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M2+CDと経済活動の関係について

長期均衡関係を中心とした研究

1997年 6月30日
日本銀行調査統計局

ご利用上の注意

以下には、全文の冒頭部分(はじめに)のみを掲載しています。
全文(本文、図表)は、こちらから入手できます (ron9706b.lzh 153KB[MS-Word, MS-Excel])。
なお、本稿は日本銀行月報6月号にも掲載しております。

はじめに

 本稿は、M+CDと経済活動の関係について、長期均衡関係を中心に統計的な実証分析を試みたものである。ここでの問題意識は、ここ1、2年といった短期的な関係というよりは、80年代後半〜90年代初めにかけてのM+CDが大幅な変動を示した時期をも含めた1960年代以降の長期時系列データを利用して、M+CDとGDPなどマクロ経済変数との間に長期平均的に観察される関係を、計量分析手法の適用によって検証することである。また、こうした長期均衡関係とともに、通貨需要関数の安定性やマクロ経済指標に対する先行性等についても併せて検証を行った。

 本稿の分析から得られる結論を予め要約すれば以下のとおり。

  1. (1)M+CDとマクロ経済指標の関係を長い目でみると、これまでのところ、名目M+CDの変動は名目GDPと比較的良く対応している。こうしたM+CDとGDPとの間の長期にわたる比較的安定した関係は、「共和分分析」という計量分析手法によっても確認され、両者の間に「長期均衡関係」が存在することが認められる。
     この間、名目GDPの構成要因である物価と実質GDPのうち、物価のみを取り出してM+CDとの関係をみると、80年代後半以降明らかにM+CDに比べた物価の変動幅が縮小しており、両者の関係には変化が生じている。
  2. (2)上記長期均衡関係をもとに、短期的な変動要因等を織り込んだ通貨需要関数を計測すると、パラメータの値を含め比較的安定した計測結果が得られた。すなわち、通貨需要関数が表すM+CDとGDPや金利、資産要因等の短期的変動メカニズムは、計測期間中についていえば、比較的安定したものであったものと考えられる。
  3. (3)M+CDとマクロ経済変数間の先行・遅行関係を時差相関分析でみると、M+CDは、名目・実質GDP、国内民需や物価に対し、基本的には先行関係が観察されるが、計測期間による振れも無視し得ないものとなっている。
  4. (4)なお、M+CD以外の主要マネー・クレジット指標およびMやM+CDの内容の一部を変更した通貨集計量についても、上記(1)〜(3)の観点から同様の分析を行ったが、M+CD以外の指標には、現時点でM+CDを大きく上回るようなマクロ経済変数との安定的な関係は見い出せなかった。
  5. (5)こうした結果からみると、マネーサプライの分析においては、M+CDとGDPの間に存在する長期均衡関係やこれを踏まえた通貨需要関数等を利用することが有用であるものと考えられる。ただし、こうした統計手法による計測結果の解釈にあたっては、以下のような限界点を踏まえておくことも必要である。(1)長期均衡関係はあくまで長期平均的な関係を捉えたものであり、短期的には均衡値から相当程度乖離しうること。(2)これまでに観察されたデータに基づいて検出された経済的関係は、今後、規制緩和や金融市場の構造変化等によって大幅な資金シフトが生ずる場合に、長期均衡関係や通貨需要関数がシフトする可能性をも否定するものではないこと。

以上