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為替相場予測と消費者物価:為替予測サーベイを用いた実証分析

2002年 8月
原尚子
鎌田康一郎

日本銀行から

日本銀行調査統計局ワーキングペーパーシリーズは、調査統計局スタッフおよび外部研究者の研究成果をとりまとめたもので、内外の研究機関、研究者等の有識者から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の中で示された内容や意見は、日本銀行あるいは調査統計局の公式見解を示すものではありません。

なお、ワーキングペーパーシリーズに対するご意見・ご質問や、掲載ファイルに関するお問い合わせは、論文の執筆者までお寄せ下さい。

以下には、(要旨)を掲載しています。全文は、こちら (cwp02j07.pdf 154KB) から入手できます。

要旨

 本稿では、為替相場の消費者物価への影響度が、相場に対する経済主体の期待に依存していることを、サーベイ・データを用いて実証する。予測相場に関するサーベイ・データを見ると、相場予測の現実の姿は、効率市場仮説が示唆する「横這い予測」から程遠いことがわかる。したがって、この点を無視していた従来の実証分析は、為替相場が消費者物価へ与える影響度を過小評価していた可能性が高い。為替相場変動の影響が消費者物価へと伝播していくとき、(1)予測相場の変動による短期的で急な波と(2)川上企業から川下企業へと費用が価格転嫁される際に生ずる長期的で緩やかな波が発生する。分析の結果、いずれの波も統計的に無視し得ない大きさであることが分かった。もっとも、為替相場の予想形成メカニズムは、その時々の経済情勢によって異なりうるので、予測相場と消費者物価の相関関係には、かなりの不確実性が付きまとうことに留意すべきである。

JEL:
E30,F40,L11;

キーワード:
為替相場、為替予測サーベイ、消費者物価