2020年以降の物価上昇局面におけるわが国の最終需要・中間需要物価指数(FD-ID 指数)の特徴点
2026年4月6日
日本銀行調査統計局
木方由香*1
篠崎公昭*2
新谷幸平*3
武藤一郎*4
要旨
2020年以降に生じた物価上昇局面では、生産フローの上流における価格上昇圧力が、下流にかけてどの程度波及するかという点に注目が集まった。本稿では、生産者物価を、企業間取引の上流ステージから下流ステージに区分して整理・集計した物価指数である「最終需要・中間需要物価指数(FD-ID指数)」を用いて、2020から2025 年にかけての物価上昇の特徴点について確認した。まず、同時期における日米のFD-ID指数を比較したところ、日本では、ステージ間の価格上昇幅のばらつきが大きいのに対して、米国ではそれが小さいといった特徴が確認された。この背景として、各ステージにおける価格上昇幅の日米差を分解すると、上流ステージでは、エネルギーや素材などの財を中心にわが国の価格上昇幅が大きい一方、下流ステージでは、幅広いセクターの財で、わが国の価格上昇幅が米国よりも小さいことが確認された。次に、わが国のFD-ID指数に関する時系列的な変化を検証したところ、食料品や素材、金属類、機械類、輸送用機械など、幅広いセクターで、上流ステージの価格上昇に伴う下流ステージの価格上昇が、従来より大きくなっていることが分かった。以上の結果は、(1)2020年以降の局面でも、わが国企業における財の価格転嫁の度合いが、米国との対比では総じてみれば抑制的であったこと、その一方で、(2)わが国企業の財の価格転嫁も、2020年以前と比べると、幅広いセクターで積極化したこと、を示唆している。
- *1日本銀行調査統計局 E-mail : yuka.kihou@boj.or.jp
- *2日本銀行調査統計局 E-mail : kimiaki.shinozaki@boj.or.jp
- *3日本銀行調査統計局(現・総務人事局) E-mail : kouhei.shintani@boj.or.jp
- *4日本銀行調査統計局 E-mail : ichirou.mutou@boj.or.jp
日本銀行から
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照会先
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