイトの高い電力は抑制色を強めており、全体として慎重なスタンスにある。

住宅投資・・・新設住宅着工をみると、分譲は底固さを維持しているが、貸家が一進一退の動きとなっているほか、持家も低調に推移している。

公共投資・・・公共工事請負金額をみると、中部国際空港等の大型プロジェクト関連の発注は増加しているものの、国および地方公共団体の予算規模縮小を反映して総じて弱めの動きとなっている。

輸出・・・主力の米国向けは、鉄鋼や工作機械等が低調に推移しているものの、自動車、電子部品、電気機器は増加が続いている。アジア向けは、鉄鋼が増勢を維持しているほか、自動車、電子部品等も増加している。欧州向けは、工作機械の低迷が続いているものの、自動車は引き続き横這いで推移しており、事務機器や電気機器は増加している。

生産・・・加工業種では、工作機械、電動工具、フォークリフトは低水準の生産を続けている。しかし、当地主力の自動車関連、ビデオカメラは、輸出向けを中心に引き続き増加しているほか、二輪車、事務機器も高水準横這いを維持している。また、電子部品でも、ICパッケージ、液晶、半導体集積回路等が増加しており、電子部品組立機も、輸出向けが持ち直しつつある。

素材業種では、住宅向け窯業製品(瓦、衛生陶器、タイル)、洋食器は国内最終需要の低迷を背景に低水準の生産を続けているほか、繊維製品も減産に取り組んでいる。しかし、特殊鋼は自動車・IT関連向けに増加しているほか、鋼板・鋼管、化学製品もアジア向けを中心に増加している。この間、棒鋼は横這いの動きとなっており、紙・パルプは減産を緩和している。

雇用・所得・・・生産の増加を反映して、新規求人数が前年比増加に転じているほか、所定外労働時間も前年比マイナス幅が縮小している。また、有効求人倍率も緩やかに持ち直している。もっとも、常用労働者数は、倒産や雇用リストラの動きを背景に依然大幅な前年割れとなっているほか、1人当たり名目賃金も減少傾向に歯止めが掛かっていない。

以上

京都管内(京都府、滋賀県)金融経済概況

2002年 7月22日
日本銀行京都支店

管内景気は、個人消費関連で弱めの動きが続いているほか、企業の設備投資の落ち込みが止まらないなど、依然低調裡にあるが、最近では、在庫調整の進捗、輸出関連企業の出荷増・収益増がみられる中、企業マインドが多少明るさを取り戻していることもあって、漸く下げ止まってきている。

しかしながら、先行きについては、内需全般が弱めの動きを続けるとの見通しの下、輸出環境も不透明感が増しているとして、慎重な見方をする企業が再び多くなっている。

こうした状況下、現下の製造業の生産活動をみると、IT(情報技術)関連業種を中心に生産水準を引き上げているほか、パート等の新規求人を増やす動きも拡がっており、雇用・所得環境は幾分緩和の方向にある。

最終需要の動きをやや詳しくみると、輸出は、IT関連における世界的な在庫復元の動きや海外景気の回復等から、電子部品を中心に持ち直している。

個人消費面では、百貨店売上げは、季節衣料が盛上がりを欠いているほか、法人向けも落ち込んでおり、総じて弱含んでいる。乗用車販売(新車登録台数<除く軽自動車>)も、一部新型車種の売れ行きはまずまずながら、全体としては低迷している。家電販売は、液晶テレビなど一部AV関連商品は好調ながら、情報家電や白物家電の不振を背景に、低調な状況が続いている。

この間、京都観光をみると、ホテル利用客が前年並みであるなど、入込客数に大きな変化はないものの、観光客の低価格志向はさらに強まっている。

設備投資は、業績に対する先行き不透明感等から、収益確保を優先し、投資計画を下方修正する動きがみられるなど、全体として減少している。

住宅投資は、大型分譲マンションの着工は底固く推移しているものの、基調としては減少傾向で推移している。

公共投資は、予算規模の縮小を背景に、多くの地公体が工事発注を絞り込んでいるため、減少している。

企業収益をみると、14年度は、製造業、非製造業ともに収益改善が見込まれているものの、その程度は緩やかなものに止まっている。こうした中、足元、為替円高や競合激化に伴う製品価格の下落等が、収益面への新たな下押し圧力になると懸念する向きが製造業を中心に拡がっている。

雇用・所得面をみると、新規求職者がなお高水準で推移している中、企業の人件費削減スタンスは依然として根強く、常用雇用者の圧縮、夏季賞与の減額を予定する向きが目立っている。もっとも、製造業の生産活動の持ち直しを背景に、新規求人の増加や所定外労働時間の前年割れ幅縮小など、一部に改善の動きがみられており、雇用・所得環境の厳しさは幾分緩和している。

企業倒産は、件数、負債金額とも、高水準で推移している。

金融面をみると、民間金融機関の貸出は、住宅ローンが堅調に推移しているが、法人向けの増加運転資金、設備資金ともに引き続き低迷しており、前年を下回っている。

預金は、法人預金、個人預金ともに定期性が弱めの動きとなっているものの、流動性が高い伸びを示しているため、全体では前年を上回って推移している。

以上

大阪管内(大阪府、奈良県、和歌山県)金融経済概況

2002年 7月22日
日本銀行大阪支店

管内の景気は、引き続き厳しい状況にあるが、生産が持ち直すなど、概ね下げ止まっている。管内企業では、足許の景況感を改善させているが、先行きについては、国内民間需要の弱さなどを眺め、総じて慎重な見方を続ける向きが多い。また、最近の米国株価や為替相場の動向を背景に、不透明感が高まってきたとの声も聞かれ始めている。

最終需要面の動きをみると、輸出は、アジア向けの情報関連財、鉄鋼、化学製品や、米国・欧州向けの情報家電や自動車関連財などを中心に、全体として増加している。

設備投資は、競争力強化に向けて積極的な投資姿勢を維持する先もあるが、競争の激化や先行きの需要見通しが不透明であることなどを背景に、収益の確保を優先する向きが多く、全体として減少している。

個人消費は、乗用車販売が小型車を中心に底堅く推移しているものの、家電販売が総じてみれば低調に推移し、百貨店売上高も弱めとなっているほか、スーパー売上高が減少を続けており、全体として引き続き幾分弱めとなっている。

住宅投資は、大型分譲マンションの着工は底堅く推移しているものの、全体としては低調に推移している。

公共投資は、低調に推移している。

生産は、輸出が増加し、在庫過剰感も弱まる下で、足許持ち直している。

企業収益(経常利益)は、輸出の増加や既往のリストラの効果などにより、製造業を中心に持ち直しつつある。

雇用・所得環境をみると、生産の持ち直しなどを受けて新規求人や所定外労働時間などに幾分改善の動きがみられ始めているものの、失業率が高水準を続けているほか、多くの企業が夏季賞与を減額するなど、全体としては厳しい状況が続いている。

物価をみると、在庫調整の進捗や輸入原材料価格の上昇を受け、上昇ないし下げ止まりとなっている品目もみられており、全体として下落幅が縮小している。

企業倒産件数は、高水準で推移している。

企業金融は、収益の改善に伴い全体として幾分好転しつつある。もっとも、業績低調な先や信用力の低い先では、厳しい状況が続いている。

金融面をみると、貸出は、優良企業を中心とした借入金圧縮の動きや設備投資の減少等を背景に減少を続けている。金融機関では、引き続き、優良企業向け貸出や住宅ローンに積極的に取組む一方、借り手の信用リスクの見極めやリスクに見合った金利の適用に注力している。

預金については、個人預金を中心に堅調に推移している。

以上

兵庫県内金融経済概況

2002年 7月22日
日本銀行神戸支店

管内景気は、輸出の増加や在庫調整の進捗を背景に、生産が持ち直しているほか、企業の景況感も製造業を中心に改善するなど、厳しい状況ながらも概ね下げ止まりつつある。

ただ、雇用・所得環境の厳しさに加え、このところの為替・株価などの不安定な変動もあって、先行きの景気動向については、慎重にみる向きが少なくない。

業況判断D.I.(6月短観)は、「現状」については、製造業の好転を主因に、6四半期振りに改善した。一方、「先行き」は、製造業、非製造業とも横這い圏内の予測となっている(全産業14/3月-42→14/6月-36→14/9月予測-36)。

個人消費をみると、百貨店売上高は、底固さが窺われるものの、総じて力強さに欠けるほか、スーパーの売上高は依然として低調にとどまっている。また、乗用車販売は、新型車の投入効果などから前年を上回っているが、売れ筋はコンパクトカー等の低価格車種が中心となっている。家電販売は、パソコンの不振が続いているものの、高画質テレビなどが好調であるため、幾分持ち直している。この間、観光面をみると、温泉地や主要観光施設への入込客数は総じて堅調に推移しており、ホテルの客室稼働率も、概ね高水準を維持している。

設備投資は、設備過剰感が根強いうえ、需要の先行き見通し難などから、総じて慎重な計画にとどまっている。

住宅投資は、引き続き低調にとどまっている。

公共投資は、全体として減少を続けている。

生産・出荷の状況をみると、輸出の増加や在庫調整の進捗を背景に持ち直している。

造船では、コンテナ船やバラ積み船を中心に高水準の受注残を抱え、高操業を維持している。

鉄鋼では、ホットコイルや表面処理鋼板、形鋼、線材などのアジア向け輸出が増加している。特殊鋼は、輸出の増加に加え、国内出荷も自動車向けを中心に持ち直しているため、生産水準を急速に引き上げている。

一般機械では、化工機、物流機械では、設備投資や公共事業向けの需要不振を映じて低迷が続いている。射出成形機では、アジア向け輸出が増加しているため、休日出勤や社外工の増員などで生産水準を一段引き上げているほか、建設機械も、北米や中国向けの輸出の増加から回復の兆しが窺われ始めている。

電子部品では、ブラウン管(高画質テレビ用)が中国向け輸出を中心に高操業となっているほか、液晶表示装置もカーナビ、パソコン向けに加え、新機種の携帯電話向けの出荷が本格化しており、フル生産体制を継続している。また、水晶振動子、半導体、コンデンサーではアジア向け輸出が増加しているほか、半導体検査用部品の生産水準も回復している。

食品では、食肉加工の生産水準が低調に推移している。

地場産業では、ケミカルシューズや播州織は夏物が低調にとどまったほか、日本酒や豊岡鞄も引き続き低迷している。

雇用・所得環境は、依然として厳しい状況が続いている。

物価は、引き続き下落している。

企業倒産は、引き続き高水準で推移している。

金融面をみると、貸出は、依然として企業の資金需要が乏しいことなどから、低調に推移している。

貸出約定平均金利は、小幅ながら上昇している。

預金は、個人預金を中心に堅調に推移している。

以上

中国地区金融経済概況

2002年 7月22日
日本銀行広島支店

概況

中国地区の景気は輸出や生産面に持ち直しの動きがみられるほか、企業収益の改善等を受けて企業マインドが改善するなど、全体としては下げ止まりの様相を呈している。こうした中で、最近の急速な円高や世界的な株安による影響を警戒する向きが出始めている。

(前回<3か月前>との比較)

  • 改善がみられる項目
    1. 輸出は持ち直している。
    2. 生産は持ち直しの動きがみられる。
    3. 企業収益は改善が見込まれている。
    4. 企業マインドは改善している。
  • 概ね変化がみられない項目
    1. 個人消費は一部に動意がみられるものの、引き続き弱含みの状態にある。
    2. 設備投資は慎重な投資スタンスにある。
    3. 住宅投資は弱含み状態にある。
    4. 公共投資は減少傾向にある。
    5. 雇用・所得環境はなお厳しい状況が続いている。

1.実体経済

(1)最終需要の動向

個人消費は一部に動意がみられるものの、引き続き弱含みの状態にある。

家電販売はテレビや白物家電が前年を上回っているほか、乗用車販売も軽乗用車、小型車を中心に前年を上回っている。もっとも、百貨店は、主力の衣料品を中心に低調に推移しているほか、スーパーも衣料品の低迷等から前年割れが続いている。また、携帯電話の通信・通話料も増勢が鈍化してきている。

設備投資は慎重な投資スタンスにある。

14年度の設備投資計画(6月短観調査)をみると、前年度比△1.7%の減少を見込んでおり、慎重な投資スタンスにある。

住宅投資は弱含み状態にある。

新設住宅着工戸数をみると、住宅メーカーによる住宅金融公庫の融資制度変更前の販促強化や、消防法改正による建築コストの上昇を避けた分譲マンションの駆け込み着工などの影響を受け、一時的に増加している。しかしながら、基調としては雇用・所得環境の厳しさを受けて、弱含み状態にある。

公共投資は減少傾向にある。

公共工事請負額をみると、国からの過年度契約工事等により一時的に増加しているものの、地方公共団体では投資的経費を圧縮するスタンスにあるなど、総じてみれば減少傾向にある。

輸出は持ち直している。

輸出(通関輸出金額を輸出物価指数で調整したもの)をみると、自動車が北米向けを中心に、鉄鋼や化学がアジア向けを中心にそれぞれ増加傾向にあるなど、全体としては持ち直している。

(2)生産の動向

生産は持ち直しの動きがみられる。

業種別にみると、自動車、造船が高目の操業を持続している中で、電気機械は在庫調整進捗等を背景に生産水準を引き上げている。また、鉄鋼や化学もアジア向け輸出の増加等から操業度が持ち直しつつある。一方、一般機械等その他の製造業ではなお低水準の操業が続いている。

(3)雇用・所得環境の動向

雇用・所得環境はなお厳しい状況が続いている。

有効求人倍率が生産の持ち直しを受けて若干改善しているものの、常用雇用者数の前年割れが続いているほか、所得面についても名目賃金が減少しているなど、雇用・所得環境はなお厳しい状況が続いている。

(4)企業の動向

企業マインドは改善している。

6月短観(中国地区)からみると、足許の景況感は改善している。なお、先行きはほぼ横這いを見込んでいる(業況判断D.I.〈「良い」−「悪い」〉14年3月△46%→6月 △36%→9月予測△35%)。

企業収益は改善が見込まれている。

6月短観(中国地区)から14年度収益計画をみると、前年度比+23.3%の増益計画と、収益改善が見込まれている。

2.金融動向

(1)貸出の動向

貸出は低迷を続けている。

内訳をみると、個人向けは、借り換え案件を中心とする住宅ローンの推進などから底堅く推移している。一方、法人向けは、運転・設備資金ともに資金需要が乏しいことから低調に推移している。

(2)預金の動向

預金は概ね横這いで推移している。

内訳をみると、法人預金は低調に推移している一方、個人預金は堅調に推移している。この間、定期性預金から流動性預金へのシフトが続いている。

以上

四国地区金融経済概況

2002年 7月22日
日本銀行高松支店
日本銀行松山支店
日本銀行高知支店

概況

四国地区の景気は、悪化を続けているものの、わが国全体の輸出増加等に伴って生産が下げ止まりつつあるなど、そのテンポは幾分和らいできている。

すなわち、公共投資は足許の発注が前年を上回っているものの、厳しい雇用・所得環境が続く中、個人消費および住宅投資が低調に推移している。さらに、設備投資も慎重な姿勢を維持する先が多い。しかしながら、生産活動をみると、なお低水準にあるとはいえ、わが国全体の輸出の増加等を反映して、一部の業種に回復の動きがみられ、企業経営者のマインドが持ち直しつつあるように窺われる。

最終需要

個人消費は、乗用車販売で新型車が、また、家電販売で液晶テレビ等が好調なものの、百貨店、量販店の売り上げが増床効果を勘案すると低調裡に推移するなど、厳しい雇用・所得環境の下、弱めの動きが続いている。また、住宅投資が同様の事情により低調に推移しているほか、設備投資も需要の先行き不透明感等を背景に、多くの先が慎重な姿勢を崩しておらず、積極的なスタンスを示す企業は極一部に限られている。この間、公共投資をみると、基調的には減少傾向が続く中、大型案件の発注等から足許の工事請負額は前年を上回った。

生産

全体としては低水準ながら、情報関連財等一部の品目では、受注の持ち直しや在庫調整の進展を反映して、操業度を引き上げる動きが広がってきている。

これを業種別にみると、鉄鋼、一般機械(建設用機械、産業・運搬機械等)、繊維(縫製品、タオル)、紙・パルプ(印刷用紙、家庭紙)、木材・木製品(型枠用合板等)、窯業・土石(研磨材、石灰石、住宅エクステリア製品)などでは内需の低迷を反映して減産を継続している。

一方、輸出ウエイトの高い業種では、高水準の受注残を抱える輸送機械(外航船)や出荷堅調な化学の一部(ナイロン繊維原料、半導体封止材料等)が高操業を持続しているほか、電気機械(集積回路、液晶部品などの情報関連財)にも稼働率引き上げの動きが広がってきている。

雇用

大手出先の雇用調整等を受けて昨年12月に続き、5月の有効求人倍率が再び0.58倍と、1986年12月以来の低水準となるなど、足許、悪化している。

金融

預金・貸出とも、個人は堅調なものの、企業は総じて低調に推移している。

以上

九州地区金融経済概況

2002年 7月22日
日本銀行福岡支店

九州経済をみると、輸出の増加や在庫調整の一巡から生産が回復傾向にある一方、公共投資、住宅投資は弱めの動きが続いている。設備投資も減少傾向にある。個人消費は、明暗両方の動きがみられる中、ほぼ横這いである。

この間、雇用面をみると、一部に改善の動きがみられるが、全体ではまだ厳しい状況にある。

こうした中、企業の業況感は製造業を中心として改善している。

以上のように、九州経済は厳しい状況が続いているが、製造業を中心に改善の動きがみられる。

最終需要をみると、輸出は、アジア向けを中心に電気機械が増加しているほか、一般機械、輸送用機械、鉄鋼、非鉄等も前年を上回っており、全体として増加を続けている(通関統計<除く船舶、九州7県>前年比:14/1-3月+2.5%→4-5月 +16.4%<速報>)。

公共投資は、このところ、大型工事の発注がみられているものの、国や地方自治体の公共事業関係予算が削減されており、減少傾向にある。

住宅投資は、分譲マンションの着工がやや上向いているものの、持家は低迷しており、全体として弱めの動きが続いている。

設備投資は、製造業では食料品や輸送用機械、電気機械などで新たな設備投資を計画する動きがみられているものの、通信、サービス・リース、卸小売など非製造業では減少しており、全体として減少傾向にある(6月九州短観 設備投資額<1,045社>前年比:13年度実績-11.6%→14年度計画-4.7%)。

個人消費をみると、家電販売は、薄型大画面テレビなどの売上げが伸びているものの、パソコンの売上げは引続き低水準にあり、全体として低調に推移している。スーパーの売上げはなお弱い動きが続いている。乗用車販売は、新型車の投入に支えられて、ほぼ前年並みの水準にある(乗用車新車登録台数<除く軽自動車、九州7県>前年比:14/1-3月-5.8%→4-6月-0.6%)。一方、百貨店売上高は、身回り品、婦人服等の売上げが伸びており全体では増加している(百貨店売上高<店舗調整後>前年比:14/1-3月+2.1%→4-5月+1.9%)。この間、沖縄の観光は回復感が定着している(沖縄県入域観光客数・前年比:14/1-3月+3.4%→4-5月+0.6%)ほか、各地の温泉地への観光客の来訪も増えている。

生産面をみると、電気機械では、在庫調整が一巡する中、新製品の増産の動きがみられるほか、半導体関連も繁忙となるなど生産が上向いている。自動車も高操業を継続している。また、アジア向け輸出の増加に伴い、鉄鋼では生産水準を引き上げているほか、化学でも減産を緩和するなど、全体として回復傾向にある(鉱工業生産指数<季調済、九州7県>:13/12月88.2<直近のボトム>→14/5月95.5<速報>)。

こうした状況の下で、企業の業況感は、製造業を中心に改善している(6月九州短観・業況判断DI:14/3月<現状>-34%ポイント→6月<現状>-28%ポイント→ 9月<予測>-27% ポイント)。

雇用面をみると、新規求人数が電気機械等で増加しており、有効求人倍率はこのところやや改善している(有効求人倍率<九州7県>:14/3月0.39倍→5月0.42倍)。もっとも、新規求職者数は企業の希望退職の実施や企業倒産などを背景に増加(新規求職者数<九州7県> 前年比:14/1-3月+14.6%→4-5月+13.1%)しており、全体ではまだ厳しい状況にある。

物価面をみると、消費者物価は弱含みで推移している。

企業倒産をみると、倒産件数は引続き高水準で推移している。

金融面をみると、銀行預金(譲渡性預金を含む)は、流動性預金を中心に前年水準を上回って推移している(預金月末残高<九州7県>前年比:14/3月+1.3%→4月+0.6%→5月+1.2%)。

以上