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アジアにおける外為市場の近年の特徴点について―日本・シンガポール・香港の比較―


2020年7月2日
金融市場局 鷲見和昭、門川洋一

要旨

近年、シンガポールや香港の外為取引高は日本を上回り、足もとでは日本との差を拡大させている。背景には、シンガポールや香港は、電子取引の高度化を通じて機関投資家等による先進国通貨の取引を取り込むことに加え、中国やASEAN諸国の対外貿易の拡大につれて、海外の事業会社・金融機関の資金管理部署を誘致してアジア通貨の取引を増加させていることがある。現状、アジアの多くの国では資本規制もあるため、資本取引に関係するアジア通貨の為替取引は相対的に少ないとみられるが、中長期的には、対外資本取引が増え、これに付随する為替取引も増える可能性がある。新型コロナショックからの回復後も展望すると、こうした資本フローの受け皿となることは、わが国の外為市場の活発化に留まらず、資本市場を含む金融市場全体の発展にも資すると考えられる。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。
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