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フェデラル・ファンド金利先物やサーベイ調査から抽出した米国金融政策の期待におけるバイアスについて

2007年7月
一上 響*1
湯山智教*2

全文掲載は、英語のみとなっております。

要旨

 フェデラル・ファンド金利先物レートは、米国の金融政策に対する市場の期待を抽出するうえ で、有効な手段の一つとなっている。但し、先行研究では、同レートのリスク・プレミアムは平均 的にプラスであるほか、景気循環などに応じて変動することが指摘されており、これを調整しない と、市場の期待を正確に把握できないと結論付けられている。

 但し、先行研究が示した平均的なプレミアムの水準は、推計手法によって大きく異なり、(1)市場 の期待は合理的であり、その予測誤差が過去平均でゼロであることを仮定して推計すると6か月物 で25bps前後となるが、(2)サーベイ調査による予測が市場の期待に等しいことを前提とするとかな り小さい値となる、と報告されている。

 本稿では、(1)90年代以降のディスインフレを反映した政策金利の低下トレンドを市場が読みきれ なかったこと、(2)サーベイ調査が構造要因などから市場の期待と乖離し得ること、を勘案した新た なプレミアムの推計方法を提案し、実際のプレミアムは、先行研究で示された上記の二つの推計値 の間に入る可能性が高いことを示す。また、ここ数年、プレミアムが、景気循環とは関係なく低下 している可能性も示す。

  1. *1日本銀行金融市場局 E-mail: hibiki.ichiue@boj.or.jp
  2. *2日本銀行金融市場局 E-mail: tomonori.yuyama@boj.or.jp

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