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店頭デリバティブ取引データからみた通貨スワップ市場:感染症拡大の影響とその後の回復を中心に


2021年5月26日
金融市場局 丸山凜途、鷲見和昭

要旨

通貨スワップ取引は、非米系金融機関にとって、米ドル資金の主要な調達手段の一つであり、その取引動向に対する国際的な関心は高い。もっとも、取引所を通さない相対取引であることもあって、従来、取引動向の把握に利用可能なデータは限られてきた。本稿では、わが国で収集された店頭デリバティブ取引データをもとに、本邦通貨スワップ市場を概観するとともに、2020年春に国際金融市場が不安定化した局面の前後における通貨スワップ取引の動向について、簡単に事実整理を行った。その結果、データからは、ドル調達環境が悪化する中、平素はさほど活発に取引していない比較的小規模の金融機関が取引に参加するとともに、取引の仲介役としての機能を担う大手の金融機関は、取引サイズの小口化や取引先の分散化を行いつつ取引を継続していたことが確認された。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。
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