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オプションから抽出した不確実性指標の拡充 ―テールリスク指標とボラティリティの期間構造―

2017年4月20日
金融市場局 崎山登志之、眞壁祥史、長野哲平

要旨

市場における不確実性の指標としては、「恐怖指数」とも呼ばれるVIXを含めた満期の短いオプションから算出したインプライド・ボラティリティ(短期IV)が用いられることが多い。短期IVは市場で認識される「目先の価格変動リスクの大きさ」を捉える重要な指標だが、それだけでは「リスク認識の偏り」や「長期的にみたリスクの大きさ」への認識を把握することは難しい。本稿では、短期IVの補完指標として、米国株式市場で注目されつつあるリスク認識の偏りを捉えるSKEW――ブラック・スワン指数と呼ばれることもある――やIVの期間構造等を紹介する。諸指標の動きからは、(1)米国株式市場では、短期IVが低位で推移する中でも、株価が急落するテールリスクが一定程度意識されてきたこと、(2)わが国の長期金利市場では、マイナス金利導入後に金利の先行きの見方が大きく変化したこと、等が示唆される。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

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