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住宅ローンのリスク管理 --金融機関におけるリスク管理手法の現状--

2007年3月27日
日本銀行金融機構局

1.はじめに

 バブル崩壊以降現在に至るまで、本邦金融機関における与信ポートフォリオの特徴的な変化の1つに、住宅ローンを中心とした個人向け貸出の増加が挙げられる。住宅ローンの拡大は、金融機関が消費者のニーズにあった商品をタイムリーに提供する努力を継続的に行っていることの現れであることに加え、金融機関経営を巡る環境の変化によるところも大きいのではないかと思われる。

 住宅ローンのリスク管理については、金融機関で試行錯誤が続いているところであり、現状では、必ずしもあるべき方法は確立されていないようである。金融機関において、住宅ローンの本格的な取扱いの歴史は、事業法人向け貸出と比較してまだ浅く、分析や議論に必要となるデータ面での制約が大きいことも、そうした要因の1つと考えられる。

 こうした認識の下で、本稿では、これまでの日本銀行考査およびオフサイト・モニタリングから得られた情報等を基に、住宅ローンのリスク管理について、(1)各金融機関で比較的一般にみられるリスク管理方法およびその論点、(2)必ずしも多くの金融機関で実施されているわけではないが、リスク管理上有益であると思われるリスク管理方法およびその論点、を取上げている。

 なお本稿は、住宅ローンのリスク管理について、今後とも金融機関と広く対話を行う上での「1つの材料」としての位置付けにあり、必ずしも全ての論点を網羅的に説明しているわけではない。

 日本銀行としては、住宅ローンを巡る様々な環境の変化を今後とも注意深くモニタリングし、住宅ローンのリスク管理のあり方について、考査やオフサイト・モニタリングの場で金融機関との議論を深めていきたいと考えている。

日本銀行から

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