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2011年度の金融市場調節

2012年5月8日
日本銀行金融市場局

概観

本稿では、2011年度の金融市場調節運営について説明する。

2011年度において、日本銀行は、「包括的な金融緩和政策」(以下、包括緩和政策)のもとで強力な金融緩和を推進した。すなわち、実質的なゼロ金利政策を継続するとともに、2010年10月に導入した資産買入等の基金については、残高上限を2010年度末時点の40兆円程度から65兆円程度へ累次にわたって大幅に引き上げた。このほか、金融市場の安定確保の観点から、国内市場において潤沢な資金供給を行うとともに、外貨資金供給についても、主要中央銀行と協調し、米ドル資金供給オペの適用利率の引き下げなどを行った。また、成長基盤強化の支援の継続・拡充や、東日本大震災の被災地における金融機関の支援の実施など、中央銀行としての貢献を積極的に行った。

このもとでの金融市場調節についてみると、第1に、強力な金融緩和を推進するため、資産買入等の基金の運営として、固定金利方式での共通担保資金供給オペや、多様な金融資産(長期国債、国庫短期証券、コマーシャル・ペーパー(CP)等、社債等、指数連動型上場投資信託受益権(ETF)、不動産投資法人投資口(J−REIT))の買入れを着実に進めた。その結果、基金の残高は、2011年度中に+17.1兆円増加し、2011年度末には48.9兆円となった。

第2に、財政資金等の動きによる資金過不足に対しては、必要に応じ、金利入札方式による共通担保資金供給オペを実施した。上述の基金の運営と合わせて潤沢な資金供給のもとで、年度を通じて、市場では資金調達環境に対する安心感が拡がった。無担保コールレート(オーバーナイト物)は金融市場調節方針に沿って推移したほか、長めの金利も極めて低い水準まで低下した。

第3に、国際金融資本市場における緊張感の高まりを受けて、米ドル資金供給オペのオファーを継続した。また、11月には、国際短期金融市場における米ドル調達コストが大幅に上昇したことを踏まえ、カナダ銀行、イングランド銀行、欧州中央銀行、米国連邦準備制度およびスイス国民銀行の5中央銀行と協調し、国際金融システムに対する流動性支援提供能力を拡充するため、米ドル資金供給オペの適用利率の引き下げや多角的スワップ取極の締結などを行った。こうしたもとで、年明け以降、為替スワップ市場を中心に米ドル調達コストは大きく低下した。

本稿では、まず、金融市場動向と金融市場調節運営について説明する。次に、金融市場調節運営に伴う日本銀行のバランスシートの変化について述べる。最後に、個々の金融市場調節手段の運営状況などについて説明する。

日本銀行から

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照会先

金融市場局市場調節課

Tel : 03-3277-1234