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日米家計のリスク資産保有に関する論点整理

2016年2月24日
日本銀行情報サービス局
福原敏恭※1

要旨

家計が保有するリスク性資産が金融資産保有額に占める比率を日米で比較すると、わが国の16%に対し、米国では48%を占めている。こうしたリスク性資産比率の日米格差については、これまでにも、資産収益率の違いが家計の資産選択行動に及ぼす影響を中心に、様々な分析が蓄積されている。

これに対し、本稿ではやや視点を変え、日米家計のリスク性資産比率を比較する場合に考慮すべきポイントをより幅広い観点から検討し、次の4つの論点を採り上げることとした。すなわち、(1)統計上の技術的な問題、(2)資産保有格差や不動産保有に伴う流動性制約など、家計のバランスシート構造の問題、(3)確定拠出年金制度に関する問題、(4)金融リテラシーの問題、の4点である。

各論点の分析の結果、リスク性資産比率の日米格差を検討する際には、統計の技術的要素や日米の家計構造の違いが反映されている面に留意が必要であるほか、確定拠出年金制度の普及度合いも勘案する必要がある。また、金融リテラシーの向上は、両国共通の課題となっている。

このように、リスク性資産保有の日米格差を論じる場合には、多面的な理解・アプローチが重要である。

本稿の作成に当たっては、日本銀行の審議委員およびスタッフから有益な助言とコメントを頂いた。なお、本稿の内容や意見は、筆者に属するものであり、日本銀行の公式見解を示すものではない。

  • ※1日本銀行情報サービス局 E-mail : toshiyasu.fukuhara@boj.or.jp

日本銀行から

本稿の内容について、商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行情報サービス局までご相談ください。
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照会先

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Tel : 03-3279-1111(内線4650)