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安全資産の需給と国債の希少性プレミアム

2012年1月26日
企画局 一上響、木村武、中村俊文、長谷部光

要旨

投資家が主要先進国の国債を保有する動機としては、元本や利子の支払いの安全性が高いことだけでなく、市場混乱時における流動性の確保や金融規制への対応を容易にするなど、リスク・リターンとは異なる次元の「便益」を享受できることも重要な要因となっている。そうした便益の見合いで投資家が犠牲にしてもよいと考える利回りの低下幅が、国債の「希少性プレミアム」である。希少性プレミアムは、国債とその代替資産を含む安全資産全体の需給バランスによって決まる。1990年代に通貨危機を経験した新興国に加え、規制対応を進める先進国の金融機関が安全資産需要を強める一方、かつて高格付けであった民間資産担保証券や欧州周縁国の国債の信用力が金融危機以降悪化し、世界的に安全資産の供給が減少している。こうした需給の逼迫を受け、主要国の国債の希少性プレミアムが近年増加している。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

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