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資本フローの変動と中央銀行 ―アジア通貨危機の教訓と今後の課題―

2017年6月23日
国際局 岩井荘平*1、小中進悟、久光孔世留*2、野々口秀樹
*1現・パリ事務所
*2現・金融機構局

要旨

アジアにおける資本フローの動きをみると、米国の金融政策正常化に伴って2000年代前半から長く続いた資本流入基調に変化が見られ、資本流出時の新興国の耐性に注目が集まっている。1990年代末のアジア通貨危機の教訓に学んだ様々な取り組みによって、アジア各国には資本流出に対して一定の耐性が備わっているが、外貨建て社債の増加や外国人投資家による国内債券の保有増加といった新たな懸念材料も出てきている。また、資本フローの基調変化は、アジアの中央銀行に国内金利のコントロールを通じた金融政策の波及メカニズムの確立という課題を投げかけている。具体的には、資金供給オペの拡充や短期金融市場の整備を通じた市場参加者間の取引の活性化が必要であり、日本銀行もそうした観点でのアジアにおける国際金融協力を展開している。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。
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