このページの本文へ移動

相対価格トレンドの下での最適トレンドインフレ率と金融政策

2007年1月
代田豊一郎*1

 全文は英語のみの公表です。

要旨

 標準的なニューケインジアンモデルでは、最適インフレ率はゼロである一方で、多くの主要国の長期的なインフレ率は、正の値となっている。本稿では、最終財セクターと中間財セクターとの間の生産性格差に注目して、インフレ率が正の値となる新しい理由付けを提示する。セクター間の生産性格差を考慮すれば、CPIとPPIとの相対価格にトレンドが存在することになる。このときの、CPIのラムゼー最適なインフレ率は正となる一方で、PPIのそれは負となる。加えて、相対価格トレンドの下では、効率的な産出水準を達成することができない。最後に、トレンドインフレ率の下での、ショックに対する最適な金融政策反応を検討した。本稿の結果は、トレンドインフレ率の存在によって、最適な金融政策は大きく変化することを示唆する。

キーワード:
トレンドインフレ、CPI、PPI、最適金融政策、相対価格トレンド、生産性格差

本稿の作成にあたり、早川英男、肥後雅博、敦賀貴之の各氏から有益な示唆を得た。また榎本英高、福永一郎、一上響、木村武、中村康治、須合智広、上田晃三、日本銀行内におけるセミナー及び金融政策研究会の参加者から有益なコメントを得た。記して感謝する。ただし本稿における分析や結論は筆者個人のものであり、日本銀行及び調査統計局の見解を表すものでない。

  1. *1日本銀行調査統計局経済分析担当 e-mail: toyoichirou.shirota@boj.or.jp

日本銀行から

日本銀行ワーキングペーパーシリーズは、日本銀行員および外部研究者の研究成果をとりまとめたもので、内外の研究機関、研究者等の有識者から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の中で示された内容や意見は、日本銀行の公式見解を示すものではありません。
なお、ワーキングペーパーシリーズに対するご意見・ご質問や、掲載ファイルに関するお問い合わせは、執筆者までお寄せ下さい。
商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行情報サービス局までご相談ください。転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。