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東京大学金融教育研究センター・日本銀行調査統計局
第10回共催コンファレンス:「国際経済環境の変化と日本経済」の模様

2024年2月1日
日本銀行調査統計局

要旨

東京大学金融教育研究センターと日本銀行調査統計局は、2023年11月13日、日本銀行本店にて、「国際経済環境の変化と日本経済」と題するコンファレンスを共同開催した。そこでは、グローバル化がわが国経済に与えた影響等について、活発な議論が展開された。

まず、導入セッションでは、グローバル化がわが国経済・物価に与えてきた影響について特徴点の整理がなされた。次に、第1セッションでは、地政学リスクの高まりの経済・物価等への影響や、グローバル化の国内労働市場への影響について議論された。特別講演では、経済学の知見から気候変動問題を平和的に解決する手法等が論じられた。第2セッションでは、米金利とドル/円名目為替レートの関係や、インフレの国際連動性とわが国の物価動向について議論が行われた。

これらを踏まえた総括討議では、グローバル化に対するわが国企業の対応と、政策対応について、議論が行われた。わが国企業の対応に関しては、(1)わが国企業がグローバル化の恩恵を必ずしも享受しきれなかった可能性、(2)わが国貿易部門の競争力低下が交易条件の悪化につながり、家計消費を下押ししてきた可能性や、(3)中国の低賃金といったデフレ圧力が終焉しつつある可能性などが指摘された。そうしたもと、中小企業の稼ぐ力や、プロダクト・イノベーションが停滞してきた背景などについて議論が行われ、研究開発やスタートアップの重要性などを指摘する意見が聞かれた。政策対応については、金融政策・財政政策・産業政策のポリシーミックス、物価と賃金の好循環を目指した政策対応、新陳代謝の促進策などについて様々な見解が示された。さらに、各種政策と企業の新陳代謝の関係、対内直接投資の誘致政策などについても議論が行われ、競争環境が厳しいもと、スピード感をもって成長分野を育てていくことの重要性などを指摘する意見が聞かれた。

  • 本稿で示されたコンファレンス内での報告・発言内容は発言者個人に属しており、必ずしも日本銀行、あるいは調査統計局の見解を示すものではない。

日本銀行から

本稿の内容について、商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行調査統計局までご相談ください。転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。

照会先

調査統計局経済調査課経済分析グループ

E-mail : post.rsd18@boj.or.jp