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「量的・質的金融緩和」

:2年間の効果の検証

2015年5月1日
企画局

要旨

日本銀行が2013年4月に「量的・質的金融緩和」を導入してから2年が経過した。本稿では、「量的・質的金融緩和」が金融・経済に与えた政策効果についての定量的な検証を試みる。「量的・質的金融緩和」の効果の波及メカニズムは、(1)2%の「物価安定の目標」に対する強く明確なコミットメントとこれを裏打ちする大規模な金融緩和により予想物価上昇率を引き上げると同時に、(2)巨額の国債買入れによってイールドカーブ全体に下押し圧力を加えることで、(3)実質金利を押し下げることを起点とする。このことを踏まえて、効果の検証は2段階で行った。まず第1段階として、実質金利がどの程度低下したかを計測した。次に、第2段階として、この実質金利の低下がどの程度実体経済や物価に影響を与えたかを計測した。計測の結果、(1)「量的・質的金融緩和」は、実質金利を-1%ポイント弱押し下げた、(2)実際の経済・物価は、概ね「量的・質的金融緩和」が想定したメカニズムに沿った動きを示している、と評価できる。ただし、最近では、原油価格の下落を主因に消費者物価上昇率は低下しており、これが人々の予想物価上昇率の形成との関係でどのような影響を与えるか、注視していく必要がある。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。

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