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金利の期間構造と金融政策

2006年4月14日
企画局
白塚重典

要旨

最近のマクロ経済理論の中では、金融政策とマクロ経済変動の関係について、金融政策の操作目標となる短期金利に注目して解説されることが多い。しかし、実際には、中央銀行の金融政策の運営においては、短期金利と長期金利をつなぐ金利の期間構造が重要な役割を果たしている。まず、金融政策の波及メカニズムの中で、総需要の変動は中長期金利の変動と密接な関係があるため、短期金利の調節は、中長期金利を変化させることを通じて経済全体に影響を及ぼす。また、金利の期間構造は、経済主体が予想する短期金利の将来経路やインフレ予想に関する情報を包含しており、金融政策の運営上の重要な情報変数となっている。本稿では、金利の期間構造を介した金融政策と短期・長期の金利の関係を、期待仮説とフィッシャー方程式という2つの理論的基礎に即して説明し、最近のマクロ経済理論における金融政策とマクロ経済変動の関係について、金利の期間構造を軸に整理する。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するものです。
ただし、レポートで示された意見や解釈に当たる部分は、執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

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